2019年7月31日水曜日

被覆効果


 先週末にザッと降った雨や雲もどこへやら、強い陽の光が照りつけるようになってきました。
 自販機の清涼飲料水ゾーンも売り切れがちで、夏が始まったことを感じます。


 薬用機能性植物の苗生産に向けて、採種用の株を育て、きっちりと種子を確保することも大切ですが、新たな品目の活用や、より優れた効率的栽培法を探るため、試験的なサンプル作成も含めた様々な栽培方法を検討しています。



 こちらは根を乾燥させて利用する植物の試験区ですが、何もカバーをしていない無処理区のほか、




 敷き藁を設置した試験区、白黒マルチを設置した試験区を設定して、栽培・比較をおこないます。


 また、定植の間隔も狭くしたものから広くとったものを設定しています。
 土表面の被覆資材の有無による土壌温度の影響による収量や品質への影響、除草作業の手間、隣接する株による干渉の有無から定植密度の検討等…

色々考えられる結果が出てくるのではないでしょうか。


 地上部の生長にも影響が出そうですが、掘り上げてみたときにどのような違いが出てくるのか、楽しみです。


(安藤匡哉)

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2019年7月30日火曜日

梅雨明けJFS

 昨日でついに関東も梅雨明けです!とにかく暑い!!!熱中症には注意しましょう!
さて、本日7月30日は、ジャパンフラワーセレクション2019夏審査日(2回目)です!梅雨明け直後の品種の状態をチェックする最高の日取りとなりました。笑

圃場の様子

温室の様子

いつも綺麗ですが、いつも以上に綺麗にするため、除草や清掃を行います。

こうしたハウスの脇に入ると・・・

雑草が出現!

移植ゴテで土こど取り除きます!

温室内はさらに暑いです!これから夏本番!早く秋来い!笑



(黒沼)

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2019年7月29日月曜日

やっぱり今年も! ~斑入りのアガパンサスが咲かない~

 長雨と低温続きだった7月もあと数日でおわりです。最近は夏らしい日が続いています。農作物の生長の遅れも取り戻して欲しいものです。

小中学校は夏休みに入ったようですが、大学は8月上旬まで授業が続きます。

さて、325日のブログでご紹介した斑入りのアガパンサスですが、今年も予想どおり(?)、咲いてくれませんでした。

325日のブログ





6号鉢に植えられていますが、3月に比べて葉が次々と展開し、鉢が見えないくらいに茂ってしまいました。以前のブログにも書きましたが、このアガパンサスは寒さに弱く、戸外で栽培すると冬越しが出来ず枯死してしまいます。いろいろと花を咲かせる努力はしてきたものの・・・。



外斑の涼しげな綺麗な葉も魅力ですので、花を期待せず、寄せ植えの素材などとしての利用だけでも良いのかも知れませんね。

「咲かぬなら咲くまで待とうアガパンサス!」 

この30年間一度も開花していませんので、もう十分に待っていたのですが、もっと気長に(半分諦め?)開花を待つことにします。



(渡辺 均)
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2019年7月26日金曜日

花の香りに酔い痴れて 第16回 カワミドリ


 こんにちは。学部4年の下重(しもじゅう)です。

 長い梅雨の終わりが見え始め、徐々に暑い日も増えてきましたね。
 今後は、天気予報だけではなく、熱中症情報にも注目していく必要がありそうです。


 さて、第16回の今回は、カワミドリをご紹介いたします。
 このカワミドリの名前を初めて聞く方も多いのではないでしょうか。

 千葉大学 環境健康フィールド科学センターの薬草園内に、カワミドリがあります。



 カワミドリ(Agastache rugosa O. Kuntzu)は、シソ科カワミドリ属の多年生草本植物で、日本各地の山地や草原を含む東アジアに分布しています。

 花に注目して観察してみると、茎の先端に青紫色の穂状花序(伸長した花軸に花柄のない小花が穂状につくもの)の花があることが分かります。


 また、葉を観察してみると、今までご紹介してきたラベンダーやローズマリー、ミントといったシソ科の植物と同様に、対生(1対の葉が向かい合って1つの節につくこと)であることが分かります。



 カワミドリは、エストラゴールなどの精油を全草に含み、非常に独特な香りがします。
実際に、カワミドリの葉の香りを嗅いでみると、非常に苦い緑色野菜のような香りがしました(私個人の感想です)

 カワミドリや同じシソ科のパチョリ(Pogostemon cablin パチュリとも呼ばれます)は、地上部を乾燥させることで、霍香(かっこう 藿香とも書きます)として、霍香正気散などの漢方薬に配合され、芳香性の健胃薬や風邪薬として、その効果を発揮すると言われています。

 これからの季節、梅雨~夏にかけての「湿気」やエアコンによる「冷え」により体調を崩した際や、冷たいものの飲みすぎによる「胃腸の不調」に効果があるようです(個人差があります)


 暑い季節がやってきますが、体調を崩した際は無理をせず、適切な薬を飲み、しっかり休息を取ってくださいね。


(学部4年:下重)

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2019年7月25日木曜日

シクラメン用土作り

シクラメンの用土は他の1年草などの用土と
原料や配合が異なるため、毎年機械ではなく手作業でブレンドしています。

実習でも何度かおこなっていますので、
OB、OGの方にとってはお馴染みの内容ですが、
かなりの労力を要します。

手順としては、
まず床をきれいに掃き掃除し、
それぞれの用土を配合量分用意します。

そして、軽いものから順に重ねて山型にします。

まずは1番軽いピートモス


その上にバーミキュライト


さらに1㎝メッシュで篩った腐葉土


                   ゼオライト


 赤玉土は重いので、バットで計量し



上に重ねて山型ができました。



 水を10%投入


肥料や土壌改良材も加えます


 これをスコップでエンヤコラヤと混ぜていき



反対側に混ぜ終わった山を作っていきます。



上の作業を2往復繰り返した後、フレコンパックに投入します。



出来上がったものをフォークリフトで作業棟へ運びます。

上記の作業を昔の実習では10人ぐらいで2000L分作ってもらっていましたが、
最近では人数が減ったため500~1000L分が精々です。

しかし、生産量はむしろ増えており、
必要な用土量も当然増えています。

残りの量をパートさんで混ぜてもらうのもちょっと・・・
と思っていましたが、
今季、画期的な方法により、たった1人でも、
大量に用土作成ができる方法を編み出しました!
持つべきものは機械です。

内容はお教えできませんが、
大幅な労力の削減に成功しました。
めでたしめでたし。

(長嶋)


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2019年7月24日水曜日

黄金色のめでたい花

 重たい雲の隙間から、ようやく陽の光が差し込む日が増えてきました。
 夏に活気づく植物、気分上々の人々を見るのは心地の良いものです。
 それはそれで植物の灌水頻度と自身の吸水頻度が上がるので、喜ばしいことだけではありませんが…。


 そんな夏に向けて、黄金色に輝く花が、さらにめでたいカタチで咲き始めています。




 こちらはキンミズヒキAgrimonia pilosa var. japonicaというバラ科キンミズヒキ属の多年草です。
 日本では全国各地のやや山寄りの少し湿った道端でみかけられる植物で、夏から秋にかけて小花が密に連なった総状花序(短いながら花柄あり)がみられます。




 名前の由来は、その花穂から金色の花を咲かせるミズヒキPersicaria filiformisという植物にたとえたものですが、キンミズヒキはバラ科であるのに対し、ミズヒキはタデ科の多年草。

 上下で色の異なる紅白の小花を咲かせるミズヒキのほか、白花をつけるギンミズヒキ(銀水引)もタデ科の仲間で、どれも似た花穂をつけますが、キンミズヒキの葉はバラ科らしく粗い鋸歯がみられるため、見分けるポイントになりますね。

 ミズヒキの名の由来は、その花穂の見た目から、祝儀などで利用される水引に似ているため。
 水引は一概にめでたいことのためだけではありませんが、ミズヒキの紅白やキンミズヒキの金色は、慶事に利用される水引の色であるため、めでたい花といってもよいかもしれません。

 キンミズヒキの全草を乾燥させたものは、仙鶴草(せんかくそう)または龍牙草(りゅうげそう)という生薬になり、煎じた液は止血剤やかぶれに塗布して用いられたり、服用することで整腸薬としても利用されます。
 入浴剤としても効用があり、疲労回復に繋がるとされています。


 めでたく綺麗な花を咲かせ、薬用効果もあるキンミズヒキ…ですが、秋になり結実した果実は俗にいう「ひっつきムシ」タイプの厄介者の面も持ち合わせています。

 見た目よしなキンミズヒキ。
 今の時期はその姿を楽しむことにしましょう。
(安藤匡哉)

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2019年7月23日火曜日

無菌ゲル播種

 先日もブログで紹介しましたが、現在、共同研究用として、ペチュニア原種の育苗を行っています。系統によっては、種子がなかなか発芽せず、梅雨空とともに、私の心も曇っていました。
 そこで、今回、共同研究先より、無菌ゲル播種で、発芽個体を提供してもらうことになりました!

こんな感じです!
 シャーレのなかに濾紙を敷いて、植物ホルモンを添加した方法では、発芽が確認されなかった系統も、上記の写真のように、発芽が!!! 無菌ゲル播種のチカラですね。

 そして、19系統が新たにセル上げされました!

 濾紙とゲルの違いですが、こんなにも発芽率に違いが出るとは...
植物も良いベットで過ごせば、良い生育を示すのでしょうか?


(黒沼)


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2019年7月22日月曜日

酸素水の効果

花卉・苗生産部の施設内では、生産や実習を行なっているだけではなく、栽培技術に関する研究も行なっています。



上の画像は、4.5号硬質ポリポットで栽培されているシクラメンです。どちらも同じ品種ですが、灌水している水が違います。左側は通常の私たちが使用している地下水で栽培された株。一方、右側は、通常使用している地下水に酸素を加えた水で栽培された株です。その他の条件は同じです。灌水に酸素を加えただけで葉の枚数も株の大きさも明らかに違ってしまいました。

通常栽培

酸素水で栽培


2枚の画像でもお分かりいただけるように、明らかに根量も酸素水で栽培した方が多くなりました。根が多く伸びているから葉数が多くなったとも言えますが・・・。

この酸素水で栽培された株を12月の出荷まで継続させることで、今後のシクラメンの生育や開花、品質にどのような影響を及ぼすか見極めなければなりませんが、生育の前進によって栽培体系の見直しが必要になったり、作業の省力化が可能になったりするのではないかと考えています。

この技術が実用化することで、シクラメンの栽培コストの低減と品質の向上が可能になればと思い研究を進めています。


追伸
先日開催されました祝賀会には、数多くの方に御出席頂きました。この場を借りて御礼申し上げます。



 (渡辺 均)
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2019年7月19日金曜日

黒い花・・・?

 学部4年の五月女です。
 7月にしては気温が低く、過ごしやすい日が続いていますね。
 雨は依然続くらしく、傘の持ち歩きが欠かせない日がまだまだ続くようですね。
 電車や駅構内への傘の置忘れには注意していきたい所存です。

 今週、学内を歩いていると、圃場に向かう途中に、黒い花のようなものが大量に生えているのを見つけました。




 手に持って写真を撮ろうと試みたのですが、つかみ上げようとすると、花弁のような部分がボロボロと崩れてしまい、うまく撮ることができませんでした。
 しかし、その触感でキノコであることが分かりました。

 調べてみると、これはヒトヨタケ Coprinus atramentarius という名前のようで、写真は成熟した子実体でした。
 この状態のヒトヨタケは、一晩で、柄を残し胞子を含んだ黒い液体になってしまうことからヒトヨタケと呼ばれています。

 このヒトヨタケ、幼菌のうちは食用にされることもあるのですが、コプリンという成分が体内で分解されアルデヒド分解酵素を阻害する物質になってしまうため、アルコールと一緒に摂取してはいけません。
 しかもコプリンは体内に数日残るため、万一ヒトヨタケを食べた場合、数日はアルコールの摂取を控えなくてはいけないそうです。


 柏の葉キャンパスを歩いていると圃場に向かうだけでも多くのキノコを見かけるので、ただの“キノコ”としてではなく、なんという名前なのか、食用にできるのか有毒なのか、有毒なのであればどのような作用を人体にもたらすのか等調べるのも面白いと感じました。


(学部4年:五月女)



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2019年7月18日木曜日

ちょっと珍しい?

雨天や曇天が続き、外の植物はあまり元気がありませんね。

外で雨にあたったペチュニアは腐りかけ、
晴れると開花するガザニアはなかなか花が見られません。
ハウス内の植物も気を付けないと病気が出そうな気配を醸しています。


でもでも、元気に咲いている植物もあります!

その中でも、少し珍しいかな?と思う品目をご紹介。

ウマノスズクサ科アリストロキア(Aristolochia)


こちらはギガンティアとの名前の通り、
人の顔くらいの大きさの花を咲かせます。
ジャコウアゲハ類の餌になるそうで、問い合わせをいただくことも。



写真右は、マメ科チョウマメ(Clitoria)

爽やかな青の花色が特徴のつる性植物です。
別名 蝶豆、バタフライピー
原産地のタイでは、ハーブティーとしても人気だそう。


写真左はヒアシンス科パイナップルリリー(Eucomis)
ユリ科、キジカクシ科に分類されている場合もあります。
花が咲いている状態だと何故この名前なのか分かりにくいですが、、、


開花前を見てみると、納得です。
蕾のユニークな姿と、
花の可憐さが人気です。



スイカズラ科アベリア(Abelia)
斑入りです。

今の時期の葉は、明るい黄色と濃い緑のコントラストがきれいですが、
寒い時期はほんの少し赤味を帯びた部分もあり、
それもまた魅力の一つでした。



ナス科フユサンゴ(Solanum)

楚々とした花が咲いたと思ったら、
丸々とした緑の実が付き、黄、オレンジ、赤と
徐々に色が変わってくるのを楽しめます。
おいしそうに見えますが、毒があるので食べてはダメです!

名に『フユ』と付くことから、
秋冬に実が色付くイメージでしたが、アレアレ?
だいぶ早い時期にも実がなるのですね。
毎年そうなのか、それとも涼しいから今年だけ早いのか・・・?



この蒸し暑い天気では、植物だけでなく人も体調を崩してしまうもの。
皆様どうぞお体ご自愛下さいね~


(池田)



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2019年7月17日水曜日

山のアスパラガス


 7月も半ばを過ぎましたが、まだまだ雨模様は続きそうです。
 去年は異常な暑さが記憶にありますが、同時期の天候についてはどうだったか記憶が曖昧ですね。

 薬草園では、食べると不味い、危険な毒を含むものもあれば、ハイキングで見かけるような美味しい山菜も植わっています。
 これまでにも何度か美味しくいただける山菜を記事にしましたが、今回は山のアスパラガスとも呼ばれるシオデについてご紹介。



 シオデSmilax riparia var.ussuriensis はサルトリイバラ科シオデ属の落葉つる性木本で、日本各地の山地でみられます。
 つる性ということで、他の植物などに絡みついて伸び、5本の葉脈の目立つ葉が不規則に互生します。



 雌雄異株で、夏頃にウドのような球状の散形花序には、淡い黄緑色の花が多数つきます。



 花の後には球状を維持した液果がつき、秋頃には黒く熟します。
 根茎を乾燥させたものは、は馬尾伸筋(ばおしんきん、ばびしんきん)と呼ばれる生薬になり、血行促進、関節炎、リュウマチに効果があるとされています。


 食用としては熟した果実…ではなく、これもウドなどと同様に春先に伸びる若芽部分を。
 直径5mm1cm程度の太い茎の食べ頃といわれますが、山採りではなく自身で育てて食べようとすると、かなり長い株の養成が必要になります。


 秋頃に果実から取り出した種子を播いてスタートすると、育苗に2年半程度、定植してから34年以上して、ようやく収穫にこぎ着けるため、生産性がよいとはいえませんね。
 山菜を栽培する農家さんも多くいますが、シオデに関しては栽培期間の長さと収量の低さから、営利栽培はあまり行われていないようです。


 山のアスパラガスとも呼ばれ、山菜の中でもくせが無く、味が良いとして親しまれているシオデ。
 発芽率の向上、発芽日数、育苗期間の短縮、収量向上につながる栽培、収穫方法の検討…営利栽培ができるようになるまで、まだまだ課題は多そうです。


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