先週は会津若松で人参(オタネニンジン)の会議に出席してきました。参加させて頂くようになってから、今年で4年目になりました。 福島県立医科大学会津医療センターの三潴忠道先生の主催で、栽培から出口戦略まで幅広い話題を医療、行政、生産、観光、加工・利用、研究者などが参加して討議が行われます。
栽培に関しては、生産者の減少に伴う作付面積の減少が毎年、問題として挙げられています。その大きな課題が、畑の準備、植え付、出荷までに最短でも5年から6年がかかってしまうこと。これでは、新規就農は難しいですね。さらに、栽培する土地選択の難しさ、天候による影響、それに伴う病害虫の大発生など、栽培期間が長いだけに様々な不確定要素が収量の減少をもたらしてしまいます。さらに、種子の品質のばらつきが大きく、播種1年目でつまずいてしまうことも。
ではどうすれば? できるところから解決していくしかありません。素性の知れた系統や品種から採種する。そのためには、原種圃を作って良い親株を育成し、高品質なばらつきの無い種子を採ることに尽きます。また、生産者が自ら屋外で行なってきた芽切り処理などを恒温室内で実施し、水分含量も確認した上で、確実に発芽する種子を得ることも必要です。さらに、採種技術、種子選別、種子の規格化、育苗技術の高度化(短期育苗)、春蒔きの検討などが挙げられます。最近では、オタネニンジンの小さな種子が高額で販売されているようですが、そのような種子から苗を育てても良いニンジンは育ちません。
会津地域ではオタネニンジンだけを栽培する生産者さんはおらず、伝統的に稲作との併作が主ですが、稲作の作業に左右されないオタネニンジンの新たな作型の開発が必要です。苗生産の分業化、2年~3生株の食材利用への促進などにより、栽培リスクの回避と短期間での収入を確保する必要もあるかと思われます。
早期育苗されて定植されたオタネニンジン
6年生のオタネニンジン
様々な課題が残されているオタネニンジンですが、地域の魅力ある植物資源として、大きな可能性を秘めていることは間違いありません。
(渡辺 均)
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