2016年3月14日月曜日

一回結実性植物

3月に入り、秋に定植したハボタンが蕾を着けてきました。こうなってしまうと公共の場に植えられたハボタンは抜き取られ、花を咲かせることなく春の花壇苗と交代させられてしまいますね。



ハボタンもそうですが、1世代に1回しか開花・結実しないで結実後は自然に枯死してしまう植物のことを回結実性植物といいます。 一年草と二年草に分類される植物のほかに、タケやササ、リュウゼツランなどにも見られます。

一回結実性植物の中には、結実させないと枯死が遅れる性質のものがあり、その性質を利用したのが踊りハボタンです。下の画像の踊りハボタンは定植後2年半の夏の様子です。大きくなり過ぎて太い茎が地面を這い、たくさんの芽を伸ばしています。踊りハボタンのイメージとは程遠いですが・・・。


では、聖護院ダイコンは? ハボタンと同じアブラナ科のこの植物も一回結実性植物ですね。

それでは、聖護院ダイコンも種子を着けさせなければ、枯死が遅れるのでしょうか? 答えは○です。だからといって、聖護院ダイコンの鉢植えが多肉植物のトックリランのように花店には並ばないでしょうね。

ちなみに、一回結実性ではなく、結実後も自然に枯死せず、1世代中に複数回開花・結実する植物を多回結実性植物といいます。宿根草や木本類などが多回結実性植物です。 

せっかく植えたハボタンですので、すべて廃棄せずに花を観賞し、観賞後はただちに花がらを摘み取り続けると、今年の秋には踊りハボタンとして楽しむことができます。ただし、その間にアオムシやヨトウムシ、アブラムシなど、けっこう害虫がつきますので、葉を綺麗に維持するためには防除が必要です。
(渡辺均)

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2016年3月11日金曜日

“さくらさくら”の挿し芽

今週の実習はペチュニアさくらさくらの挿し芽です。

挿し芽した際、一番重要なのは、いつも注意されていますが、挿し穂の長さの調整です。灌水する時、長すぎると、倒れる恐れがあり、短すぎると、挿し穂が土から浮いてしまいます。これらはともに、その後の生育に影響を及ぼします。そのため、挿し穂の長さをだいたい1.5cm2.0cmに統一させ、行います。

指の長さを頼りに、挿し穂の長さを調整する

また、今回作業の中では花芽を挿し穂にしないように注意しなくてはいけません。3月に入り、日長が長くなり、夜温が上昇したため、親株には、ちらほらと花芽が見えます。
花芽を挿し穂にしてしまうと、栄養成長ができず、生育が悪くなります。花芽を見分けるのは、難しい時もありますが、丁寧に挿し穂をとっていきました。

 小さな花芽の様子

最後に、土の中に挿すとき、なるべく挿し穂の向き、高さ、大きさをそろえて、個性がでないように挿します。

完成したものです

栄養系の植物を生産するのは手間がかかりますが、生育が早くて、短い期間内で出荷ができます。今回挿し芽したさくらさくらは、微量要素の肥料をあげて、生育を調整してだいたい一ヶ月後に出荷する予定です。
(修士1年:任)

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2016年3月10日木曜日

冬休みの観察日記

12月上旬





















コーティングされた小さなペレット種子を播種しました。
発芽時には、一般的な花壇苗より高温多湿を好むので、毎日霧吹き。



12月中旬




















小さな小さな子葉が展開。
288穴セルトレイのセル1辺は2cmほど。
眼をこらさないと見えません。
カメラのピントも合いません・・・



1月上旬





















肥料を与えると、ぐんっと成長。
でも急に強い日差しや低温に当たると、生育がストップしてしまうことがあります。
この時点ではあまり徒長の心配はないので、
他の実生苗より長期間、光の少ない発芽室で管理します。



2月上旬




















3.5号ポットに移植。
根が傷みやすいので、根鉢を崩さないよういつも以上に気を遣います。
低温や多湿にも注意が必要で、暖房や送風機を利用し、
暖かく、乾かし気味に管理をします。



3月上旬





















スペーシング。
あの小さな苗がずいぶん大きくなりました。
初期と比べて乾燥や日差しにもかなり強くなっています。



3月上中旬





















一部開花し始めました。
でも、出荷はまだまだ先なのでせっかく咲いても摘んじゃいます~




箱入り娘のように大事に大事に扱ってきた苗ですが、
ここまできたら後は、出荷時のバランスや状態を意識して
高く伸びすぎないよう、肥切れ・水切れをしないよう見守るばかりです。



以上、冬休み(もう春休みの時期なのね!)の観察日記
~シュウカイドウ科ベゴニア(Begonia)~でした。





池田






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2016年3月8日火曜日

すっかり春?

今日の柏の葉はすっかり春。

朝の天気予報では4月下旬~5月上旬並みの気温、なんて言ってましたが、
ほんとにそんな暖かさでした。

柏の葉でも梅が満開。
桜に比べれば地味ですが、早春の雰囲気は満点です。



さてさて、花卉・苗生産部では、今が満開の花は少ないのですが、以前から
書いてきましたように、春本番に向けて、着々と準備が進んでいます。

ペチュニアは、

ピンチ(摘心)を繰り返して、十分な枝数に。


カリブラコアも母の日の出荷に向けて、枝数を増やしています。
灌水、農薬散布、ピンチ、いろいろな作業を経て、やがて春の出荷期を迎えます。

東京あたりでは今月20日過ぎには桜も開花する予想になっていますね。

とは言いつつ、今週後半はグッと冷え込むようです。
皆様、体調の管理にはお気をつけ下さいね。


(金谷)

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2016年3月7日月曜日

種子を播こう

近年の農業は分業化が進み、生産者自らが種子を播くことが少なくなり、苗を購入することが多くなりました。特に若い生産者は、セル成型苗を購入することが当たり前のような風潮になってきました。分業化が進んだのは、品質の高いセル成型苗を購入することで、育苗にかかる手間やコストを削減し、生産効率を高め、品質の高いポット苗や鉢花生産に労力を集中させるためです。これは、もっともな考え方かと思います。しかし、一方で生産者が種子を播かなくなってしまった結果、失ってしまうものも・・・。
①自家採種種子を使わなくなったため、生産者の栽培環境に適した品種・系統を失うことになる。
②交配や系統選抜で新しい品種や系統を作出することができない。
③播種した苗の中から、変異株を見つけ出す機会を失う。
④販売種子の在庫状況やセル成型苗生産者の事情により、必要量の苗を確保することができない場合が発生する。
⑤販売種子以外の苗を得ることができない。
上記のように、種子を播かないことで商品開発の機会を逸してしまい、他の生産者との商品の差別化も難しくなってしまうこともあります。

花卉・苗生産部ではいろいろな品目で種子からの苗生産を行なっていますが、その中でも高い頻度で突然変異株を見ることができます。

ヒマラヤユキノシタ


シオデ


 
オケラ


ソヨゴ(左:茎や葉柄が緑色)


これらの突然変異株がすぐに商品になるかは、また別の問題ですが・・・。
自分で播種する生産者が少なくなっただけに、すぐに自分で種子を播かなくても、商品開発を行なうことができる技術を保持しておくためには、播種の基本的な知識や技術を最低限身に付けておいた方が良いのではないかと思います。
このような内容の記事が本日(37日)付けの日本農業新聞に掲載されているそうです。機会がありましたらお読み下さい。

(渡辺均)

 

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2016年3月4日金曜日

多量の果実

みなさんこんにちは
日中はぽかぽかした日が増えてきて、春の気配が近づいてきました。

そんな中、度々本ブログにも登場している1000属ハウスでは、ある植物の実が完熟してきました。



1.5cmの赤い実ですが、皆さん何の植物の実だかわかりますか?
この実は全世界で、多くの人がなじみのあるアレの原料となっています。



実を、割ってみると中から、2粒の種子が出てきます。



正解は、アカネ科コーヒーノキ属コーヒーノキ(Coffea)です。

コーヒーノキは、多くの野生種が、アフリカ大陸西部~中部からマダガスカル島などの地域に分布し、栽培も主にコーヒーベルトといわれる赤道付近、北緯25~南緯25度までの熱帯と亜熱帯に集中した地域で行われています。
特徴として、耐寒性は、あまり強くなく気温が0℃になると枯死、また、風の強いところでは5℃程度でも枯死してしまいます。また、気温条件を満たしていても、充分な降水量が必要であるため、乾燥している場所での栽培は見られません。
日本においては、常緑であることや赤い実をつけることから、室内で観葉植物として利用されることもあります。



先ほどの種は、コーヒーの原料となるコーヒー豆ということになります。
皆さんが口にしているコーヒーは、この種子を乾燥した後、焙煎し、それをお湯や水で抽出したものです。

さてここで、コーヒー1杯どのくらいコーヒーの実が必要となるのでしょうか?
コーヒーカップ1杯、約120140ccのコーヒー豆必要量が10グラム程度と言われています。さらにコーヒー豆約60粒で約9g程度と言われていますので、1杯のコーヒーを飲むために、30個以上の実が必要であることがわかります。
※あくまで簡易的な計算です。コーヒーの種や豆の大きさ、焙煎度合いなどによって、値は変わってきます。

なんとあの1杯にそんなにも、、、
そう考えるとコーヒー1杯の見方が変わってきますね

(修士1年:村岡)
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2016年3月3日木曜日

移動式高圧ナトリウムランプ



今年もナトリウムランプを使用する時期がやってきました。

ランプの下ではマーガレット サマーソングローズの鉢が並んでいます。

























4月の出荷までにできるだけ多くの花芽をつけたいマーガレット。








              




でもその先には、花芽を着けたくない、挿し芽の親株用のペチュニアがあります。





                 



挿し穂に花芽が着いてしまうと、生育が揃わなくなり、均一な苗ができません。
ペチュニアの花芽は気温が高く、日長が長くなると着きやすくなります。







そこで、苦肉の策として、ハウス内に遮光カーテンを張ります。







こうすることで、なるべくナトリウムランプの光が届かないようにしています。(長嶋)




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