2019年4月12日金曜日

花の香りに酔い痴れて 第9回 ニオイバンマツリ

 こんにちは、学部4年の下重(しもじゅう)です。
 4月から学部4年生に進級し、花卉園芸学研究グループの最高学年となりました。最高学年としての自覚を胸に、より一層卒業研究に注力していきたいと考えています。

 さて、今回は、芳香性があるだけでなく、花色が変化する植物を紹介していきたいと思います。第9回は、ニオイバンマツリをご紹介いたします。

 千葉大学環境健康フィールド科学センターの5.5号温室や連棟ハウスの中に、ニオイバンマツリがあります。近くで香りを嗅ぐと、ジャスミンのような甘い香りが感じられます



 ニオイバンマツリ(Brunfelsia australis)は、ナス科バンマツリ属の植物です。
 ブラジルやアルゼンチンなどの南米原産の植物であり、庭木や鉢花として楽しまれている常緑性の低木です。

 ニオイバンマツリは、漢字では「匂蕃茉莉」と書き、「香りのする(=匂)、外国から伝わった(=蕃)、ジャスミン(=茉莉)」を意味していますが、ジャスミン (Jasminum)は、モクセイ科ソケイ属の植物の総称であり、全く別の植物です。

 ニオイバンマツリの花をよく観察すると、紫色、薄紫色、白色といった複数の色の花が咲いていることが分かります。



 ニオイバンマツリは、一度に複数の色の花を咲かせるのではなく、開花してから枯れるまでの間に、不可逆的に花色を変化させるという特徴を持っています。
 そのため、英語では「Yesterday-Today-and-Tomorrow (昨日、今日、そして明日で花色が変わるため)」と呼ばれています。

 まず、球状の「がく」の中から紫色の蕾が伸びてきます。








 そして、紫色の花を咲かせ、薄紫色を経て、白色へと変化し、最終的には枯れて茶色になります。















 私は、ニオイバンマツリは、このように花色を変化させることで、訪花昆虫を誘引し子孫を残しているのではないか、と考えました。

 花に続いて、葉にも注目してみると、互生(1つの節に対して、1枚の葉が互い違いに付くこと)であることが分かります。


 そして、ニオイバンマツリは、濃厚な甘さを感じさせる、ジャスミンに似た香りが特徴です(私個人の感想です)
 しかし、ニオイバンマツリの香りの主成分は、「リナロール」と「(E)-オシメン」である一方、ジャスミンの香りの特徴成分は「cis-ジャスモン」であることが分かっています。ニオイバンマツリとジャスミンは、「似て非なるもの」ですね。


 余談ではありますが、ニオイバンマツリと同様に、私の卒業研究の実験供試植物であるカリブラコア (Calibrachoa pygmaea)も、芳香性があるだけでなく、花色が変化する植物です。
 カリブラコアの毎日の観察を通して、「細かな変化や違いに気が付く眼」を養っていきたいと考えています。


(学部4年:下重)



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