先週は宮城県南三陸町でトウキ(生薬名:当帰)の湯通し(湯もみ)を行なってきました。南三陸町では、7年前から私たちが栽培方法を確立させた1年栽培法で生産を行なっています。
生育状況の確認も含めて年に数回、現地を訪ねています。昨年の12月には掘り上げに立ち会い(実際に掘りましたが・・・)、今回は湯通し(湯もみ)の作業工程の確認と一緒に作業を行って来ました。
昨年の12月に掘り上げられたトウキは‘はさがけ’され、冬場の低温下でゆっくりと乾燥されていました。
ある程度乾燥されたトウキを湯もみに使用します。湯もみは、泥の着いたトウキの根を綺麗に洗い、汚れや小石などを取り除くことも目的の一つですが、その他にお湯で洗い、手で根をよく揉むことで、完全に根の生育を止めること、根に蓄積したデンプンを糖化させることなどの目的もあります。湯もみをして、しばらく乾燥させると次第に根の甘みが増してきます。
ということで、小雪の舞う外気温1℃の現地に到着し、挨拶もそこそこに横から強風の入る雨除けハウスの中でさっそく作業工程の確認の後、湯もみ作業開始!
使用するお湯は薪で沸かしています。すべて人海戦術です。お湯の湯気と薪を燃やす煙で時おり良く見えません! 全身‘いぶりがっこ’のようにスモークされました・・・。
湯もみが終わったら根の形を整えて、さらにベンチの上に並べてしばらく乾燥させます。
2日間にわたり作業を行なってきました。湯もみをすることで、根の表面の色もあめ色に変わります。
乾燥後、生薬メーカーさんに送られ、検査に合格すれば刻み生薬として、今年の6月頃には医療機関で使用される予定です。毎年行なわれていることですが、良い生薬を作るためには、採種から種子の選別、播種、育苗、畑づくり、定植、除草、収穫、乾燥、湯もみ、加工とどの工程も失敗が許されないとても重要な作業です。今回、その大切な工程のひとつの‘湯もみ’をきちんと確認することができました。
従来から行われている2年栽培の生薬品質との同等性を担保しつつ、セル成型苗を定植する一年栽培法により、生産者の収益性が高まり、さらに作付け意欲が高まればと思っています。来月には来年度の栽培に向けた播種が始まります。
(渡辺 均)
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