2016年3月21日月曜日

種子を播く生産者たち

2週間前のブログに種子を播かなくなった生産者のことを書きましたが、先週は種子を播く生産者さんを松原園芸の松原さんと一緒に訪問してきました。いずれも群馬県内の生産者さんです。

()林園芸さん
鉢花のシクラメンとポット苗を中心とした生産者さんです。ほとんどの品目は自家採種の系統で生産を行なっています。ポット苗は山野草を中心に、播種した中から優良な系統や枝替わりを選抜し、株分けや挿し芽で増殖していました。比較的涼しい環境を利用したオリジナリティーの高い品目を作られていました。
トリアシスミレ

サギゴケ


オキナグサ(八重咲き)


サギゴケは山から採ってきた系統から良い系統を選んだそうです。サギゴケもオキナグサも花色は複数色あり、シリーズとしてもきちんと整えられていました。種子を播くことによって、さらに枝変わりも高い頻度で出現するようで、アジュガのカラーリーフも栽培されていました。

アジュガの黄色葉品種


()さかもと園芸さん
アジサイの育種で有名な生産者さんですね。数々の素晴らしい品種を作出されてきましたが、娘さんご夫婦が力を合わせて新たに取り組まれている姿がとても印象的でした。母の日の出荷に向けて、ハウス内は奥様の名前の付けられた品種‘KEIKO’でいっぱいでした。新しい品種の候補も多数育成されており、新たな「さかもと園芸」が動き出しています。

KEIKO


松原園芸さん
最後に松原園芸さんに立ち寄りました。千葉大学の助教を辞めて就農し、その1年目の冬に大雪の被害でハウスが倒壊してしまいました。生産スペースが半減してしまったこともあり、施設の回転率の高い品目のポット苗に生産を集中させ、それと同時にマーガレット、オステオスペルマム、カリブラコア、イネなど、次々と新しい品種を開発しています。施設の生産効率を高め、オリジナル品種を生産する。それも消費者に届いてからも栽培しやすい品種であればどうでしょう? マイナスからのスタートであったにもかかわらず、経営はまさにV字回復のようです。

昨年、再建されたハウス


オステオスペルマム


今回訪問した生産者さんに共通する点は、親の世代もほぼ同じ品目で花卉生産を行なっていた(る)こと、しかし、その栽培方法をそのまま踏襲していないこと、自分の生産環境に合ったオリジナル品種を作出していることから、この生産者からしかその商品を入手することができないこと、注文に合わせて種苗生産が自由に計画的に実行できること、販売チャンネルを複数持っていること、それと施設内がとても整然と清潔に管理されていることでした。基本的な栽培技術を親世代から継承しつつも改善して効率化を進め、エンドユーザーを意識したオリジナル品種を作出し続け、それを計画的に生産・販売する。これを実践していれば向かうところ敵なし! ですね。

花は売れているところでは、しっかり売れていますよ~。やっぱり自分で種子を播きましょう!!


 (渡辺均)

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