先週のアグリビジネス創出フェアの記事を跨いでの記事になりますが、3年生実験に関して2回目の遺伝子実験を行いました。
前回は基礎的な理論の説明に多く時間を取ったため、DNAの抽出のみとなりましたが、今回そのサンプルを用いて、ダンギクのDNA塩基配列を読むために、遺伝子実験の多くで用いられるPCR(Polymerase Chain Reaction)法という技術の実践と、その成否を確認するための電気泳動を行いました。
PCR法とは、ポリメラーゼ連鎖反応法と訳される遺伝子分析の基本技術の1つで、DNAやRNAなどを合成する酵素(ポリメラーゼ)の性質を利用することで、数百から数千塩基配列からなる特定のDNA断片だけを選択的に増幅する手法です。
この手法により自身が調査・利用したい断片のみを他領域に比べて多く合成することにより、様々な分析・検出を行うことができます。
抽出の際に使用していた2,000µℓチューブの1/10にあたる小さな200µℓチューブを使用して、10~20µℓのPCR用の実験溶液を作成します。
なぜこんなに小さな容量で実験を行うかというと…
お金の節約!です!
実験はとにかくお金がかかります。
実験機器、解析ソフト、試薬、使い捨ての消耗品…。
特に遺伝子実験に用いる試薬類は作成が難しいのか高価なものが多く、可能な限りの無駄をなくす必要があります。
専用の実験キットに入っている試薬の中身を自作できるのであれば、かなり安上がりになりますし、キットを使わざるを得ないにせよ、実験結果に支障がでない量まで節約することで全体のコストを抑えることに繋がります。
PCRの実験キットでも、この研究室では1/10~1/5程度まで使用量を抑えることで、使用回数を向上させています。
もちろん結果が出ないほど少なくしてしまっては元も子もありませんが…。
作成した溶液を入れたチューブは金属部分で温度変化を引き起こせるサーマルサイクラーという実験機器に入れて、温度を上下させることで特定領域だけを増やします。
この操作が上手くいっているかを確認するため、次の工程として電気泳動という操作を挟みます。
電気泳動では、DNAが電圧をかけたときに移動する性質を利用します。
DNAは水溶液中でマイナスに帯電しているため、電気を流すと自らプラス方向へ流れていきます。
ピペッターを持つ手が震えてゲルに穴が開いてしまわないように、行儀は悪いですが机に肘を置いて腕を固定します。
このDNAを寒天(アガロースゲル)などを通して移動させ、DNA断片の長さに応じて細かい網目構造を持つ寒天の中を潜り抜ける移動度が異なることを利用して、長さの異なる断片を識別します。
学生実験では、時間的にここまでの工程で実際の操作を終了しましたが、PCR増幅領域の精製、調査配列のラベリング、ゲル濾過による精製…と、いくつかの工程を挟んでDNAの塩基配列を読んでいきます。
最終的に得られた自生地の異なる系統から抽出した各サンプルの塩基配列を比較して、塩基の入れ替わりや挿入が生じているかどうかを把握し、自生地間で異なる配列部分の情報を蓄積することにより、それらがどの程度遺伝的に離れているのか、どれくらい昔に分離して現在に至るのかを類推することができます。
また、それらの情報をもとに、花業界で流通する園芸品種の起源系統を探ったり、育種を行う上での遺伝子マーカーとして効率的な品種開発に利用することができます。
遺伝子を専門に扱う研究者の方々からすると、非常に簡易な手法ではあると思いますが、単純であればあるほど実際の現場における利用のハードルが下がります。
植物を管理しながら、これまでに学んだ様々な分析と照らし合わせることで、新たな遺伝子分析の利用アイデアが生まれるかもしれませんね。
欲を言えば、その分析方法がより安価になることを願って。
(安藤匡哉)
あ、さて あ、さて あ、さって あさって しあさって
いよいよ、12月1日(土)が明々後日となりました。
~~~シクラメン祭~~~
2017年開催前夜の会場
本日のハウス内の様子
出荷調整作業を急ピッチでおこなっています。
09時30分から!!
整理券は180番までご用意しております。
是非お越しください。
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