2020年2月19日水曜日

愛されるかたちへ


 風が吹くとまだまだ寒さを感じますが、陽の光がようやく暖かく感じる季節へと移ってきました。
 …まぁ、例年この時期になると、ティッシュとマスクが手放せなくもなってきますが。
 マスクの入手手段もなかなか厳しい状況なので、花粉の皆様には少し勢いを弱めていただきたいところです。


 さて、皆様のなかにも行かれた方がいらっしゃると思いますが、先日世界らん展に行ってまいりました。



 学生時に行った記憶があるくらいで、最近どんなランが人気なのか分からなくなっていましたが、大小さまざまな形の花や香りの強い花など、バリエーション豊かな品種が所狭しと並んでいました。
 ランをメインに使ったガーデンやハンギングバスケットの展示も多く、和洋折衷問わず、多様な用途で利用されている様子から、やはりポテンシャルが高く、世界中から愛される品目であることを再認識します。



 個人的にはリカステという属のランが、可愛らしくも力強さを感じさせてくれて好みでした。
 以前に大賞をとっていた記憶もありますが、それこそ十年ほど前になってしまうかもしれませんね…。


 今回の日本大賞はパフィオペディラムという袋状の器官が特徴的な属のランでしたが(写真がなくすみません…)、同じ属内であっても花の模様や各器官の大きさも全く異なり、個人の趣味嗜好で楽しみ方は千差万別。

 美しさや出来映えといった、人によって評価の分かれるであろう基準を、審査員の方はどうやって決めているのか不思議に思いますが、やはり賞を取るようなランは、最大公約数的に皆さんから愛されるかたちを持っているように思います(個人の趣味に合わないことも勿論ありますが)


 贈答用に利用されるランは栽培性も重要になりますが、コンテストの大賞に選ばれることを目的に、様々なかたちが作り出され、選別されて残ってきた歴史をみると、他の品目とは違った独特な立ち位置なのかもしれません。
 そうしてヒトに愛される為に連綿と続けられてきた育種の果てに、今の姿を獲得したと考えると、「作品」という呼ばれ方にも感じ入ることがあるように思います。


 年々変わり続けるヒトの好みに合わせ、自然とは異なる進化を続け、かたちを変えてきたラン。
 果たしてヒトに愛されるかたちに完成形というものは存在するのでしょうか。


(安藤匡哉)

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2020年2月18日火曜日

異なるCa濃度下におけるトルコギキョウのチップバーンの発生

 卒業論文発表会も無事終了し、研究室内のビックイベントが一つ終了しました。春は卒業とともに、植物の活動が活発化してきます。卒業の寂しさと、植物の活動量が増えることを考えると、「春よ来い」ではなく「冬がはじまるよ」を聞きたい気分ですね。笑

 さて、今日は、先日掲載された論文についてご紹介します。
タイトルは「Tipburn incidence and Ca acquisition and distribution in lisianthus (Eustoma grandiflorum (Raf.) Shinn.) cultivars under different Ca concentrations in nutrient solution.」(異なるCa濃度下におけるトルコギキョウのチップバーン発生とCa獲得および分配)です。
オープンアクセスジャーナルと言い、論文が無料でダウンロードできますので、興味のある方は下記をご参照ください。
https://www.mdpi.com/2073-4395/10/2/216

 概要について、簡単にお話しさせて頂きます。チップバーンとは、園芸植物でよく発生するCa欠乏症です。Caが不足しているのであれば、Caをたくさん施与すればいいのでは?と思う方も少なくないと思います。しかし、生産現場ではCa施肥量を上げたり、Caを葉面散布しても、チップバーンが発生してしまうため、問題となっている訳です。
 チップバーンには、様々な要素(湿度、光強度、風、植物の成長速度などなど)が複合的に関与することが知られています。これまで、当研究グループではトルコギキョウのチップバーン発生について調査を行ってきました。今回掲載された論文は、「Caの施与量を上げると、チップバーンの発生とCa獲得および分配はどう変わるのか?」を調査した論文です。
 結果はどうであったかと申しますと、まずCa施与量を増加させた場合、チップバーンが抑制された品種と、あまり抑制されなかった品種の2つのパターンが確認されました。一方で、Ca施与量を増加させると、全品種でCa獲得量の増加が確認され、成長速度に処理区間の差はみられませんでした。つまり、高Ca環境下でチップバーンが発生する品種は、Ca分配に問題があると想定されます。そこで、部位毎のCa濃度を測定すると、高Ca環境下でチップバーンが発生する品種は、根にCaを蓄積する傾向がある一方、葉先へのCa濃度が低い傾向にありました。このCa蓄積・分配の原因については、更なる調査が必要ですが、当研究グループでは遺伝子の発現にヒントがあるのではないかと考えています。
 もう一つ、本研究ではpath analysisと呼ばれる手法を用いて、Caの獲得と分配の関係性を数値化することに成功しました。この解析手法は、植物の生理的形態的な相互関係を示すのに大変有用な手法と考えられます。詳細は、是非論文をご確認ください。

 調査をする度に、新たな疑問が生じてきますが、一つずつ確実に前進しております。本論文も含め、ご意見・ご質問等御座いましたら、黒沼までメールにてご連絡頂ければ幸いです。



(黒沼)



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2020年2月17日月曜日

早く芽を出させるために ~ オウレンの早期発芽 ~

早く芽を出せ柿のたね・・・ではありませんが、種子を播いてから出芽するまでは、とても待ち遠しいものです。そして、土の中からのぞかせた小さな芽を見ると誰もが嬉しくなるものです。思わず誰かに芽が出たことを伝えたくなってしまいますね。種子播きには、自分だけではどうにもならない時間(間)と、その後の喜びを体験させてくれます。

一方、農業の世界ではそんな悠長なことは言っておられず、スピードと効率化が求められています。いかに早く発芽させ、揃った苗に仕上げるのか。これがより早く、品質の揃った収穫物を得るための最低条件になります。

当研究室では、トウキやオタネニンジンなどの薬用植物や機能性植物の早期発芽や早期育苗の研究も行なっていますが、薬用植物のオウレン(生薬名:黄連)の早期発芽にも成功しています。
オウレンは、種子を播いてから収穫までに早くても5年、長ければ10年以上を要する非常に時間のかかる植物です。以前は、多くが国産品でしたが、現在はほとんどが中国からの輸入に頼っています。栽培時間の長さと買取り単価の安さ・・・、このストーリーは、他の薬用植物と全く同じです。

オウレンは、通常は24月頃に花を咲かせ、6月頃に種子が得られ、その後、夏 を経過し、翌年の春に芽を出させます。つまり、自然条件では、芽が出揃うまでに10か月近くを要します! ところが、下の画像のように採種してから、段階的な温度処理を加えると、早い処理区では播種したその年の9月には苗が得られるようになります。3枚目が無処理、自然条件と同じ処理区です。







この温度処理で、今までより6カ月以上も早く苗を得ることができるようになりました。次は、生薬原料の品質を保ちつつ、いかに早く生薬原料(黄連)を収穫できるかです。飽くなき挑戦が続きます。



(渡辺 均)
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2020年2月14日金曜日

晴れ舞台

 こんにちは、学部2年の君島です。

 最近は寒暖差が激しく体調を崩しやすい日々が続いてますね。
 皆様も体調管理には気を付けてお過ごしください。

 千葉大学では本日4年生の先輩方の卒業論文発表会が開催されます。

 卒業論文は研究室で学んできたことの集大成です。先輩方はこれまでに植物を育てたり、たくさんの実験を行ったり、とても頑張っていたことが私たちにも見てとれました。
 ですが、この発表会は1人の持ち時間は質疑応答も含めて10分と、とても短いのです。(発表の時間は8分以内です。)
 なので、この日に向けて先輩方は数多くあるデータを整理し、8分間におさめるためにたくさん準備していました。

 発表の練習の際には教授方からのアドバイスをもとに何度も手直しを加えていました。



 学部生の私たちも先輩方のような論文の発表をできるように頑張っていきたいと思います。

(学部2年:君島)




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2020年2月13日木曜日

キルタンサスとセロジネ

「大学で苗の生産をしている」という仕事内容を知人に話すと、
必ずと言っていいほど「珍しい植物を作っているんでしょう?」
と言われます。
実際、珍しい植物は圃場にたくさんあるのですが、
大学でも大量生産していないため、皆様に手に取っていただく機会は、
実はあまりなかったりします。

が、そんなものの中でも、今回、比較的多く販売できそうな花が!

それが、キルタンサス(Cyrtanthus)(画像左)と
セロジネ(Coelogyne)(画像右)です。


キルタンサスはヒガンバナ科、セロジネはラン科で、
どちらもとても丈夫で育てやすく、花の少ないこの時期に咲く貴重なお花。
ですが、あまり一般流通しておらず、
ホームセンターやお花屋さんではほとんど見かけません。
今週から売店・緑楽来にて販売中です。

しかもお得なお値段なのです・・
キルタンサスは1ポット200円、
セロジネはバレンタイン企画で、なんと1鉢500円!
ラッピングしたものも600円でお出ししています。

もうすぐバレンタイン、友チョコもいいですが・・
友花(トモハナ)でランをプレゼントしても素敵ですよね!

                                (仲井)


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2020年2月12日水曜日

クチナシ販売中

  先日からじっくりと乾燥させていたクチナシの実の乾燥・調製が完了し、皆様の前にお出しすることができるようになりました!



  以前にも簡単に紹介していますが、実を半分に割り、煮出した汁を大根、きんとん、和菓子やパスタの色付け、キノコ入りのクチナシご飯など各種食材の色付けに用いると、鮮やかな彩りを楽しみつつ、ほどよい薬効が得られます。

   果実は炎症を抑え、解熱や鎮静作用などを示しますので、腰痛や神経痛、のどの痛み、不眠症などに。



  直売所「緑来楽」で1袋あたり50g、お値段400円にて販売中です。
  数が少なめですので、お早めにお買い求めください!


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2020年2月11日火曜日

他者との比較

 本日ご紹介するのは、花卉園芸学研究室の実習、ペチュニアの挿し芽についてです。ペチュニアの挿し芽は実習Ⅱ(学部2年生の実習)でも行いますが、研究室の学生さん達には、実習Ⅱの「3倍以上のスピードとクオリティ」を求めています。

 今回はまず、前回各人が行ったセル苗の品質チェックから行います。「パートさんが実施した理想的なセル苗」、「実習Ⅱで学生さんが実施したセル苗」、そして「自分たちのセル苗」、3つを比較していきます。


 さらに、研究室内で実施したセル苗の中で、一番きれいに出来ているものを選択してもらいました。

 皆さん。良い苗の条件は見極められているようです。
 そして、各人のセルのクオリティと作業スピードについて、フィードバックを行い、今日の実習はスタート!
 「スピードアップを目指す人」、「まずは挿し穂の統一性に注意する人」など、それぞれの目標は異なっていますが、真剣に取り組んでいます。


 前回は3時間で1人1枚程度でしたが、今回は皆さん1.5枚程度は挿し芽を行うことができ、品質も改善されたように思います。もちろんまだまだですが。笑

 花卉研の実習では、常に3つのステップを意識するように指導しています。
  ①一生懸命取り組むこと
   これがなくては力量は向上しません。
  ②周りをみること
   常に客観的に自身とチームの取り組みを観察し、
   効果的な方向へと修正する必要があります。
  ③自分で考えること
   先を読み、教員の指示がなくても、能動的に動けることが重要です。
 
 花卉研の皆さんは、①が出来るようになってきましたので、今回の実習では敢えて他者と比較し②を意識して実習に取り組んでもらいました。
学生さんが、社会人になる前に、どんな仕事もこの3つのステップを意識して取り組めるようになれれば、私に思い残すことはありません。笑



黒沼

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