2017年2月10日金曜日

秘密の育種実験


 はじめまして、学部3年の佐藤健斗と申します。
 生まれは宮城県で、現在陸上競技部に所属しています。
 どうぞよろしくお願い致します。




 昨年のお話となりますが、3年生の実習にてペチュニアの交配を行いました。

 それぞれが思い思いに好きな品種を掛け合わせ、夢の新品種の作出を目指しましたが、たった1度の交配でうまくいくほど、植物は人間に振り向いてはくれません。

 そこで私は実習が終了した後も密かに、苗生産圃場のとある一角で選抜と交配を繰り返していました。


 こちらが選抜した株たちです。


 選抜基準は完全に私の好みですが、花に厚みがあって長持ちする系統に絞って選抜しました。

 交配の手順を簡単にご紹介すると、



 まだ開いていない蕾を使います。

 開いている花を使うと、すでに意図しない可能性があるためです。




 ピンセットを使って蕾の下側からそっと切れ込みを入れ、除雄という、中にある花粉を包む葯を1つずつ丁寧に取る作業を行います。
これは自家受粉を避けるためです。

 こういった作業の中でも、品種によって葯が5つみられるものや、4つしかないものがあったり、おしべよりもめしべが長い短花柱花や、その逆の長花柱花がみられたり、、、


 植物が様々な方法を駆使して、より環境に適応した子孫を残そうとしている姿を目の当たりにすることができます。


 めしべの先端にある柱頭に優しく花粉をつけます。


 最後に、授粉以降に他の花粉が付くことを防ぐために蕾ごと閉じてしまいます。



 交配がうまくいくと写真のように子房が膨らんできます。


 あとは種子の成熟のタイミングを見計らってはじけてしまう前に種取りをして、また蒔いてみる。

 この繰り返しの中だけでも、どうして君はそんな形や方法を選んだの?と問いかけてみたくなる場面が多くあります。

 そういう時こそ植物の「おもしろさ」の本質に触れる大切な機会なのだと思います。


学部3年:佐藤

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