2016年9月30日金曜日

JFSの除草・コブシの収穫


 暦の上では秋が近づいてきましたが、まだまだ暑いですね。

 本日の実習では、まずジャパン・フラワー・セレクションの花壇の除草をおこないました。

 審査に支障が出ないように、対象となる植物以外を綺麗に抜き取ります。



 研究室の新入生である3年生が4人全員集まり、若い力のおかげか早く作業が終了しました。


 本日もうひとつの作業として、コブシの収穫をおこないました。

 コブシは、モクレン科モクレン属の落葉広葉高木であり、春に白い花を大量につける花木です。

 観賞以外にも用途が様々あり、花蕾は鼻炎、鼻づまりなどに効果があるとされています。
 花自体は香水の原料にも利用でき、赤い果実からは果実酒を作ることができます。


 本日は種子を採る目的で、コブシの果実を収穫しました。

 その果実が熟して乾燥することで、果実の中の種子が簡単に取れるようになります。



コブシの木。


 コブシの果実。

 なかなか毒々しい姿をしています.

 中に見られる赤い部分が仮種皮に包まれた種子です。




ブシの果実が高い場所に位置していたため、実を収穫する際に長い高枝ばさみを使いました。




 木に登って採れる範囲のものを採ります。



 脚立も使います。



 いっぱい収穫しました!
 こう見えても、この実はいい匂いをしていますよ!

 収穫した果実から種子を分離したのち、水にさらして仮種皮を取り除き、播種していきます。
 一風変わった果実から、白く美しい花が咲くとは…自然の不思議です。


(学生:学部4年:趙)


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2016年9月29日木曜日

うーさーぎおーいし

ぐずついたお天気が続いて、
ふと気が付けば秋も最中になっていた関東です。













ヒガンバナ咲く対岸の圃場には、
パンジーやハボタンが広がり始めました。


この季節、露地で植物を栽培することは大きなリスクを伴います。
特にこの広いキャンパス内には多くの植物や手付かずに近い森があり、
農作物にとっての害虫や害獣、害鳥もたくさん住み着いているのです。

苗を外に移動する前から殺虫剤や忌避剤を利用し備えていますが、
それでも先住民族には勝てないこともあります。


金曜日に移動したハボタンが、月曜日朝には哀れな姿に・・・











犯人の姿は捉えられませんでしたが、物的証拠が残っていました。















キャベツと同じアブラナ科Brassica属ですから、さぞかしおいしかったことでしょう(白目)


パンジーもポット上げした翌日に・・・











カラスに遊ばれていました。

準備は万端のつもりだったのですが、
今年の敵はなかなか手強い相手のようです。


害虫対策としてはハウス内より頻度を上げて薬散をすること。
農薬は即効性のものと緩効性のものを組合わせて使用すること。

害獣対策としては、電柵などで物理的に侵入を防ぐこと。
イヤ~な臭いの忌避剤などを使用すること。














害鳥対策としては、圃場の近くにいたら脅しをかけて危険箇所と思わせること。
ラベルを空から目立たないようにすること。















最近では、圃場の見回りを増やし、
カラスを見付けたら追いかけ、
ウサギのふんがあったらバリケードを作り、









植物よりも動物のことを考えているような気がする今日この頃です。





(池田)





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2016年9月28日水曜日

ダンギク最盛期!


 夏の暑さも過ぎ去…ってはいなかったですね。
 今週は、温度も湿度もなかなかの高スコアを叩きだしています。
 通勤の際は、半袖では肌寒さを感じるようになってきましたが…。

さて、9月も終わりに近づき、日も短くなってきた今日この頃、1ヶ月ほど前にご紹介した私の研究植物である『ダンギク』が開花期を迎えています。




 この茎を取り囲むように、小花を咲かせる花房部分が段状につく様子から、『段菊』の名がつけられたと考えられています。

 1段あたりに咲く小花の数は自生地によって異なり、少ない場所のものでは40花以下、多いものでは100花に達することも。
 このボリュームの違いは見た目にも大きく影響しそうです。


 また、ダンギクは『花色:青紫』と表記されることが多く、確かに小花の色はそう見えますが…。




 ひとまとめに青紫色、といっても濃淡だけで全く印象が変わりますね。



 並べてみると違いがはっきりと分かります。

 手前の薄い花色の個体は長崎市周辺に自生していた集団から、奥の濃い花色は長崎県対馬に自生していた集団から採種した栽培個体。
 花色だけでなく、葉の形も丸っこいものと細長いもので違って見えますね。


 そのほか、園芸品種としては桃色や白色の花をつけるものも。




 涼しげな色とは異なり、柔らかな印象を与えてくれます。

 この色変わりはブリーダーによって長い年月をかけて作られた…わけではなく、自然にも変異として現れます。



 長崎県五島列島で確認された白花の変異個体。
 1株だけ周りと明らかに異なる花色を示しました。


 古くから愛されていた記録も残っており、日本では宝永7(1710)の江戸時代の書物『増補地錦抄』に「菊の名にて菊にあらずこまかに集りたる花ひらく葉段々に車に付て花も其ことく紫と白二種有」という記事が載せられています。
 江戸時代に同じように愛でられていたと想像すると、なかなか感慨深いものです。



 組み合わせてみると、賑やかな絵になりました。
 仕立て方次第では、3色ミックスなり、濃淡ミックスの鉢花も作れそうですね。

 初秋を彩るダンギクの最盛期をご覧いただきました。

(安藤匡哉)


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2016年9月27日火曜日

ミカン科植物の探し方

今回は、ややグロい写真が多いので、お食事中の方はお食事をお済ませになってからご覧いただくか、または、「今日は見ない!」と心に決めて頂いた方がいいかもしれません。


さてさて、このブログでもたびたび登場するキャンパス内の薬草園を改めて散策してみると、こんな薬木がありました。

ミカン科の植物なんですが、葉が大きくて、よく見るミカンやユズなんかとはかなり違う姿をしています。


私はこれ↓を見るまでミカン科とは気付きませんでした。
ゴシュユ(呉茱萸)と呼ばれ、漢方薬としても用いられるそうです。


で、「へぇ~、ミカン科なんや。この木ぃ。」
なんて思いながらじっと見ていると、こんなのが葉を食べていました。


そう。ミカン科の植物を食草とするアゲハチョウ(ナミアゲハ)の幼虫です。


よく見れば、若齢幼虫も含めて、幼虫がいっぱい...
私はミカン科の植物とはわかりませんでしたが、アゲハチョウはちゃんとミカン科の植物と認識して、産卵しています。
私、分類の力ではアゲハチョウに完全に負けてます...

それでは、ということで薬草園の他のミカン科植物を見てみました。


サンショウ↓
木の芽和えにしたり、ウナギの蒲焼きをより美味しくする、あれですね。



ちゃんといらっしゃいました。

まだ幼木のウンシュウミカンには...↓




もちろん!!
いらっしゃいます。


ミカン科植物が並んで植わっているわけでもないのに、なんと目ざといこと。

ミカン科の植物を探すんなら、俺に聞くより、アゲハに聞け!

人間にとっては葉を食害する害虫、気持ち悪いイモムシ、ということになってしまいますが、生命を繋ぐためのその選球眼の鋭さには、感服です。


ちなみに、セリ科植物を探したければ、コイツ↓に訊ねて下さい。
私よりセリ科植物に詳しいお方です。


(アシタバ葉上でお食事中のキアゲハの幼虫)


(金谷)


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2016年9月26日月曜日

花が飾られている街

924日~25日に富山市内の富山国際会議場で生薬学会が開催され、当研究グループからも2課題の研究発表(ポスター)を行なってきました。

国産カラスビシャクの栽培化に関する研究(第4報)
フタバムグラ(Hedyotis diffusa Willd.)の施設栽培に関する研究

その専門的な内容はともかく、今回、久しぶりに訪問した富山市内の駅前の宿から、学会会場まで路面電車に乗らず、約15分をかけて歩きました。その間に・・・


駅周辺から、城址公園(富山城)にかけての街灯の下にハンギングバスケットが飾られていました。後方が富山駅です。


ベゴニア‘ワッパー’ですね。

飾られている植物は、どれも丈夫でメンテナンスが少なくて済む植物ばかりでした。良く考えられて植えられています。


富山市役所の壁面にもハンギングバスケットが飾られています。良く手入れをされています。


高いところに飾られていますので、自動灌水装置が取り付けられています。


車寄せの前にもベゴニア・センパフローレンスが植えられていました。


さらに歩くと、城址公園周辺は、インパチェンスで飾られていました。
見事ですね。


植え込みにも花が使われていました。ハンギングバスケットに比べ、手入れがあまりされていないようでしたが・・・。ハナスベリヒユやマリーゴールド、ジニアなどが植栽されていました。


ハナスベリヒユは、株元の分枝が少なく、枝先に花を着ける習性なので、生育が進むと株元に花が無くなってしまいますね。まだまだ、品種改良の余地がありますね。


植えられている花の名前をプレートにしてありました。少しでも花に興味を持って貰おうとする意図が感じられますね。


一方で、残念ですが花を飾っている側の想いや意図を100%の通行人や市民に理解されている訳ではありませんね。でも、やはり花とゴミは似合わないものです。私も時々お世話になる飲み物ですが、私はきちんとゴミ箱に捨てています。


お城を右手に見たら、学会会場の富山国際会議場です。


会場入り口


富山市が花のある街づくりを積極的に進めていることが良く分かりました。前例があった訳でもなく、黙っていてもこのようなことを行政が積極的にしてくれた訳ではないと思いますので、このような方向に運動し、設置され、維持されていることに敬意を表します。富山市は、街なかに花のある生活や文化が育ちつつあるのではないでしょうか。

一方で、これだけの規模ですので、市としてもハンギングバスケットや花壇の維持に年間でかなりの予算が使われているのではないかと思います。今後は、景観を維持しながら、いかに維持経費を減らし、市民の参加や理解をさらに進め、継続させることが必要ではないかと思いました。

富山市を訪問した誰もが、富山市内は花で飾られた綺麗な街だという印象をもち帰ることでしょう。その経済効果は? 良い取り組みを拝見することができました。


  (渡辺 均)

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2016年9月23日金曜日

米沢藩主 上杉鷹山公の植物を使った政策

 本日は、私の故郷でもある山形県の偉人「上杉鷹山公」について紹介します。
山形県に縁のない方にもお付き合い頂ければと思います・・・

 上杉鷹山は、江戸時代中期の米沢藩9代藩主です。
 当時深刻な財政難を抱えた米沢藩において、大検約や農業開発などの政策により、再生のきっかけを作ったことから、江戸時代屈指の名君として知られています。
 この名君による政策の一部は、現在でも文化として地域に根付いています。


 これは「お鷹ぽっぽ」と呼ばれる米沢市笹野に伝承する笹野一刀彫の郷土玩具です。
上杉鷹山公が、農民に冬の副業として、工芸品の制作を推奨したことがきっかけとされており、私の祖父母の家にも飾られていた記憶があります。

 この笹野一刀彫には、ウコギ科ウコギ属のコシアブラ(Acanthopanax sciadophylloides)が使用されています。
コシアブラ開花の様子

コシアブラの幼木

コシアブラの新芽

 コシアブラは、落葉高木で、若葉にはケンフェロールやイソクエルシトリンが含まれており、高血圧症などに煎用されるそうです。フィールド科学センターの薬草園にも植栽されています。
また、新芽は天ぷらやおひたしとして食されています。写真の新芽はまさに食べごろです。


こちらは、薬草園のウコギ(Acanthopanax sieboldianus)です。

 ウコギは中国原産の落葉低木で、根皮を五加皮と称して、強壮・鎮痛薬として利用されています。
 また、ウコギは棘があること、若葉が食べられることから、食用を兼ねた生垣として、上杉鷹山公により推奨されました。現在では、うこぎご飯が郷土料理として、親しまれています。


 200年以上たった今でも文化として根付いているのには、上杉鷹山公が名君であったことに加え、自然(植物)をうまく利用し、その自然が保たれているからこそ、なのかもしれません。


 最後に、植物とは関係ありませんが、上杉鷹山公の有名な言葉を紹介します。

「なせば成る なさねば成らぬ何事も 成らぬは人のなさぬ成りけり」

ノスタルジーも一瞬で冷め、心が少し苦しくなってきた気がします。
気がするだけです・・・



学生:黒沼

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