多肉質の低木であるアデニウム(Adenium)は、アラビア半島や東アフリカ、ナミビア原産のキョウチクトウ科の植物です。その中で、A. obesum はDesert Rose(砂漠のバラ)と言われ、その名のとおり薄紅色の鮮やかな花が魅力的な植物です。
最近では、その交雑品種も多く販売されるようになってきました。この植物は暑さには当然強いのですが、寒さにも比較的強く、5℃程度の環境下でも越冬可能な植物です。冬季の灌水方法さえ理解すれば、栽培は比較的簡単です。また、適当な温度と光があれば、連続的に開花します。そういう意味では、もっと普及しても良い植物ではないでしょうか。
この植物を栽培して失敗する事例として多いのは、低温期の水のやり過ぎによる根腐れです。
気温の低い時期は水を控え、乾かし気味に管理し、休眠させた方が無難でしょう。生育期(20℃以上)はたっぷり灌水します。
アデニウムの交雑品種
アデニウムの交雑品種
アデニウムのもう一つの特徴は、種子から育てた株は生長するに従って株元が膨らみ、サボテンのようにその部分に水を蓄えます。ちなみに、挿し木も可能なのですが、その場合には株元は膨らみません。
私の研究室には10年近く栽培しているアデニウムの実生株があります。そろそろ鉢増しをしないと根が相当詰まっています。
根詰りしたアデニウム鉢植え
このアデニウムは、午後からガラス越しの太陽光が当たる場所で管理しているため、夏場はかなり鉢土が乾いてしまいます。おまけに数日間出張に出ていたため・・・・すっかり株元が痩せ細ってしまいました。
鉢土と株元の間に隙間ができてしまいました。
このときの株元を測ってみると約4.2cmでした。
慌ててたっぷり灌水をして・・・、12時間後に同じ株元を測ってみると・・・。5.3cm。1cmほど肥大していました。
さらに24時間後には6.1cm! さらに8mmほど肥大しました。下の画像でも株元が膨らんでいるのがわかります。
一般に植物は体の重量の80~90%が水であり、サボテンや多肉植物ではその含水率は他の植物より高いことが知られています。
アデニウムのような多肉質の植物は、水を貯めることができる貯水組織(貯蔵組織)が発達しています。不良環境下(特に乾燥)での生存のため、環境に合わせて植物体内に水を蓄えたり、その水を消費したりしながら生長と個体の維持を行なっています。
ちなみにこのアデニウムは、すぐに大きな鉢に植え替えてやりました。これで、少しは水切れで痩せ細ることはなくなりそうです。
それにしても、アデニウムのようにはお腹はなかなか凹みませんねぇ・・・
(渡辺均)
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いつもご覧になって頂き有り難うございます。
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