2019年6月19日水曜日

何とも言えない香気

 少し落ち着いてきましたが、先週くらいまで柏の葉キャンパス内の一部では、思わず顔をしかめてしまう香りが漂っていました。
 皆さんも公園を歩いているときに、眉をひそめたのではないでしょうか。



 白く長い、まるで試験管ブラシのようなこの花。
 クリ Castanea crenata の満開シーズンでした。

 クリは日本各地の山野に自生し、果樹として栽培がおこなわれているブナ科の落葉高木です。



 皮針形の細長い葉には波状の針状鋸歯がありますが、よく似た葉をもつ同じくブナ科のクヌギやアベマキでは鋸歯が褐色になっているのに対し、クリの鋸歯は先端まで葉緑素を含むために緑色になっていることから区別されます。


 このシーズンに開花する細長い花穂は垂れ下がり、独特な臭いを発します。
 この臭いは不飽和アルデヒドを多くふくむことが要因とされていて、海産物のようななんとも形容しがたい臭気を放ちます。
 雌雄同株であり、雄花は先端部に、雌花はやや緑色で基部近くに固まってつきます。


 花が終わると、雌花の総苞片が生長し、果実を包んで長い刺のあるイガが形成され、一般的に見るような栗の形ができあがります。

 実の部分は美味しさもさることながら、ビタミン類やミネラル分を豊富に含む栄養素の高いことが知られています。
 その他にも、このイガ部分、樹皮は秋に、葉は夏に採取して乾燥することにより、薬用効果を示すとされており、多量に含むタンニンの作用から、煎じた汁により皮膚疾患に処方したり、入浴剤として利用することができます。



 開花シーズンである6月は、気軽に外を散歩すると残念な気持ちになったりすることもありますが、秋の味覚を楽しみに、この独特な香りも楽しめるような余裕を持ちたいところです。


(安藤匡哉)



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