2016年9月7日水曜日

素材を活かそう


 夜が早く訪れるようになりましたが、昼は茹だるような暑さが続きます。
 皆様、朝晩の涼しさに油断しないようにお気をつけください。

 先日、観賞用の花卉類ではなく機能性植物についてのお話として、ダンギクという植物をご紹介致しました。
 なかなか自生の姿を見ることは難しい植物であり、悲しいことに花屋でもまだまだメジャーな花ではありませんが…。

 今回は、それに比べて知名度の高い?『ヨモギ』についての紹介です。


 何度か以前の記事でもご紹介しましたが、私たちのハウス内には全国各地から収集したヨモギのコレクションを栽培しています。

 ヨモギは草餅の原料として食用されたり、漢方薬や薬湯の原料にも利用されます。
 また、ドラッグストアでも見かけるようになった、お灸に使用するモグサの原料としても利用されます。


 これまでの研究により、ヨモギの葉の裏に生えている毛を集めて作るモグサの、より効率的生産に適した系統を探るため、それらのコレクションを用いて比較をおこないました。

 その結果、ダンギクと同じように自生地によって多様な形態がみられました。



 このなかで、①葉の面積が大きく、②葉の切れ込みが小さく、③葉の裏が白っぽい(毛量が多い) 系統は、モグサ作りに適した形態をもっていると考えられました。



 これらの系統は、葉の裏の毛を多量に、より効率的に収穫するのに適しているでしょう。


 一方で、食用に使う場合には、毛の部分が多いと食味に影響を与えてしまうかもしれません。

 そのため、①葉の面積が大きく、②葉の切れ込みが小さく…までは同じでも、④葉の裏が緑っぽい(毛量が少ない) 系統の方が食用に適していると考えられます。

 また、漢方薬や薬湯の原料として利用する場合には、葉の中に含まれている成分の量や質が重要となるでしょう。



 このように、ある1つの目的に対しては不向きな系統であっても、別の目的に対しては優良系統である、といったことがあるかもしれません。

 そのような系統を交配によって育種開発していくことはもちろん大事なことですが、そのスタートとする素材として、目的に適した系統があるのであれば、育種開発の時間をショートカットすることができそうですね。

せっかく多様な素材がすでに自然に存在しているのであれば、それを使わない手はありません。

(安藤 匡哉)

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