2015年7月28日火曜日

樽プランターを花で埋め尽くす ~ 結果発表! ~

5月のブログで、園芸学科3年生の栽培・育種学専門実習で、直径約45㎝の樽プランターにさくらさくらシリーズのポット苗を植え付ける制作課題についてご紹介しました。

今年は、ひとつの樽プランターにさくらさくらと桃色吐息を3株ずつ、おゆきちゃんを2株の計8株を植え付け、樽プランターの外側の1/2まで枝が伸び、株全体が花で埋め尽くされることが目標です。栽培スタート時の5月のブログは、下記をご参照下さい。
http://naeseisan2.blogspot.jp/2015/05/blog-post_11.html

学生さんの作品はどうだったのでしょうか・・・。昨日が実習最終日でした。今年の学生さんの作品はかなりの力作です! 花数も多く、かなりボリュームがありますね。



それでは、評価の高かったベスト5です。



上から見ると綺麗に丸く仕上げられています。花数の多さと株のまとまり、株全体のバランスがとても良く、観賞するタイミングとしてもばっちりです。お見事!


 

やや伸び感じはありますが、花数の多さと株のボリューム、株のまとまりは二重丸です。


 

向って左側に花が少ないところが見られますが、株のまとまり、ボリューム、開花のタイミングは十分ですね。



花数も多く、ボリュームも十分ですが、おゆきちゃんが少なく、やや伸びすぎたのと右に斜めになってしまっているのが残念です。

 

花数は十分、良くまとまっていますが、やや伸び過ぎてしまいました。


 

花数も多く、良くまとまっています。ピンチのタイミングが早かったため、枝がやや伸びてしまいました。

以前にも書きましたが、課題としての最終的な出来の良し悪しに一喜一憂するよりも、じっくり時間をかけて植物の生長の変化を観察し、その生長に合わせて栽培者の思考力・対応力を身に付けてもらえたら良いと思っています。情報が溢れ、何かと近道の正解を求めがちですが、似たような作業を繰り返したとしても、御覧のようにどれ一つ同じ作品ができる訳ではありません。これからも、ご自分自身の目で植物と向き合い、その思考力・対応力を磨いて欲しいと願っています。


  (渡辺均)

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2015年7月27日月曜日

島根のシクラメン生産

猛暑が続いていますが、なぜか今回のブログの話題もシクラメンです。

723日~24日に島根県の鉢花研修会に出席してきました。島根県の出雲市周辺では、戦後からシクラメンの生産が盛んになったそうで、数軒の生産者で数十万鉢を生産しています。こちらの特徴は、底面吸水用の鉢を使用し、4号~5号鉢仕立が中心ですが、西日本では有数の品質の高いシクラメンの産地として認知されています。


鉢は溝形鋼(C形鋼)の上に整然と並べられ、仕上げ鉢に定植後、しばらくしてからは溝形鋼に通水し、鉢の底面から水や液肥を与えます。


先週のブログでご紹介した群馬での生産方法とは、鉢の形状や大きさはもちろん、用土の配合もまったく異なっていました。

こちらの産地も2代目、3代目の比較的若い方が生産の主流になりつつあり、地域に合った独自の栽培技術を継承しながら、新たな技術を取り入れ、熱い思いで品質の向上に取り組んでいらっしゃいました。

こちらのもう一つの特徴は、行政からの支援が厚いことです。春には県が育成したアジサイ品種‘万華鏡’を生産し、おもに母の日のギフト用鉢花として出荷しています。この品種は、生産が追い付かないほど注文が殺到しているようです。行政(県)と生産者が手を組んで、地域の農業を活性化している花では数少ない事例の一つといえるでしょう。



  (渡辺均)

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2015年7月24日金曜日

封印された剣

こんにちは!
長いじめじめした梅雨も明け、台風もちらほら、、、
日差しは強くなり、気温も上がってまいりました。

これから、夏本番といったところでしょうか。

そんな中、1000属ハウスではある花が咲いていました
この花なーんだ?
正解は、アヤメ科グラジオラス(Gladiolus)です。
日本ではトウショウブやオランダショウブとも言われます。



きれいに咲いています。
名前は、葉、または花が咲く前の一連のつぼみが剣のように見えることから、ラテン語の剣(Gladius=グラディウス)に由来しているそうです。

このグラジオラス、園芸品種が多く出回っていて
実は自宅でも育てていますが、、、

不動!

花芽が付きません(写真が用意できなくて申し訳ありません)
しっかり成長しているのに!去年は咲いたのに!
まさに封印された剣です()

グラジオラスが開花しない理由で簡単に考えられるのは、、、
    日当たりが悪く日照量が足りない場合
    水はけが悪く根が弱り、生育不良となる場合
    球根が増えて密集し、肥料不足となる場合
などがあります。

    1000属ハウスでは、外のベンチにおいてあり、遮蔽物もなく日当たりが良い
自宅は、西側のベランダにあり午後すぎまであまり日があたらない
    水はけは問題なくよく成長している
    掘り起しを行い十分なスペースを空けたのちに植え付けを行い、肥料を管理

結果①ですね、、、
グラジオラスは18時間から終日、株本までしっかり日を当てたほうがよいみたいです。

封印を解くために8時間、長いと感じるか短いと感じるかは、住む家によるところが大きいのではないでしょうか。

封印解きたいなぁ、、、


(学生:修士1年 村岡)

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2015年7月23日木曜日

人生いろいろキク科もいろいろ

地球上のほぼ全ての地域に自生し、最も進化したと言われるキク科。

多年草が多いですが、低木や高木になるものもあります。
園芸品種では、色幅の広さや、開花期間の長さ、管理の容易さなどから
ホームセンターでも年中何かしらかは見かける人気の科です。

ハウスの中や、周囲をちょっと見渡しただけでも・・・












キク(Chrysanthemum)
鉢植えの矮性品種(もしくは矮化剤で草姿を抑えたもの)を
ポットマムと呼ぶ。




マリーゴールド(Tagetes)
一般的に目にするのは、フレンチ(T. patula)とアフリカン(T. erecta)が多い。
写真はフレンチマリーゴールド。



















オステオスペルマム(Osteospermum)
現在はディモルフォセカとは別属に分類される。













ガザニア(Gazania)
別名クンショウギク。中心に斑紋が入る品種が多い。













カレープラント(Helichrysum)
開花するとカレーの香りが漂うハーブ。
別名、イモーテル、エバーラスティング。














コスモス(Cosmos)
別名、秋桜、オオハルシャギク。短日植物。
















マーガレット(Argyranthemum)
名前はギリシャ語の真珠(マルガリーテ)に由来するそう。
木本だが、真夏と真冬は元気がない。













ヒマワリ(Helianthus)
言わずと知れた夏の花。
別名、サンフラワー、向日葵。










ダリア(Dahlia)
別名、テンジクボタン。球根植物。
先日無事出荷が終わりました!













ツワブキ(Farfugium)
湿潤地に自生。
食用としてだけではなく、薬用としても利用されている。












ギヌラ(Gynura)
半つる性。紫色の葉が観葉や寄せ植えに人気。



もっとたくさんあるのですが、もうこのくらいで・・・


キク科の花は、小花が集まって一個の花のように見える
頭状花序という形状をしています。
小花には、筒状花(つつじょうか・とうじょうか)と舌状花(ぜつじょうか)があり、
ヒマワリの花で言うと、中央に密集して茶色く見えるのが筒状花、
周囲を取り囲む黄色の花弁が舌状花です。

ヒマワリのように両方持つものもありますし、
カレープラントの花のように筒状花のみで形成されるものや、
タンポポの花のように舌状花のみで形成されるものもあります。

冠毛(いわゆる綿毛)を付ける種も多く、キク科の多彩さが際立ちます。


キク科だけで分厚い図鑑ができちゃいそうですね~





(池田)





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2015年7月21日火曜日

猛暑の中でのシクラメン生産 ~花葉サマーセミナー産地見学会~

718日~19日に花葉会主催の花葉サマーセミナーが開催されました。初日は例年どおりの形式での講演会と討論会。2日目は初めての試みとして、産地見学会を行ないました。昨年のサマーセミナーで御登壇頂いた群馬県邑楽(おうら)郡の3名の若手シクラメン生産者の圃場を見学させて頂きました。群馬県邑楽郡は猛暑で有名な館林市の隣です。その日の最高気温は、37.8℃とその猛暑も体感することができました。汗だくになりました。

昨年のセミナーについては下記をご参照下さい。
http://www.yamashita-yoko.com/topic_new/img/2014kayokai_seminar.pdf

なぜこの猛暑の中で、市場や消費者に高い評価を受ける高品質なシクラメンが作られているのか? その現場を視察してきました。

1軒目は()峯崎園芸の峯崎宏之さん。栄養診断に基づいたデータ取りによる綿密な施肥管理、やや明るいハウス内での細霧冷房、底面灌水によって、市場の品評会で峯崎さんのシクラメンは毎年受賞されています。


2軒目は誠養園の野本寿久さん。花葉会の幹事でもあります。6割を自家採種の系統で栽培し、暑さに強い系統を選抜し、栄養診断はもちろんですが、手灌水と底面灌水を組み合わせて生産しています。夏まではやや小ぶりな株に作り込み、涼しくなる秋以降に急激にボリュームを持たせるような作り方をしています。


3軒目は、石川花園の石川栄司さん。水持ちの良い、やや腐植土の多い重い土を使って、すべて手灌水で約17,000鉢を出荷しています。矮化剤を使用して草型をコントロールしています。


 また、他の生産者よりもハウスの軒が高く、風通しが良く、寒冷紗の遮光率も高いものが使用されていました。


それぞれの生産者で栽培方法が異なる中でも緻密なデータ取りとお互いに情報をオープンにして、気軽に相談できる関係作りもその品質を高めてきた要因かもしれません。猛暑にも負けない高品質で丈夫なシクラメン生産の現場を理解することができました。


  (渡辺均)

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2015年7月20日月曜日

シクラメンの葉分け

関東も梅雨が明けました。これからしばらくは人間も植物も暑さとの戦いですね。

花卉・苗生産部では、4.5号ポリポットに仮植されたシクラメンの葉分け作業を行ないました。一般の生産者さんでは、ふつう葉分けは仕上げ鉢に植え付け、晩夏~秋以降に行なわれます。ところが、花卉・苗生産部では、梅雨が明ける前までにできるだけ塊茎の芽の部分(芽点)に光を当て、暑さで生育が緩慢になる夏前までに葉数や芽数を増やしておきたいために、この作業を行なっています。夏バテをしないしっかりとした株を作っておくことが狙いです。
葉分け作業後の様子


作業から約1週間後には、塊茎の中心部から新葉が展開してきました。

手間のかかる作業ですが、葉分けをするのとしないのでは、葉数がかなり違ってきます。

1ポットずつ丁寧に葉分けを行なっていきます。



 今年の12月には、皆様に喜んで頂けるような丈夫で育てやすいシクラメンの鉢花に仕上がるように細かで地道な作業が続けられています。この作業が終わったら、いよいよ6号鉢の仕上げ鉢に植え付けられます。


昨年12月の花卉・苗生産部のシクラメン



  (渡辺均)

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2015年7月17日金曜日

隙間の植物たち

台風11号が通過中ですが、
皆様のところで大きな被害はないでしょうか。

千葉大学も温室の側窓を完全に締め切り、バネで固定するなど対策を施しています。
沖縄では連続する台風に向けて、すでにイネ刈りを行ったりと各地対策に忙しいようです。
農業は自然の力を借りているだけに思い通りにいかないですね…


今日は小さな自然との闘いです!

注目して頂きたいのはここです↓


花の咲いている温室内ではないですよ~
右の隙間に注目してください!

このビニール温室ですが、ガラス温室の間に後から建設したものなので、
ハウス間の隙間が30-40cm程度しかない状態です。

しかし、この小さな隙間にも、たくさんの植物がいつの間にか生育していました。
・スズメノカタビラ(Poa annus:イネ科・イチゴツナギ属)
・ハキダメギク(Galinsoga ciliata :キク科・コゴメギク属)
・イヌビユ(Amaranthus lividus :ヒユ科・ヒユ属)
・エノキグサ(Acalypha australis :トウダイグサ科エノキグサ属)
…など、こんなに小さな空間に多様な種の植物が根を張り巡らせています!


…が!
かわいそうですがいわゆる雑草ですので、残らず除草させていただきます。

温室の脇や床、栽培空間に雑草が繁茂していると、
そこが害虫や病気の発生源となり、農薬を散布しても効きが悪くなったり、再発を引き起こす要因になってしまいます。
また、家で大事に育てている植物に農薬をかけても、その脇の雑草まで丁寧に撒く方は少ないかと思います。

気温と湿度が高いこの季節は、雑草や病害虫も成長が早いため、
こまめな草取りを心がけたいです。

苗生産部では、すべての温室の中や周りの除草を徹底するように指導を受けています。
基礎の基礎かもしれませんが、とても大切な生産活動の1つです。

(学生:修士2_土屋慶輔)






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2015年7月16日木曜日

見覚えのある鉢花

柏の葉キャンパス駅から千葉大学へ歩く途中に、
昨年あたりからイスやテーブル、鉢が置かれるようになりました。
いつも綺麗に整備されており、市民の憩いの場となっています。


大きな鉢の中は、季節ごとに植替えをされています。
つい先日、ユリオプスデージーがニチニチソウに代わっていました。

















このニチニチソウ
うちと同じ品種だなぁと思ったら・・・
実は、千葉大の学生実習で作られたものでした!
学部3年生が3ヶ月の間に
播種、ポット上げ、矮化剤処理、出荷調整をしました。


















ニチニチソウの隣に植わっているマリーゴールドも実は、、、
千葉大から出荷した苗でした。






















3月の寒い時期に植付され、
4ヶ月でずいぶん大きくなっていますね。

出荷した花がどういった場所にどのように利用されているのか
知ることで、次回の参考にすることが出来ます。
例えば、ニチニチソウは大きな苗の間に補植されるものなので
高さのある株を選ぼうだとか、
風が良く当たる場所なので、マリーゴールドは
順化をしっかりしていないと霜焼けが起こるだとか。
身近で見ることができると、とても良い勉強になります。


ニチニチソウとマリーゴールドは、鉢の管理をしている業者さんに
直接販売した苗ですが、、、

先日、隣市の玄関先で
カリブラコアの鉢も見かけました!





















この鉢にこの配色は、絶対千葉大の母の日出荷のもの!
ちょっと伸びて形は崩れているけれど、
1月以上経っても元気に咲いていました。



自分たちの作った花が実際に使われているのを見るのは
なかなか嬉しいことです。

さぁ次は何を見に出かけようかな~♪



(池田)



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