長い梅雨の後、猛暑が続いていましたが、先日、日本の上空に「秋雨前線」が停滞しているというニュースを耳にしました。
降雨の影響もあってか、幾分涼しく感じるようになり、今年の夏は短かいということを実感させられます。
さて、第18回の今回は、桃色の鹿の子模様が可愛らしいカノコユリをご紹介いたします。
千葉大学環境健康フィールド科学センター内の薬用植物園において、カノコユリを見ることができます。
カノコユリ(Lilium speciosum Thumb.)は、ユリ科ユリ属の多年生草本植物であり、九州や四国、台湾北部、中国江西省に自生しています。
カノコユリの鱗茎(地下部で、多数の鱗状葉が重なり合い、貯蔵養分を蓄えた器官)は、百合(びゃくごう)と呼ばれ、食用とされます。
百合には、「滋養強壮」、「利尿」、「咳止め」、「解熱」、「消炎」などの様々な効能があることが分かっています(個人差があります)。
花に注目して観察してみると、カノコユリの花被(花びら)には、白色の上に淡桃色が乗り、さらに濃桃色の「鹿の子模様」が入っていることが分かります。
学名の「speciosum」は、ラテン語で「美しい」という意味であり、まさに、名は体を表していますね。
また実際に、カノコユリの花の香りを嗅いでみると、優しい印象のほのかに甘い香りがします(私個人の感想です)。
(カノコユリの香りに誘われて、沢山の虫が蜜を探しに来ています)
このように、桃色の花に上品な香りを漂わせるカノコユリは、品種作出の育種親として利用されています。
少しだけ、ユリの育種の歴史についてご紹介いたしますね。
従来のユリの品種は、日本に自生しているエゾスカシ、イワトユリを中心に、ヒメユリ、オニユリ、スゲユリを交配したものであり、「アジアティック
ハイブリッド」と呼ばれています。
そのような中で、1980年代後半から、芳香性及び観賞性に優れたカノコユリを始め、ヤマユリ、サクユリ、オトメユリ、ササユリ、タモトユリ、ウケユリといった日本自生のユリを交配して作出された品種を「オリエンタル
ハイブリッド」と呼び、生産を開始しました。
「オリエンタル ハイブリッド」の特徴として、芳香性があること、花が大輪であること、「アジアティック
ハイブリッド」には見られない花色(桃色など)であることなどが挙げられます。
これらの特徴を持つ‘カサブランカ’は、「オリエンタル ハイブリッド」の代表的な品種の1つとして知られています。
カノコユリを始め、ユリの旬は7月~8月であり、暑い夏が終わると共に、旬が終わってしまいます。
市場に旬のユリが流通しているうちに、是非お楽しみいただければと思います。
(学部4年:下重)
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