2019年12月6日金曜日

花の香りに酔い痴れて 第25回 ヒイラギ

 こんにちは、学部4年の下重(しもじゅう)です。

 12月に入り、今年も残すところあと1か月になりました。
 クリスマスも近づき、クリスマスの装飾やイルミネーションを見る機会が多くなりましたね。


 「花の香りに酔い痴れて」シリーズ、第25回の今回は、クリスマスの代名詞ヒイラギをご紹介いたします。

 千葉大学環境健康フィールド科学センターの高度化セル成型苗生産利用システム付近には、斑入りのヒイラギが植えられています。



 ヒイラギOsmanthus heterophyllusは、モクセイ科モクセイ属に分類される、常緑性の小高木(樹高48m)です。
 日本では、福島県以西の本州、四国、九州及び沖縄県の山地に自生しています。


 ヒイラギの葉(幼形)には、鋭い鋸歯(周縁部にあるのこぎりのようなギザギザのこと)があり、触れると非常に痛いため、ひりひり痛むという意味の「疼ぐ(ひいらぐ)」が転じて、「疼木」、「柊」という漢字が当てられています。
 しかし、ヒイラギの老木の葉(成形)は全縁(葉の周縁部に鋸歯を持たないこと)で、楕円形をしています(以前、渡辺先生がご紹介してくださっています)


 しかし、皆様、ヒイラギの花をご覧になったことはあるでしょうか?

 ヒイラギは、11月以降になると、葉の付け根に小さな白色の花を沢山咲かせます。
 直径約5mmの花冠(花びらのこと)4つに裂けて反り返っており、非常に長い雄しべを観察することができます。



 そして、この花の付き方、どこかで見たことがあるような感じがしませんか?

 そう、22回でご紹介した「キンモクセイ」によく似ていませんか?
 どちらも同じ、モクセイ科モクセイ属Osmanthusに分類される仲間です。

 覚えていらっしゃる方もいるかもしれませんが、ヒイラギとキンモクセイに共通する属名Osmanthus は、ラテン語のosme(匂う)anthos()に由来しています。
 つまり、ヒイラギも「匂う花」を咲かせるということですね。

 ヒイラギの花の香りを嗅いでみると、キンモクセイほど強烈な匂いではなく、爽やかな香りが仄かに感じられます。


 しかし、皆様、ご注意を。
 クリスマスに使われるあの「ヒイラギ」は、本物のヒイラギではないことが多くあります。


 クリスマスに使われるあの「ヒイラギ」は、モチノキ科モチノキ属に分類される、セイヨウヒイラギIlex aquifoliumです。
 セイヨウヒイラギは初夏に花を咲かせ、冬に赤色の果実をつけますが、本物のヒイラギは67月に黒紫色の果実をつけます。
 また、セイヨウヒイラギの葉が互生(葉が互い違いに付くこと)するのに対し、ヒイラギの葉は対生(葉が対になって付くこと)します。
 しかし、Osmanthus に分類されないセイヨウヒイラギも、小さな白色の芳香性のある花を咲かせるというから、ややこしいですね。

 「クリスマス・ホーリー」と呼ばれるセイヨウヒイラギだけではなく、今が旬のヒイラギの花をお庭で楽しむのも良いかもしれませんね。
 皆様が、良いクリスマスをお過ごしできますように。


(学部4年:下重)



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