2015年4月30日木曜日

カリブラコア 灌水(水やり)のタイミング

おはようございます。

5月10日は「母の日」。
花卉・苗生産部では毎年、母の日に向けて
カーネーションよりも丈夫で育てやすく、長く楽しめる鉢花を
ギフト用に生産しております。


こちらのカリブラコア‘ミリオンベル’も
その中の一つ。

今日は贈られた鉢花の灌水(水やり)について、
カリブラコアを例にご紹介します。

灌水のタイミングは園芸書などでは、
「鉢土の表面が乾いたらたっぷりあげてください」
などと書かれていることが多いです。

これは、天候や育てている地域、鉢が置かれた場所などによって、
灌水のタイミングが異なるためです。

鉢の中が常に湿っていると根が酸欠になり、
根腐れを起こします。
「毎朝1回灌水してください」とは
表記できない理由がここにあります。

灌水のタイミングをとる方法は他にも、
「水をたっぷりあげた時の鉢の重さを覚えておいて、
鉢が軽くなったらあげましょう」
という方法もあります。

では「その時」、植物の葉がどんな状態なのか観察してみましょう。





①鉢内に水が十分にある時、葉は少し上を向いて、まっすぐにピンとしています。




②少し乾いてきた状態、何枚かの葉が横や下を向き始め、少し丸くなってきました。




③鉢全体の葉が下を向いてきました。


④鉢全体の葉が下を向いただけでなく、縦方向にも丸まり始め、
  太陽に当たる表面積をできるだけ小さくしようとしています。
  いわゆる「萎れた」状態です。


④の鉢土表面の様子 カラカラに乾いて白っぽくなっています。


灌水のタイミングは②~③がベストタイミングです。
④は乾かしすぎです。
ミリオンベルの場合は④でも復活しますが、
下葉が黄色くなったり、用土が固まって、鉢と用土の間に隙間ができてしまうと、
次に灌水しても、そこから流れ落ちてしまいます。
もちろん復活できなくなる植物もあります。



では、②の状態から、どのくらいの時間で④の状態になってしまうのでしょうか?

昨日の柏市は薄曇り時々晴れ、日中の気温は22~26度ぐらいでした。

②の少し乾き始めた状態 AM10:00


AM10:30


AM11:00


12:00


PM1:30


PM3:00 
④の状態までおよそ5時間でした。
快晴の日は約半分の時間でこの状態になり得ます。



ではカリブラコアは④の状態でたっぷり灌水したら、
どれくらいの時間で元の状態に戻るでしょうか?


AM10:00


AM10:30


AM11:00


AM11:30


12:00


PM1:30


PM3:00
こちらもおよそ5時間でした。
快晴の日はもっと遅くなります。
灌水した後はできるだけ日陰の涼しいところに退避させてください。


(長嶋)

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2015年4月28日火曜日

カリブラコアの摘花


暑くなってきましたね。
柏市の辺りも日中25℃を超える日が出てきました。

さて、昨日の園芸別科の実習では、「カリブラコアの摘花」を行いました。

その名の通り、「花を摘み取る」作業です。


満開のカリブラコア ‘ミリオンベル’。
開花した花を一つ一つ、手作業で摘み取っていきます。

摘み取り終わるとこの通り。


まだ小さい蕾だけが残った状態になります。
せっかく満開になった花をなぜ摘み取ってしまうんでしょう。

ゴールデンウィークの5月4日から出荷を始めます。
カリブラコアの一つ一つの花の寿命は4~5日。
現在開花している花は出荷の頃には、しぼんで、「花がら」になってしまいます。

「花がら」がなく、見栄えのよい、高品質な鉢花をお客様にお届けするための作業なんですね。
さらに、花がらが残っていると、湿度が高くなれば灰色かび病が発生して、やがて健全な部位にも拡がってしまう可能性があります。
病害の予防にもつながる作業です。

一つ一つの鉢花を仕上げるためには、地道な作業が続いていきます。


(金谷)


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2015年4月27日月曜日

今年も園芸番組の収録が始まりました

昨年の好評(だったのかは疑問ですが・・・)に続き、今年も趣味の園芸の収録が始まりました。

内容については番組を御覧になってからのお楽しみですが、今回は5分番組を8回分撮影する予定です。昨年の教訓から、収録は3回ほどで終わらせる(終わらせたい!)予定です。それでも、植物の準備、撮影用に株を仕立てるのは大変です。

まずは植物の準備と調整です


収録開始!


今年も博士課程2年の黒沼さんに白衣を着て、
花タレ(鼻たれではありません)、手タレとして協力して貰っています。


別の日には趣味の園芸のテキストの写真撮影も行われました


放送もテキストも内容は同じでも撮る人が違えば、考え方も違うので用意する植物材料も見せ方も若干違ってきます。それに合わせて、植物材料の準備もけっこう大変です。

このようなときも、植物栽培の知識(ノウハウ)が生きてきますね。収録日や撮影日までに、どの状態にまで植物を大きくしておけば良いのか。いつ播種したら、いつ挿し芽をしたら良い状態で撮影できるのか・・・。いろいろと考えながら、スタッフの方達と技術的な調整を加えながら収録と撮影が進められています。

この収録された内容は75日(日)から順次、趣味の園芸の中の5分番組で放送される予定です。また、趣味の園芸ビギナーズのテキストとしても販売されるようです。お楽しみに!


(渡辺 均)
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2015年4月24日金曜日

薬草園リニューアルに向けて

 柏の葉フィールドセンター内にある薬草園のリニューアル工事もついに植栽の段階までたどり着きました。リニューアル後はきれいにブロックで区画整理され、ネームプレートが付けられます。




 本日の作業は別ハウスより運び込まれた薬草たちをチェック、場所の確認が終わったものから植栽をしていきました。



 また、陰性の植物には寒冷紗を張るのですが、本日はハウスの組み立て作業も行いました。パイプを立てる位置がクワの木と重なり、伐採を余儀なくされるというハプニングもありました。



 当研究室は花卉の研究室ですが、薬用植物を研究テーマにする学生もいます。私自身も多くの薬草を目の当たりにすることができる貴重な体験となっています。
(学生:修士2年 土田)



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2015年4月23日木曜日

ゴーヤ

3月末
机の上で何か作業をしています。


















爪切りで何かを切っていますね。

もちろん爪先ではなく・・・

爪ほどの大きさのゴーヤの種子!
















(左:ビフォー、右:アフター)

ゴーヤは硬実種子で、そのまま播いても発芽がバラつきます。
家庭菜園で数本芽が出れば良いということならば問題ありませんが、
こちらはポット苗での販売の依頼です。
出荷時に数量と大きさが揃っていなくてはなりませんので、
発芽勢がかなり重要になってきます。
発芽を揃えるには、しっかり吸水させ
温度を高めに保たなくては!

上の写真のように種子の先端を
ほんの少し切るか傷付けるかするだけで、
格段に吸水性が良くなります。
ただし、切りすぎると生長点が無くなってしまい
発根しなくなるので要注意。

切った種子を水に半日浸けてさらにしっかり吸水させます。
そのまま浸けておいても良いのですが、
その後カビが発生しやすくなったり傷んだりすることがあるので
そこも要注意です。






















セルトレイに播種し30℃に保つと、、、
翌々日にはもう芽が出始めていました!

なんだかモヤシみたいです。
徒長しやすいので、出芽したものから
光の良く当るハウスへ移動。



育てやすいゴーヤですが、
食べる楽しみもあり、
グリーンカーテンとしての利用もあり、
家庭での栽培に人気が高い植物です。
また初期の生育が早いため、
ぐんぐん伸びる姿が手に取るように分かります。

気温も上がってきたことですし、
ぜひ爪切りを片手に播種にチャレンジしてはいかがでしょう?





(池田)




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2015年4月20日月曜日

薬用植物の種子の品質 ~良い種子をつくる~

新学期の講義や実習が始まって1週間が経ちましたが、まだまだ教員側も新しい時間割には慣れません。

さて、下のセル成型苗の画像を御覧下さい。これは、オケラ(生薬名:白朮)のセル成型苗です。同じ系統の種子を今春に播いたのですが、左側のセル苗の方が大きくなっていますね。ちなみに、右側のセルの方が数日早く播いています。


この違いは何かといいますと採種方法の違いによるものです。種子を採る株を選び、その株のどの位置に着いた花から種子を採るかによって、種子の大きさ、発芽率が大きく違ってしまいます。そのため、苗の品質もこのような差が出来てしまいます。

大きく生長したセル成型苗
(選抜した株から採種し発芽させた苗)


発芽も悪く生育が揃っていないセル成型苗
無選別に採種し発芽させた苗)


生育の揃った苗を生産するためには、遺伝的に均一な優れた系統を選抜してその株から採種することはもちろんですが、それに加えて採種技術がとても重要になってきます。

おもな採種技術として、採種母株の肥培管理(株の栄養状態を良好に維持すること)、株あたりの採種量の制限、開花させる花数の制限、開花部位の制限、受粉様式の理解、交配方法の検討、花粉親の選抜、採種のタイミング、種子の選別、採種後の種子管理・保存など・・・・・。種採りひとつで考えること、やるべきことはたくさんあります。

花や野菜などの園芸植物生産では当たり前の技術であっても、これまでの薬草栽培ではこのような考え方はほとんど取り入れられて来ませんでした。これからもしばらくは難しいでしょう。

良い苗を短期間に効率的に生産すれば、それだけ生産者にとっては生産性や収益性が高くなるはずなのですが、何でやらないのでしょうね~。


  (渡辺均)

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2015年4月17日金曜日

薬用植物の播種

本日の実習は薬用植物の播種を行いました。

薬用植物といっても、ラッカセイ(Arachis hypogaea マメ科)、チョウマメ(Clitoria ternatea マメ科)、ヒマワリ(Helianthus annuus キク科)など日常生活の中で食用にする植物もありました。

タネの大きさによって、3号ポット・20×10セルトレーに播種を行いました。

3号ポットに播くクロダイズ

20×10セルトレーに播くヤマユリ

セルトレーの播種は土詰めから、種まき、水やりをして完成するまで、ただ3stepsだと思うかもしれませんが、実際にone by one step やればやるほど難しいと感じられました。
土詰めだけでも、土をトレーに詰める前に先に水で土の湿度を調節したり、団粒の大きな土をちゃんとほどいたり・・・
また、土を多めに入れると水やりによって種が流され、セル1枚で得られる苗の数が減少します。

1万時間の法則」はみなさん知っていますか。
スキルを熟達させるには1万時間必要だという話......
これから、自分の技術力を向上するために、一万時間じゃなくても、たくさんの練習を経験しなきゃと思います。

学生:任倩玉



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2015年4月16日木曜日

オステオスペルマムの出荷調整と出荷


今日はオステオスペルマム セレニティシリーズ‘サンセットマジック’の出荷でした。

この品種は咲き始めから咲き終わりまでに色が変化していきます。

詳しくは前回記事






上の写真は先週、暑い日が続いた時のものです。
すでにピンク色(咲き進んだ色)の花が目立ちます。

出荷までまだ時間があったので、すべて摘花しました。








こちらは昨日の状態です。
黄色から薄いピンク(咲き始めの色)が多いです。
開花数が少ないように感じますが、次々と開花するこの品種では、
出荷にちょうど良い頃合いです。

いちばん上の写真の状態で出荷してしまうと、
出荷箱の中で2日も経つと、さらに咲き進んでしまい、
お客様のもとに届くころには、最初の花が咲き終わってしまいます。



出荷前日には必ず灌水(この日は液肥)を行います。
鉢底が濡れていると、段ボールの箱の底が抜けてしまうため、
基本的に出荷当日に灌水は行いません。




丁寧に下葉の黄色くなった部分を取り除いてもらってます。





台車に乗せて出荷上まで運びます。
風が強いと茎が折れたりするので、要注意です。



出荷場にはすでにダンボール箱が組み立てられています。




最後の確認の為に、もう一度調整をします。




調整が終わったら鉢をきれいに拭いて、



箱に詰めます。



テープでしっかり止めて、


完成です。

受注生産と市場出荷の大きな違いは、
出荷しなければならない日(納期)に合せて、
花を咲かせることです。

市場出荷の場合は咲き始めたものから順番に出荷することができますが、
受注の場合は、全ての鉢を揃えて一斉に咲かせなければなりません。

一聞しただけで「難しそう」と思いますが、
実際にやってみると本当に難しいです。

ではサンセットマジック達、いってらっしゃい。
(長嶋)


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