日中の気温も下がり、暦の上でも温かいものが恋しい季節になってきました。
自販機も衣替えして、あったか~い、が置かれるようになりましたね。
前回はロシア訪問2日目の午前中までで終わってしまったので、その続きから。
午後はさらに車で山奥へと移動、今度は木々が生い茂る森林地帯に入っていきました。
訪れたのは、森林の植生モニタリングなどを本業としつつ、菜園で薬草を育てているという方のもと。
今回見学させていただいた場所では、こちら苗生産ブログでも新藤特任研究員が度々ご紹介している『オタネニンジン』を栽培していました。
極東ロシアにはオタネニンジンの自生地があり、この周辺にもポイントがあるそうです。
ただ、ロシア国内において個体数が減少傾向にあり、山採りは禁止されているのですが、10年以上育った太い天然物は高価に取引されるため、現在は盗掘が増加しているようです。
ピンボケしてしまっていますが、寒冷紗で覆われた側面と、木片で隙間の開けられた天井で囲まれた場所に、森の土を利用した菜園です。
そこに1~2年生苗が植えられた畝と、5~6年生株の畝があり、施肥は特にせず可能な限り自然に近い状態で管理しているとのことでした。
4年生以降の株からは9~10月頃に種子を採集し、果肉を除去した上で8~12ヶ月間を土の中で保存し、その後播き直します。
自然に任せた栽培のためか、日本で栽培している株よりも全長が短く、軽めのニンジンに。
人工的な栽培品よりも天然品の方が薬効が高いと考えられ高値がつくことに加え、栽培期間が非常にかかることから、現在極東ロシアでオタネニンジンの栽培はほとんど行われていないようです。(それらの要因もあって、盗掘が増加傾向に…)
しかし、かつて1995年以前には、ソフホーズ(集団農場)にて50ha以上という広大な面積の農場で、オタネニンジンの栽培がおこなわれていたというお話も。
国の大きなバックアップで薬草を作る環境があったのは驚きですね。
いったいどんな光景が広がっていたのか興味がつきないところですが、ソ連解体に伴い生産がストップ。
現在では中国からの輸入増加もあり、個人で栽培することもなくなっていったそうです。
ロシアでの薬草栽培の一端を見学することで、植物の知識をさらに吸収した後には…小休止に地元のビール工場にお立ち寄り。
ロシア国内を席巻する…といった大きな製造会社ではありませんが、ドイツの設備を導入した醸造所で、製造したビールはモスクワで表彰されたこともあるそうです。
原料として使用する麦芽も、製造するビールにより様々な種類と混合割合で作られます。
農業アカデミーの卒業生の案内のもと、各所で試飲をさせていただきました。
昼にワインを飲みつつ、夕方にビールをいただく…。
お土産にビールを4本も頂きつつ、その日の晩はゆっくりと眠ることができました。
明くる日は、いよいよ農業アカデミーでの発表ですが、そちらはまた来週へ。
安藤匡哉
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