2015年8月3日月曜日

伸ばす? 縮める?

最近、各地の市民講座でお話をする機会が多いのですが、その時に良く質問されることですが・・・。

それは、花屋さんで売られているような鉢花や草花のような姿にどうやったら出来るのかという質問です。ご家庭でご自分の栽培技術の未熟さから、売られているような節間が詰まりコンパクトでがっちりとした株にならないというのがお悩みのようです。

ご存知の方も多いと思いますが、生産者が出荷する多くの鉢花や花壇苗には、枝や芽の伸長を抑制する植物成長調整剤、通称矮化剤といわれる農薬が散布もしくは灌注処理されています。遺伝的に矮性で矮化剤を使用しなくてもコンパクトな品種もありますが、処理することでより長期間草姿を安定的にコンパクトに保ち、かつ花数を増やすことができます。

上述の質問者のように、ご自分の栽培が下手だから花屋さんで売られているような形にならず、伸び過ぎたようになってしまうと思われている方が結構いらっしゃいます。

そのご質問には、
「お花屋さんで売られているようなコンパクトである必要はありますか?」
「これが植物本来の形であって、伸びている方がボリュームがあって良いとは思
いませんか?」などとお答えしています。

では実際に1つの植物に矮化剤の処理濃度を変えて散布するとどのようになるのか見てみましょう。植物は地植えでは2m近くまで伸長する生育旺盛なケナフです。このケナフの鉢物化について検討するため、別科花組の学生が実験を行っているところです。




このように、同じ時期に播種しても、矮化剤の濃度を変えれば簡単に株の大きさをコントロールすることができます。画像は下から上に行くほど処理濃度が高くなっています。一番下が無処理です。処理濃度が高くなるほど葉が反転し、葉の色も濃く、節間もかなり詰まっています。
今後、鉢物としては開花までコンパクトでいてくれれば良いのですが・・・、薬が切れたらまたどんどん伸びるでしょうね。

市販の鉢花や花壇苗に矮化剤の使用、不使用の表示がせめてあっても良い気がしますが・・・。花を購入する消費者の選択肢があまりにも無さすぎるような気がします。また、ご自分で育てられた花にもっと自信を持ってもらえるような情報提供も必要なのではないでしょうか。



  (渡辺均)

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