2013年9月23日月曜日

学会発表(園芸学会編)

秋といえば台風シーズンですが、9月は学会シーズンでもあります。
学会シリーズ第2弾をご報告します。



9月20日(金)~9月21日(土)に岩手大学(盛岡市)で開催された
園芸学会平成25年度秋季大会研究発表会に参加してきました。
今回の参加者は教員2名、研究員2名、技術職員1名、学生1名の計6名です。
発表はいずれもポスターで4課題です。
その内訳は、薬用植物(オタネニンジンとトウキ)の園芸的生産技術に関する内容が2課題、
花卉(ダンギク)の遺伝資源解析に関する発表と花卉(シクラメン)の生産技術に関する発表が各1課題でした。



発表内容は・・・、

①オタネニンジンの種子発芽に及ぼす低温湿潤処理の影響(松本研究員)
 深い休眠性をもつオタネニンジンの効率的な発芽技術を開発するため、
0℃~8℃に設定した5試験区で、その効果的な発芽温度域を探しました。
その結果、低温処理期間は長いほど発芽率が向上し、
特に0℃で40日間低温処理をすると発芽の揃いが良く、さらに高い発芽率が得られることがわかりました。

 
②セル苗育苗したトウキの定植後の活着と初期生育(新藤研究員)
 トウキの苗づくりは、従来の方法ですと育苗に1年を要していました。
しかし、これまでの私たちの研究により、最短で42日で苗を完成させることができるようになりました。
この結果をふまえ、農業機械による定植を想定し、実際に植え付けた後の苗の活着状況について、
従来の方法と比較して定植後の苗の生育状況を調べました。
その結果、従来の定植方法よりも根の活着が早く、株の初期生長の良い定植方法を確立することができました。


③西九州に自生するダンギクの繁殖戦略(博士課程学生・安藤君)
 私たちは花壇苗や切り花として利用されているダンギクの自生地(ふるさと)を調査してきました。ダンギクは、西九州の日当たりの良い崖地や海岸の露岩地に局在しています。
これまで行ってきた現地調査や形態調査から地理的な隔離が起きていると考えています。
今回の発表は、それぞれの群落の1花当たりの平均花粉数を計測し、
また、交配実験によって自殖性(自分の株の花粉で結実し種子ができる)と
他殖性(自分の花粉では結実しない・種子ができない)を調査しました。
その結果、ダンギクは部分他殖性を示しました。
部分他殖とは、個体や群落の維持のために、他殖を中心に行ないながらも、環境条件によっては自殖も行なっているということです。
実際に山頂などの露岩地などのひとつの群落内の個体数が少なく、他の群落との距離が遠い群落ほど自殖性を示すことがわかりました。
確実に後代を残す戦略のためと考えられます。
同じ種でも自生環境に合わせて繁殖方式を変えていることが明らかになりました。


④アミノレブリン酸含有肥料の灌注処理および葉面散布処理が高温期のシクラメン
の生育に及ぼす影響(長嶋技術職員)
暑さを嫌うシクラメン栽培にとって、夏の高温は大敵です。
株の消耗をできるだけ少なくして夏越しできれば、
最終的なシクラメンの鉢物品質の向上にもつながります。
そこで、生育促進効果や環境ストレス耐性の向上に効果のあるアミノレブリン
酸入りの肥料(有機質肥料と無機質肥料)を使って、夏以降のシクラメンの生育を調査しました。
その結果、無機質肥料とアミノレブリン酸の組み合わせによって、
夏の高温期でもシクラメンの生育を従来よりも促進できることがわかりました。

 

また新たな課題に向かって研究は続きます・・・・・




   (渡辺均)






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