2014年11月28日金曜日

花の香りの研究


冷え込む日も増えてきて、気がつけば今年もあと一ヶ月ほどになりました。

月日の経つのは本当に早いものです。



さて、今回は私の研究テーマを簡単に紹介します。


「花の香り」は人へのアピール要素となるだけでなく、花粉を運んでくれる動物や昆虫を引き付けるなど、植物自身にとっても大切なものです。


私の研究植物であるザルジアンスキア(Zaluzianskya)の中には夜間にのみ香りを出す種があります。




夜間に香りを出すことは知られていますが、未解明な部分が多く残っています。

例えば、

・昼間には全く香り(の成分)を出さないのか。

・時間帯ごとに香りの成分量をみると、どのように変わっているのか。

・周りが夜のように暗ければ、たとえ昼間の時間帯であっても香りを出すのか。

などなど



これらの調査を行い、香りという目に見えないものが植物からどのように放出されているかを解明するのが研究テーマです。


明らかとなったことについては長くなりますので、次回以降に紹介したいと思います。



(学生:修士2 坂田)



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今年も千葉大で生産した良質シクラメンの即売会、
「シクラメン祭2014」を開催します。
ぜひ、ご来場下さい!!

日時: 2014年12月6日(土) 10:30~13:30 (予定)
場所: 千葉大学環境健康フィールド科学センター内 シーズホール

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2014年11月26日水曜日

秋の味覚


先日、長野県のオタネニンジン生産者の方から、苗の間引き、植付けが終わったとの
連絡がありました。





間引きされた苗は食材として、地元の農産物販売所や道の駅、スーパーなどを中心に
出荷されます。



サムゲタン


天ぷら



間引き作業は10月下旬・11月上旬に始まるので、生で出回っているものは少ないかも
しれません。もし、偶然にも手に入れられた方はラッキーです。
ぜひご賞味あれ。体が温まるのが実感できますよ。


植付けが終わると、産地は長い冬を迎えます。


新藤


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2014年11月25日火曜日

パンジーの花を摘む


今日はあいにくの雨でした。
寒かったですねぇ。

今日の、花卉研究室の実習項目の一つは、「パンジーの摘花」でした。
来月出荷予定のパンジー鉢ものの花がらも花も蕾も、すべて摘んでしまいます。



なんでわざわざ咲いた花を摘み取ってしまうんでしょうか。
もったいないような気がしますね。

でも、まだ出荷はまだ先。

最近は寒い日が多くて、温室の窓も閉まりっぱなしの日が増えています。
そうすると、温室の中は湿度が高くなり、いわゆる「蒸れ気味」になります。
こんな条件が大好きなのは、そう、あの嫌なカビ。

花を咲かせっぱなしにして、花がらが増えてくると、「灰色かび病」が発生する原因になります。
「灰色かび(ボトリチス」)と呼ばれるカビが、花がらや花に発生し、やがてカビは花がらから葉へ...

葉は傷み、そのまま放置しておくと、枯死にも至りかねません。
そこで、予防のために花を摘み取ってしまいます。もちろん花がらも除去しつつ。


また、花を摘み取ることで栄養生長を促して、出荷までにしっかり株のボリュームを出す、という意味もあります。

摘花前↓


摘花後↓


寒くて大変ですが、皆さんのお庭でも、花がらをまめに摘み取ると、灰色かび病の予防になりますし、結実も防いで無駄な体力を使わせずにすみ、花を楽しめる期間が、少しでも長くなります。



ところで、今日、ちょっとした事件がありました。
研究室の向かい側に、そこそこ大きなガラス窓があるんですが...
鳥がぶつかって...墜落しました...

おそらくガラスが見えなかったんでしょう。




はじめは失神してピクピクしてたのですが...

箱に入れてやると、起き上がって、だんだん元気に。
やがて、いなくなりました。

無事、飛び立てたんでしょうね。よかったです。

研究生の任さんが調べてくれました。
おそらく、ムクドリの幼鳥、だそうです。

巣立ったばかりで、ガラス窓にも慣れてなかったんでしょうね。


金谷

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2014年11月21日金曜日

種子交換プログラム ~種子の採取と同定~

千葉大学花卉園芸学研究グループでは、1986年から種子交換プログラムに参加しています。種子交換プログラムとは、世界50カ国240の植物園が参加しているプログラムであり、各団体が採取した種子を、参加団体間で希望に応じて交換するというものです。
 このプログラムの利点は、市場に流通しない種子を研究用に収集することが可能である点に加え、遺伝資源の保全にも役立ちます。
 この写真は、先日行った種子採取の写真です。今回は千葉県内の山と海岸で採取を行い、65種程採取することができました。その多くが木本植物の種子です。


 採取した種子は、大学に持ち帰りすぐに同定を始めます。種子や葉が傷むと、正確な同定が難しくなっていくためです。写真の小林君(修士課程1年)は、シモツケ属と判断し図鑑で同定を行っていますが、シモツケ属だけでも、シモツケ・イワシモツケ・マルバイワシモツケ・トサシモツケ・マルバシモツケ・エゾノマルバシモツケ・・・・と気の遠くなるような作業です。
 同定が終了した種子は、果肉を取り除くなどの種子精製を行い、発芽率向上に努めます。


 写真は、法面に自生していたダイモンジソウです。自生地を訪れ、種子の採取・同定を行うことは、育種や栽培管理等を考える上でも、貴重な経験であります。

また、緑化事業においても、近年「地域性苗の使用」という考え方が普及してきており、緑地を造成する際は、可能な限り周辺地域に自生する個体の種子を育苗して、利用することが望ましいとされています。このような緑地造成は、手間と費用がかかり、種子の採取~育苗までの知識と技術を持った人材も不足しているとのことです。

「百聞は一見に如かず」という言葉がありますが、今回の「一見」をどう活かすかが、大学生の大きな宿題のようです。


学生:黒沼


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2014年11月20日木曜日

ストックの表の(?)顔

先週、ストックには一重と八重の花があることを
ブログに書きました。

http://naeseisan2.blogspot.jp/2014/11/blog-post_13.html

今回は、それを見分ける方法
【八重鑑別】のポイントについてお伝えします。

●一重
  生育:遅い ・ 子葉色:濃い ・ 子葉の形:丸型 ・ 子葉面積:小さい ・ 丈:低い

●八重
  生育:早い ・ 子葉色:薄い ・ 子葉の形:楕円型 ・ 子葉面積:大きい ・ 丈:高い 

(サカタの種カタログ参考)


この特徴を押さえて、
一重と思しき苗を間引き
八重と思しき苗を残します。

写真右が一重(と思しき苗)。
写真左が八重(と思しき苗)。



















・・・皆さん違いが分かりますか??

パッと見ただけではなかなか判断がつきませんよね。
熟練の業が必要です。

でも、熟練の業を磨き途中の学生実習で
いきなり八重鑑別をしてくださいなんて鬼の所業・・・

オニーと、言われないように
実習では播種時に一工夫しておきました。


一つのセルに複数粒播種すると
もちろん複数本が発芽してきます。

同じセルの中に苗が並んでいれば、、、















生育が遅くて丈が低く、子葉の色が濃く形が丸く面積が小さい苗が!
この写真では右側の苗が!!
一重!!!

種子が倍以上必要になりますが
これなら初めて八重鑑別をする人にも
比較的容易に判断することが出来ます。


播種から約一週間後に八重鑑別を行い、
約一カ月後にはポット上げです。
花が咲くまでに約三カ月はかかります。

実習で間引いてもらった苗は
どれくらい鑑別出来ているのでしょうか?
開花が楽しみですね~♪


ちなみに八重鑑別をする前に肥料を与えたり、
元々肥料分の多い土を利用したりすると、
全体的に葉色が濃くなってしまい
比較しにくくなりますのでご注意を。





(池田)





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2014年11月18日火曜日

講演会を聴きに...


先週土曜日に、とある講演会を聴きに行ってきました。

花の話? 植物の話?

いいえ。報道に関係する講演会でした。

NHKの夜のニュース番組、「ニュースウォッチ9」のキャスター、大越健介さんの講演会が柏市内で開催されるというので行ってきました。



東大野球部でエースピッチャーだったという、おもしろい経歴をお持ちで、アナウンサーではなく、長く記者をされている方です。

NHKという、私見に偏った報道は許されない場で、今起こっていることをどのように、わかりやすく視聴者に伝え、さらに問題を提起して、視聴者が考えるきっかけを作ることができるのか、ということを考えて番組作りをしていること、

政治記者時代、記者と政治家の関係構築ってどんな風にやっていったのか、政局の見方や政治に関する報道の見方、今回の衆議院解散の意味、

長崎原爆の体験者である、美輪明宏さんのインタビュービデオを見ながら、当時の体験・日本の社会がどんなことになっていたのか、といったお話や、最近、また、日本人が画一的になっているのではないか、世の中には、様々な考えや意見を持った人がいるはずなのにすることに偏っていないか、答えがイエスかノーで決まる事柄なんてそんなにあるはずないのに、どちらかに決めようとする風潮が蔓延して、日本人の考え方の多様性が失われつつあるのではないか。まず、人の意見を受け入れる、ということが少なくなっているのではないか。

東日本大震災の被災地のこと、ウクライナや、中東のこと、スタジオでできあがった原稿を読むだけでなく、現場に出て、今現場で起こっていること、生の声を伝えようとしていること、

いろいろなお話を聞くことができました。

最後に、とにかく人と人とのつながりが、一番大切。相手が政治家であっても、被災地の住民の方々であっても、誰であっても。

花もそうです。いくら花に思いを募らせても、花はしゃべりませんし動きません。花をうまく売るときには、品質はもちろん大事ですが、最後は人間 対 人間。普段の会話、おつきあい、信頼関係がより大切な気がします。

とてもわかりやすく、柔らかい言葉でお話しして下さって、すっかり聞き入ってしまい、あっという間に時間が過ぎました。

先日、このブログでも書かせて頂きましたが、ペルーやアルゼンチンで、大勢を前にお話しさせて頂く機会がありました。自分の言いたいことをちゃんと伝えることができたのかどうか、今でも不安です。
やはり、いろんな人のお話を聞いて、話し方や話の組み立て方、もちろん話の内容、すっかりオッサンになった今も、まだまだこれからも勉強しないとな、と思った次第です。

(金谷)

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2014年11月17日月曜日

ところ変われば・・・

ここ数年、野生植物の調査や講演会などで出張に行くことが多くなり、その際には地元の農産物直売所などへ現地の方に案内されることがあります。直売所では地元産の農産物が地元の人にしか分からないような規格や栽培・収穫された地名が付けられて販売されていることがあります。最近目にして興味深かったものは・・・



愛媛みかん。愛媛で販売されている温州みかんは、種類の多さと値段の安さはさすが本場です。同じ温州みかんでも品種の違いと県内の産地で値段が違っています。知る人ぞ知る美味しい愛媛みかんが収穫される場所(地名)なのでしょう。


それにしても関東ではなかなか見ることができない安さです。




秋田県三種町のじゅんさいの瓶詰。店頭に何種類も並べられていますが、その規格と値段を見ただけでは、何が違うのか良く分かりません。店員さんに尋ねると若芽の大きさで分けられているようです。こんなに種類が多いとどれを選んで良いか迷いますが、地元の方は調理方法(食べ方)によって、使用するじゅんさいの種類も変えているようです。やはり、地元の方に聞くのが一番です。試しにすべて購入して食べ比べてみましたが、じゅんさい初心者にとっては、芽の大きさと食感の微妙な違いはありましたが、どれも美味しいとしか言えませんでした・・・。

古くからの産地であったり、もともと生産量や消費量の多い地域であったりすると、農産物を栽培された地域(地名)や品種、大きさや重量、用途などで識別し、それを地元独自の規格として販売している品目も結構多いですね。他所から来た人が見ても良く分からないことが多いですが、地元の方達はその違いを当然のように認識・識別し、地域独自の食文化を形作っています。この違いを地元以外のより多くの方に認知されれば、産地ブランドとして、また限定的な規格品としてその付加価値が理解され、新たな全国ブランドとして育つ可能性もあるのではないでしょうか。



  (渡辺均)

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2014年11月14日金曜日

ハイ&ロー?


みなさん、こんにちは。

最近は気温の低い日が増えて、すっかり秋らしくなってきましたね!

柏の葉キャンパスの路地圃場では、パンジー・ビオラが満開です。


カラフルな絨毯のようですね。



そんな中、本日の実習では、これからの季節贈答用などで人気があるシクラメンの葉組み&花寄せを行いました。

シクラメンの手入れもいよいよ最終段階です。

そして出荷時の品質を上げるのも下げるのもこの作業にかかっています。


以前もご紹介したことがあるかと思いますが、まずはじめに、今までやってきた葉組みを崩さないように、慎重に内部で枯れている葉を取り除きます。


その後、鉢の中央部の葉を、少し外側に出して形を整えた後、花やつぼみを中心部に寄せていきます。


完成後はこのように中心部に光が差し込むようになります。

この作業を行うことで風通しが良くなり病気が抑えることができ、中心部に光が入ることで新葉の展開を促すといった効果があります。

お客様の手にとってもらった時に、最高の状態であるために「上がれ~、上がれ~」と念じながら作業を行いました。


(学生:学部4年村岡巧)


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2014年11月13日木曜日

ストックの裏の顔!?

アブラナ科ストック(Matthiora incana)は、秋から春まで
お花屋さんや園芸店に並びます。






















お花屋さんでは切り花で販売され、
冠婚葬祭などにも人気の高い品目です。

園芸店ではポット苗での販売が主で、
色合いや花の豪華さ、育て易さなどから
こちらも人気の品目です。


一般の知名度も高いストックですが、
実は大抵の人が見ているのは
ストックの表の顔のみなのです・・・!!?


ストックの裏の(?)顔は、、、というと





















なんだか花弁がスッキリして見えませんか?

一枚目の写真の苗と
同じ品種の同じ袋の種子を播種したものですが
こちらは一重の花なのです。
もちろん管理も同じです。

お店に並ぶストックは通常、
一枚目の写真のような八重のものばかり。


でも、本当は、
一重と八重とが半々くらいの確率で
混在しているのです。


種子の段階では、一重と八重の判別は出来ません。
















種子の袋にも【八重率は55%程度】とあります。

播種をしてそのまま栽培すれば
一重が45%、八重が55%の割合で開花するというわけです。


でも、、、人気があるのは八重ばかり。
八重の方がゴージャスで、開花期間も長いからでしょうかね。
(八重の花は雄ずい、雌ずいが花弁と化したもので
生殖能力がなく花が長持ちしやすい)

花壇苗としては一重を好む人もいますが、
生産の立場から考えると、ロスを少しでも減らすため
苗を育てる初期の段階で八重率を向上させる必要があります。

そのための作業を『八重鑑別』と言い、
幼苗の内に、一重を間引いて八重を残します。




鑑別のポイントは・・・
長くなりそうなのでまた今度!!!
アディオス~♪





(池田)



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2014年11月10日月曜日

育種の現場


先週金曜日(11月7日)、学生さんたち、研究員の方々、教員の総勢15名で、静岡県内の種苗会社の農場を見学させて頂きました。

午前中は横浜植木株式会社さん、午後は株式会社サカタのタネさんの研究農場を見学させて頂きました。


横浜植木さんは野菜類の育種で有名ですが、ペチュニアやビオラ、サルビアの育種も積極的に取り組まれています。




サカタのタネさんは世界的にも大手の種苗会社で、花卉の育種も大規模に古くから取り組まれています。




どちらの会社でも、千葉大園芸学部の卒業生が育種担当(ブリーダー)として活躍されていて、今回の大人数の見学も快く受け入れて下さり、業務内容や業界について詳細に説明して下さって、質問にも丁寧に答えて頂きました。

学生さんたちも、社会に出たら、実際の育種の業務についてや、学生のうちに身につけておくべきことのアドバイスをいただいたり、とてもよい機会になったはずです。現場の生の声を聞くことのできるチャンスは意外に、とっても貴重なんです。

私も何年か前まで育種の現場に身を置いていましたので、現場の方のご苦労は肯けることばかり。

学生さんたちもこのような機会を大事にして、社会に出たら後輩たちに自分の仕事を、自信を持って説明できたり、後輩たちに、社会人としてしっかりアドバイスできるようになって欲しいな、と思っています。

見学にご協力頂きました皆様、本当にありがとうございました。


(金谷)

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