先週は猛暑の中、日帰りで埼玉県、栃木県の花の生産地を周ってきました。外は37℃の猛暑。そのような環境で夏にも安定的に花の生産・出荷を行なっている生産者の施設を見せて頂きました。この時期は、いかにハウス内を涼しくするのかが大きな問題です。日除けや送風機の使用、ミストを駆使し、様々な工夫を凝らしていらっしゃいましたが・・・。とはいえ、やはりこの猛暑に植物も作業者も相当堪えているようです。
一方で、この地域では以前から「山上げ」という方法が行われています。猛暑を避け、株の消耗を防ぎ、品質を高く維持するために標高の高い場所に植物を移動させ、夜温が下がる秋に平地に戻す方法です。いわゆる植物の避暑ですね。山上げされる植物には、秋以降に出荷する花壇苗や鉢花、イチゴの苗などがあります。
関東周辺の山上げの適地は、日光の戦場ヶ原、長野県軽井沢、山梨県忍野村など、人々の避暑地としても人気の高い場所が挙げられます。埼玉県や栃木県の生産者は、日光の戦場ヶ原をおもに利用しています。
いろは坂を登って中禅寺湖の横を通り、埼玉からおよそ90分で戦場ヶ原に到着しました。お昼の気温はなんと26℃! 夜温は夏でも20℃以下になるとか・・・。 この環境でしたら植物も快適ですね(人間も!)。
イチゴの他に、カランコエ、ガーデンシクラメン、球根ベコニア、クリスマスローズなどが並べられていました。どの植物も生き生きとしていました。
一方で、花の価格の下落や消費の低迷、生産者の高齢化などにより、移送コストや管理コストを考えて山上げをやめてしまう生産者も多く、山上げ地の遊休地も目につきました。
戦場ヶ原で山上げに利用される面積は年々減少傾向にあるようですが、猛暑が続き、夏が長くなる中、山上げされた植物は、平地で栽培された植物と比べものにならないほど品質が維持されています。いろいろと考えさせられましたが、日帰りがとても残念な出張でした。
(渡辺 均)
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