2017年9月20日水曜日

取り扱いにご注意を

 台風シーズンも本調子となり、ひとつ大きな台風が過ぎ去ったかと思いきや、新たに生まれた台風の進路にドキドキする日々が続きます。
 ハウス内はともかく、薬草園など地植えの植物たちが心配です。


 風に揺れる背の高い植物が育つなか、地際から可愛らしい姿を見せてくれる花が咲き始めています。


 こちらはイヌサフラン Colchicum autumnale L. ユリ科(イヌサフラン科)です。
 名前にもあるように「サフラン」の花によく似ていますが、アヤメ科のサフランとは全くの別種です。

 イヌ、と名前にあるのは、サフランに似ていることや、サフランのように香辛料として用いることができないことからつけられているようですね。


 サフランのように、ニョロっと伸びた雌しべが赤く色付くことはありません。

 むしろ、香辛料のように利用してしまってはタイヘン。
 全草、特に球根や種子に、身体が麻痺するなどの強い毒性があり、芽生えの葉を山菜として、また球根をタマネギやミョウガとして間違えてしまうことが報告されています。


 ただ、毒にも薬にも、といわれるように、この毒性を引き起こすアルカロイドの一種「コルヒチン」は痛風薬として利用されるほか、染色体異常による倍数体の作出といった植物の育種にも用いられています。

 もちろん、こうした物質の抽出には専用の器具と操作が必要となるため、ご自宅では難しいかと思われます…家でチャレンジしようという方がいるのかは分かりませんが。


 有毒植物として代表的なトリカブトの陰に隠れつつも、毎年のように被害の報告があるイヌサフラン。
 見た目に惑わされぬよう、皆様も十分にお気を付けください。


(安藤匡哉)

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