5月2日から始まった母の日の出荷作業も学生さんやパートさんのご支援もあり無事に終了しました。また、多くの方に千葉大学花卉・苗生産グループの鉢花をお買い求めいただきました。この場を借りて御礼申し上げます。
世の中が連休であろうと、母の日の出荷作業をしていても植物は生長し続けます。ちょうど連休中に薬用植物園から畑地に移植したタチシオデ(サルトリイバラ科・
Smilax nipponica Miq.)の芽が伸びてきました。
このタチシオデは、つる性の宿根草で「山のアスパラガス」と言われるほど美味な山菜のひとつです。20~30㎝ほどに伸びた若い茎を食用とします。くせがなく、おひたしや天ぷらなどで頂くと最高です! 一度食べると、年に1回は食べたくなりますが、関東周辺では山菜採りに行っても、一か所でたくさん採れるほど群生もしていませんし、茎が太いものがたくさん採れるわけでもありません。
そこで、秋に種子を譲り受けて、苗を育ててみることに・・・・・。話はさかのぼり、2016年の秋に黒熟した果実から種子を採りだして洗浄し、すぐに播種して、水を切らさないように管理して・・・・・。 地上に葉を展開させたのが2018年の春、その後の数年間は、水と肥料を一生懸命に与えても数枚の葉を展開させるのみ。
出芽して2年目の株
さらに4年が経過し、ついに待望の太い新芽がにょきにょきと伸びてきました!
タチシオデの新芽
じつに食べごろで、とても美味しそうなのですが、種子をさらに採るために食べるのは我慢して、母の日の出荷作業後にさっそく支柱を立ててやりました。暖かい日ですと一日に15~20㎝ほど伸びてきます。一昨年からは、温度処理を行うことで出芽を短縮させることができるようになりましたので、苗の量産がさらに進んできました。
タチシオデは、収穫までに年数がかかること、収量の低さなどの課題はありますが、苗の供給量がもっと増えれば、食材としての普及や新たな健康機能性植物としての活用も期待できるのではないかと考えています。来年の今頃には、試験的にキャンパス内の売店で販売できるのではないかと思っています。
(渡辺 均)
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