2020年9月14日月曜日

種子のどこから発芽してくるのか? ~マリーゴールドの播種~

8月と9月に集中で農場実習が行われていることは以前のブログで書きましたが、今回は園芸学科2年生の花卉・苗生産の実習の話題です。

園芸学科2年生の実習も1年生と同様に約70名を3つのグループに分けて、毎週1回行われています。花卉・苗生産の実習だけではなく、果樹や蔬菜の実習メニューも組まれています。そのため、午前と午後でグループが入れ替わりますので、一日で同じ中身の実習を2回行っています。

 

8月から行なってきた2年生の花卉・苗生産の実習内容は、

①栄養繁殖;挿し木の基本

      ミニバラの切り戻しと挿し木

②種子繁殖;種蒔き(播種)の基本

      手蒔きと播種機を用いた播種

③ 道具の使い方;鋏、鎌、鋸

      道具の使い分けと鎌の研ぎ方

④ 花壇管理の基本

           花壇、薬用植物園の管理

       

多人数で行なえる実習メニューを考えるのは結構大変ですが、少しでも考えられて、身に付く技術を習得して貰えたらと考えています。

例えば、下の画像はマリーゴールドの種子ですが、セルトレイの中央から発芽させるためには、種子をどのように播いたら良いか。どこから発芽してくるのかを考えて貰いました。白い部分から? 真ん中から? 先の尖った方から? それぞれに手を挙げて貰いましたが、ほぼ3つに分かれました。

マリーゴールドの種子(どこから発芽する?)

 

そうなると、そもそもどのように種子が形成されるのかがわからないと、正しく発芽する位置がわかりません。そこで、同じキク科の近くにあったガイラルディアの花の断面やタンポポの冠毛を見せながら、キク科の花は複数の小花(しょうか)が集まった頭花であり、頭花は外(下)側から同心円状に開花し、その中に筒状花と舌状花があり、その下にひとつひとつ子房があり、それがやがて痩果(そうか)となり、それを割ると中に胚珠があり、種子はその胚珠のある花床(かしょう)側から発芽してきますと・・・。これだけを理解して貰うためには、けっこうな説明と観察に時間を要します。

理解して貰ったところでさっそく播種! 


 

 1週間後の結果が上の画像です。種苗メーカーのおかげで発芽は100%ですが、芽はセルの真ん中から出ています・・・? 園芸のプロになるためには、まだまだ時間がかかりそうです。

 

(渡辺 均)

 

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2020年9月11日金曜日

奇妙な花

こんにちは。学部3年の君島です。

 

最近やっと涼しくなったと思っていたら、また暑さがぶり返してきましたね。それでも朝夕の暑さは少し落ち着きだしたように思います。

熱中症とコロナ感染に気を付けて、夏を乗り切りましょう!


さて、今回は圃場で面白い花が開花していたので、ご紹介します!

 

この植物は、ガガイモ科のスタぺリアという植物です。

南アフリカやインド東部などを原産地としています。葉っぱは写真のように多肉質であり、サボテンのような見た目をしている植物です。

 

この植物で面白いところは、花の見た目です

開花途中の花

 

写真のように、ヒトデのような形をしており、花にびっしりと毛が生えています。

 

また、もう一つこの花の特徴的なこととして、その香りが挙げられます。

 

スタぺリアがどのようなにおいを放っているかというと、生ものが腐ったようなにおいです。

これはスタぺリアの受粉の特性として、ハエなどを媒介者にするため、それらの昆虫が好むような芳香を放っていると考えられています。

 

今回は花という器官に注目しましたが、花は子孫を残すために、においや形などで様々な戦略をとっているため多種多様な形態を持っています。

皆さんも不思議な形の花を見たら、どのような戦略をとっているのかと考えてみるのも面白いかもしれませんね。

 

(学部3年:君島)
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2020年9月8日火曜日

リトライ

 こちらは約40品種のトルコギキョウでチップバーンの発生に関する研究を行っている苗テラスです。ごらんの通り、ずいぶんと大きくなりました。

 
 が、しかし、ほとんどチップバーンが出ていない・・・
 生産現場では喜ばしいことですが、チップバーンの出やすさを検討する研究では、致命的な失敗です。

 この原因はおそらく、培養液の窒素濃度と推察されます。前回までの実験では、園試処方1/4単位の培養液を使用していましたが、今回は品種数も多いことから、苗テラスで慣行的に使用している培養液を使用しました。この培養液の窒素濃度が低く、成育が緩慢となり、じっくりと育ったことで、チップバーンが発生しなかったと推察されます。
 このことは、ある種、非常に興味深い現象です。まずは、今回使用した培養液の成分を分析し、チップバーンの発生しない(しにくい)培養液組成として、記録に残しておきたいと思います。そして、この結果を上手く活用しながら、チップバーンと窒素や成長速度の関係性を丁寧に実証していくことが出来れば、さらにチップバーンの発生原因を掘り下げることが可能かも知れません。(ちなみに、今回の失敗実験でも、2品種はチップバーンの発生が確認されています)

 そして、当初予定していた実験に、リトライするため、早速種子の撒き直しを行いました。今度は以前から使用していた培養液を使用し、実験を行う予定です。

 一方温室では、一輪仕立ての花が開花し始めました。花形態のデータに関しては今回の実験分で、しっかりと入手出来そうです。


 失敗を次にいかせるよう、頑張り時ですね。


黒沼



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2020年9月7日月曜日

キハダ ~ その後の生育 ~

3月と4月のブログに薬木として利用されるキハダの種子の精製と播種後の発芽についてご紹介しました。4月の時点では約18万粒の播種数に対して、発芽数はたったの3本でしたが・・・。

 

http://naeseisan2.blogspot.com/2020/03/blog-post_16.html

http://naeseisan2.blogspot.com/2020/04/180000.html

 

あれからおよそ5カ月が経過しました。5月~6月にかけて次々と発芽が始まり、現在何本あるのかカウント不能なくらいになりました。生長が進むにつれて、次第に露地圃場では灌水管理が追い付かなくなったため、水栓が近く、目の届きやすい中庭へ移動させました。下の画像のように現在は、播種容器のカラーコンテナを覆い隠すほど生長しました。

 


 

発芽から数ヶ月で、大きいものは高さが150㎝を超え、この生育の旺盛なことと、連日の猛暑と晴天のため、1日2回以上の灌水が欠かせなくなりました。秋までにどこまで生長するのか・・・。

 

さらに厄介なのは、アゲハの幼虫による葉や茎の食害です。キハダはミカン科の植物ですので、アゲハの幼虫の食草です。どうしてこの場所がわかるのか、次から次へと飛来しては、小さな黄白色の卵を大量に産み付けていきます。幼虫が小さいうちは、まだ被害は少ないのですが、しばらくすると丸々と太った幼虫は、葉だけではなく頂芽も食べてしまうので、気が気ではありません。

 

ご近所に昆虫少年がいたら、喜々としてみんな持って行ってくれるのでしょうけどね。でも、また成虫になって戻って来ますね~。

 

(渡辺 均)

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2020年9月4日金曜日

花いっぱい

 こんにちは。学部4年の御園です。

 

 急に大雨が降ったり、かと思えば強い日差しが照りつけたりと、なんだか不安定な天気が続いていますね。服装や持ち物に迷ってしまいます。

 

 さて、今回は私の地元である葛飾区の取り組みについて紹介したいと思います。

 

 葛飾区では、『かつしか 花いっぱいのまちづくり』という取り組みを行っています。区民と区が協力して、まちを花と緑で彩ろう、というプロジェクトとなっています。

 

 現在、駅前の広場や公園の一角、沿道など、区内のたくさんの場所で花が見られます。それほど多くの場所で活動が行われているのは素敵なことだと思います。

 この取り組みのおかげか、ここ数年で花を見かける機会が増えたような気がします。植物が身近にあると気分が落ち着きますよね。

 

 こちらは実家の近くにある花壇です。

 

 きちんと管理されていて、夏の暑い日でも負けずに美しい姿を見せてくれます。

 

 区は講習会を開いたり、花の種子や苗を配布したりしていますが、実際に花壇を整備しているのは区民ボランティア団体の方々です。

 先日も暑い中、花壇の植え替えをしている姿を見かけました。

 ボランティアの方がいつも楽しそうに話しながら作業をしているのを見かけて、ほっこり優しい気持ちになっています。

 

 いつも素敵な花壇を作り、管理してくださり、この街に住む者としてありがたい限りです。この取り組みがこれから先も続いていくことを願います。



(学部4年:御園)


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2020年9月3日木曜日

パンジーの播種

9月に入った途端、酷暑が和らいでおり、日中の過ごしやすいですね。
この気温が続く事を願います。

さて先日パンジーの大量の播種を終えました。
昨年同様、512穴のセルトレに苗生産が誇るドラムシーダーを使い播種を行い、
セルの種子の2粒播きや播種抜けを人の目で補正をしていくのですが...

今年は青色に色付けされているコート種子を使いました。
補正中

コート種子播種後

裸種子播種後

違いは歴然、裸種子だと目を凝らさないと見えなかった種子が
コート種子だと一瞬で判断できますね。
これによりパートさんを大勢導入して行っていた補正の作業を
私ともう一人のパートさんのみで、裸種子の時と大体同じ位の時間で終えることができました。

9月中旬からポット上げが始まります。
今年はヨトウムシの幼虫が徘徊していたり、田圃の畔にイナゴが大量に発生していたりと
害虫が例年より多い感じがします。
それらからの食害を最小限に留め、花を咲かせることができるのか⁉
今から身震いがしてきますね。

(新澤)

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2020年9月1日火曜日

9月がスタート

 いつの間にか、今日から9月です。早く涼しく、過ごしやすい日々が続いて欲しいものです。今年も残すところあと4ヶ月。学生さんの実験も慌ただしくなってきました。


 こちらは、先日もご紹介しましたが創発プログラム2年生の芝類の耐陰性の評価に関する実験です。苗テラスに遮光率の異なる寒冷紗を設置し、芝の生育の評価を行います。
 処理開始から数日しか経っていませんが、既に、処理区毎に葉の様子が変わっています。植物の環境応答は、観察するだけで興味深いです。学生さんには、どうして、そのような環境応答を示すのか?について、きちんと理論に基づいた説明が出来るようになって欲しいですね。
 最近酷暑の日々が続いていましたが、植物は強日射と高温に耐え、改めて、すごい生物だな。と思います。なんでそんなに強いのか、というのも大変興味深いです。私にもその力、分けて欲しいです。



黒沼



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