言わずもがな、植物は、光・温度・湿度・土壌肥料・土壌水分など、様々な環境に応答し、生育しています。それら植物の環境応答について、近年では遺伝子発現など、分子生物学の観点から、多くの知見が得られています。栽培・育種学実験では、その基礎中の基礎であるバイオマス分配 (biomass allocation)について、分析してみました!
同じ植物(品種)で、水を適切な量を与えたものと、水をギリギリまで控えたものを比較すると、おそらく多くの場合、水を適切な量与えた植物の方が、大きくなる(光合成により、多くのバイオマスを生産)ことが想像できます。このように、植物の大小を比較することは非常に簡単ですが、今回のポイントは、応答を数値化することです。
水が少ない環境下で、植物は多くの場合、根を多く張る(根へのバイオマス投資)努力をします。そのため、根重量比(根の乾燥重量 ÷ 全体の乾燥重量)が、好適な水分環境にあった植物と比較し、高くなることが予想されます。一方、蒸散を防ぐため、葉重量比(葉の乾燥重量 ÷ 全体の乾燥重量)と茎重量比(茎の乾燥重量 ÷ 全体の乾燥重量)が下がることが予想されます。そこで、今回はトルコギキョウ ‘海のほのか’ の湿潤個体と乾燥個体を比較してみました!(結果は次週のブログで。)
根・葉・茎に分け、封筒にいれている様子。
※単に、根の乾燥重量のみを比較すると、好適な水分環境にあった植物の方が、生産性(光合成)が高いため、根重量も高くなる場合が多いです。そこで、全体の乾燥重量のうち、根に投資した割合を計算することが、応答の数値化に適している、という考え方に基づいています。
※葉重量比+茎重量比+根重量比(+花重量比)=1になります。
では、水ではなく、光や肥料の場合はどうでしょうか?
経験的に想像がつくことかもしれませんが、「数値化してわかる」ことが、研究の面白さを知る一つのきっかけのような気がします。夏休み最終日に、泣きながら自由研究に追われていた昔の自分に教えてやりたいものです。笑
黒沼
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