ストレス×植物

　突然ですが、問題です。
下の２枚の写真で、異なる箇所はどこでしょう？（植物の生育ステージは異なる箇所には入りません。）

before 

after

　正解は、側面の寒冷紗の高さです。

では、なぜ、私がカーテン（寒冷紗）の位置を上げたかと言うと…
それは、風を温室内に入れるためです。この温室は、カーテン側（西側）からの風が強く、西日も気になるため、やや低めに、カーテンを設置していましたが、思いのほか、植物体に風が当たっている様子がみられませんでした。風を温室に入れることは、温度の低下に繋がりますが、今回はその目的よりも、風を植物体に当て、しっかりとした苗づくりを行いたかったためです。

この写真は、水遣り後のニンジンの様子です。頭が下がっているのが分かります。葉に水が付着し、頭が重くなったことで、お辞儀しているような形になっています。
　昨年も、このように、お辞儀ニンジンがいくつかみられ、お辞儀しっぱなしで、枯死してしまう個体もみられました。この原因は、茎が軟弱なことにあります。弱光下（日除け下）で植物は、ヒョロヒョロと柔らかい茎を伸ばし、光を得ようと環境に応答します。陽性植物と程度は違えど、この現象がニンジンでも発生していると考えられ、水遣りをしただけで、お辞儀をしてしまうわけです。
（水遣りへの感謝の気持ちを常に示すなんて、なんと礼儀正しい。）

　というわけで、苗に風を当て、地上部が揺れることで、苗が少しずつ、しっかりとしたものになっていくことを狙って、カーテンの位置を変更しました。
「温室育ち」の言葉に代表されるように、植物には適度なストレスを与えることによって、良い苗づくりに繋がることがたくさんあります。

（黒沼）

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