2017年1月13日金曜日

暖かいハウスの中で


 日中は、よく晴れ、穏やかな日が続いています。
 最高気温は、3月上旬並みの気温を記録しているようですが、朝夕の冷え込みは、冬を感じさせます。

 そんななか、1,000属ハウスでは、とある植物がすくすくと生長しています。
 突然ですがここで問題です。


 これは何の植物でしょう?
 葉の陰に、なにかちらっと見えていますね。



 正解は・・・・・









 ウツボカズラ属(Nepenthes)の植物でした。

 ウツボカズラ属は、ハエトリグサ属(Dionare)とともに、有名な食虫植物のひとつです。
 食虫植物は、やせた土地などに自生していることが多く、不足している栄養素を補うために、虫などを捕食するといわれています。


 ウツボカズラ属は、現在、約70種が確認されているつる性植物で、葉の先端部分に捕虫器という袋をつけます。
 実は、捕虫器が葉の本体で、葉に見える部分は葉柄が広がったもので、偽葉と呼ばれます。
 この中には、消化液が含まれた液が溜まっており、虫などが中に落ちた場合、徐々に消化されます。



捕虫器(つき始め、開いた後)

 ウツボカズラには、

・インドネシア、オーストラリア、マダガスカルなどに自生し、大きく、高温で多湿な熱帯ジャングルに自生している種類
・低温で乾燥している標高800~1500m山岳に自生している種類
・冷涼で多湿な標高1000~3000mの山岳に自生する種類

などがあります。


 このウツボカズラが、1,000属ハウスの仲間入りしたのは、去年の11月初め。
 その頃は2.5号ポットに植わっている苗の状態で、もちろん袋はついていませんでした。

 1ヶ月ほどで小さな袋がつき始め、2ヶ月経つころには、遠目から見てもわかるくらいの袋となり、先日ついに袋が開きました。



 比較的寒さには弱い植物ですが、毎日頑張ってくれている暖房・・・いえ、管理している学生たちのあふれる愛情で(?)、この寒い時期でも、すくすくと生長してくれています。



 今日は、ウツボカズラの紹介でしたが、1,000属ハウスには、花はもちろんのこと、観葉植物や野菜など様々なものがあります。

 これからも、学生たちで協力し、これらの生長を見守っていきたいと思います。
 あわよくば、少しでもハウスの虫を減らしてくれないかと思いながら。


(学生:修士2年 村岡)

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2017年1月11日水曜日

輝く赤い実


 正月太りをなんとか解消しようと思うなか、新年会にてたらふく食べてしまう今日この頃です。
 暖かいものは美味しいですね。
 遅ればせながら、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。


 正月三が日は暖かかったものの、今週末には大寒波が押し寄せるとのことで、まだまだ寒さはこれからが本番ということでしょうか。

 日本は四季の移ろいがあることで、多様な植物種が自生していますが、熱帯原産などの寒さに弱い植物にとっては越冬が厳しいため、冬場は温室内から出せないものも多くありますね。
 一方で、これらの地方に自生する植物は、個性溢れる見た目で楽しめるものも多いのも事実。




 この赤く丸い果実が連なった可愛らしい姿のジュズサンゴもそのひとつです。
 ジュズサンゴは非耐寒性ですが、地上部が枯れても根が枯れなければまた芽が出てきます。
 また、半つる性のため茎の伸長がよく、半日陰でも生育可能な耐陰性を示すことから、下草としての利用に適しています。


 数珠珊瑚(ジュズサンゴ)の名前は、数珠のような果実が紅い珊瑚玉のように見えることから。
 実の付き方を見れば納得ですね。



 薄く光って見える赤い果実には、サボテンの花など限られた植物種がもつベタレイン系色素を含んでいます。
 ジュズサンゴの果実から抽出した色素は、ワインや菓子類の着色のほか、衣類の染料にも一役買っています。



 赤い果実部分を取り除いた種子。
 水で膨らんだチアシードのような、ぼんやりと白っぽい曖昧な輪郭の不思議な見た目をしています。
 増殖用として来年度に播種予定です。


 北米南部~南米の原生地では雑草のように生えているとのこと。
 多くの実をつけたジュズサンゴの群生した光景も見てみたいものですね。


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2017年1月9日月曜日

ヨモギの品種を創る!

2017年が始まってまだ2週目ですが、お正月があったのも忘れるくらい通常モードになってしまいました。
研究ハウス内ではヨモギの小さな苗が育てられています。


モグサに向くヨモギの品種を作るために、昨年秋に交配して、種子を採り、播種したものです。葉の収量が多く、葉裏の毛の多い品種を作るのが目標です。

上の画像ですが、一番下に1枚だけ見えている丸い小さな葉が子葉です。面白いことに次に展開する本葉(2枚)も子葉のような形をしていますね。いつも目にしているヨモギの葉には見えません。その次に展開する葉は葉縁に切れ込みがあり、ヨモギらしい葉になってきました。この葉で長さが5㎜ほどです。これが道端で目にするヨモギのように大きくなるとは想像できません。

ごくふつうに目にするヨモギですが、発芽直後の苗を見る機会は、そう多くはないでしょう。交配して、種子を播くようなこともあまりされませんね。ヨモギは厄介な雑草として見られがちですが、餅草、モグサや薬草として、利用範囲の広い植物です。

まだ、発芽したばかりの小さな苗ですが、すでに系統にごとに個性が出てきました。子葉や本葉の形状が明らかに違います。

この中から、数年後にモグサ用の新しいヨモギ品種が誕生することを夢見て、ヨモギの選抜がスターとします。

雑草も見方によっては、貴重な植物資源です。私たちの身近な場所には、まだまだ有用な植物資源が未改良のまま残されています。


(渡辺 均)

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2017年1月6日金曜日

屋上緑化を都市の中で広げたいですね!



 修士2年生の任倩玉です。
 ちょうど今は、大学院で2年間研究した内容をまとめている時期ですので、本日は自身の研究内容の一部について、ご紹介したいと思います。


 私の研究テーマは「屋上緑化シバ地における炭素動態と窒素動態」についてです。

 屋上緑化は、主に人工軽量土壌を用いて、セダムやシバ類など、乾燥耐性の強い植物を利用して、薄層緑化システムを作る都市緑化技術です。

 ヒートアイランド現象の緩和や、エアコンにかかる電力の低減、空気中の二酸化炭素・窒素酸化物を吸着する空気浄化、また都市部の景観向上など、様々な環境改善効果が期待され、これまで施工が推奨されてきました。



ある施工現場の屋上緑化の様子

 本研究室の先輩である黒沼さんの研究では、シバを植栽した屋上緑化における炭素固定能(空気中の二酸化炭素を炭素化合物として留める機能、大気中の二酸化炭素の削減能力)について報告されました。

 しかしながら、土壌中の炭素量との関連性が認められている微生物活動などについて、未だ報告例はありません。


 地上における森林や草地などの緑地において、炭素固定能は、生態系の物質循環と密接な関係があるため、多くの調査研究がおこなわれています。

 そこで、屋上緑化の長期的な経時変化、炭素固定能を明らかにするために、地上における物質動態の研究手法を用いて、屋上緑化シバ地における炭素動態について、調査してきました。



 研究の一部として、屋上緑化シバ地の土壌を「サッチ層」と「人工土壌層」に分けて、土壌中における微生物の活性やバイオマス炭素、呼吸量などを調査しました。 



上部のサッチ層と下部の人工土壌層

 その結果、屋上緑化シバ地において、炭素は主にサッチ層に蓄積されていることが明らかになりました。


 サッチ層の炭素量が時間の経過にしたがって増加するとともに、土壌中における微生物の活性が上昇し、バイオマス炭素量も増加しています。
 しかしながら、呼吸によって放出された二酸化炭素の量は、時間の経過にしたがって増加していませんでした。


 現在、この結果をもとに考察をおこない、研究デーマに沿ってまとめています。


 現在、中国には空気汚染、PM2.5の問題が深刻となっています。
 その問題を緩和して、都市部の環境を改善するために、屋上緑化は役に立つではないかと考えております。

 今後、自身の研究を活かして、環境改善の活動へ取り組み、屋上緑化を都市にもっと広げたいです。

(修士2年:任)

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2017年1月5日木曜日

大ピンチ計画

本年もよろしくお願い致します。

正月早々鉢花担当はピンチに追われております。


pinchは「苦境」「危機」などの意味のほか、「挟む」という意味もあります。

最近では、スマートフォンやタブレットなどで親指と人差し指を使うような操作でも、
「ピンチアウト」や「ピンチイン」などの言葉が使われています。


そして、園芸業界で「ピンチ」といえば「摘芯」を意味します。

毎年1月~3月下旬ごろまではこの「摘芯作業」に追われます。



この時期に生産している鉢花の多くは、「母の日」に満開で出荷できることを             目指して作っています。

「この品種はまだ出来てないから、この品種を注文した方は、母の日を6月にして下さい。」
というわけにはいきませんので、全ての鉢花を出荷日に合わせて作らなければなりません。


出荷日から逆算して計画を立てていくのですが…



まずは、
ペチュニア‘さくらさくら’シリーズ 3色ミックス鉢 鉢上げ後1回目。






これが1000鉢。

モタモタしていると、最初にピンチした鉢と最後にピンチした鉢で生育差ができてしまい、
同じ状態で出荷することができなくなります。

したがって、切り始めたら一気に1000鉢分をピンチします。



この後、

オステオスペルマム250鉢 鉢上げ前。


続いて、

カリブラコア‘ミリオンベル’2000鉢、鉢上げ後1回目。

ペチュニア‘トロピカルティー’

ペチュニア‘さくらさくら’シリーズ 3色ミックス鉢 最終ピンチ。

オステオスペルマム250鉢 鉢上げ後1回目。

カリブラコア‘ミリオンベル’2000鉢、鉢上げ後2回目。

ペチュニア‘トロピカルティー’

カリブラコア‘サンシャインベリー’

オステオスペルマム250鉢 最終ピンチ。

カリブラコア‘ミリオンベル’2000鉢、最終ピンチ。


と、計画だけ見てもピンチだらけです。




でも、ピンチをすればするほど、茎の数が増え、
必然的に花数も増えていきます。



たくさんの花をいっぺんに咲かせると・・・

贈った方も、貰った方も、作った方も、
みんな笑顔でWINWINWIN。

「母の日」は大成功!!


   (長嶋)


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2017年1月4日水曜日

芽生えの季節


関東では新年も暖かい日が続いていますね。
春はまだまだ遠いですが、着実に芽生えの季節が近づいています。


私はオタネニンジンの早期育苗をテーマとして、様々な実験に取り組んでいます。
本日はオタネニンジン種子の早期発芽についてお話したいと思います。


オタネニンジン種子は強い休眠性をもち、発芽までに長い期間を要します。
それは植物体と元となる胚が未熟であることが理由です。


さらに、胚が成熟した後も、長い期間の低温遭遇が必要となります。
そのため、夏に採種してから、年内発芽をさせることは困難です。


しかし、ここ数年、年内発芽の目途が立ってきました。
真冬の今、発芽のピークを迎えています!



下の写真は、早期発芽の手法を加えていない種子です。
発芽までにはまだまだ時間がかかりそうです。




少し脇道にそれますが、下の写真はサンシチニンジン(三七人参)の種子です。
オタネニンジンの種子よりも丸く膨らんだ形をしています。



サンシチニンジンの種子にも早期発芽の手法を適用してみましたが、
胚の成熟(殻の裂開)と発芽が同時進行しているようで、オタネニンジン種子の休眠の様相と異なっています。


左が殻が裂開して発根した種子、右が殻が裂開したばかりの種子です。
サンシチニンジンの発芽についてはまだまだわからないことが多いため、これから注意深く見守っていく予定です。



オタネニンジン種子の早期発芽の機序についても、まだ未解明な部分はありますが、
早期発芽に加えて、種子の長期保存や早期育苗により、
オタネニンジンの栽培は、飛躍的に進歩することでしょう。


毎年、オタネニンジン種子の芽生えを見ながら、
少し早い春の訪れをかみしめている私なのでした。


(新藤 聡)


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2017年1月2日月曜日

2017年のスタート

2017年が始まりました。世の中はお正月ですが、植物には正月休みはありませんので、灌水当番は確実に回ってきます。新年早々の花卉・苗生産部のハウス内は・・・。

オステオスペルマム‘セレニティー ローズマジック’


カリブラコア‘ミリオンベル’

どちらも母の日のギフト用鉢花として育成中です。今月から来月上旬にかけて仕上げ鉢に植え替えられる予定です。3色ミックスの鉢植えにする際に間違わないようにミリオンベルのポット苗は、品種ごとにポットの色を変えています。


ペチュニア‘さくらさくら’セル成型苗
 注文を頂いた生産者様へセルのまま出荷されるか、花卉・苗生産部でポットに上げて3月中旬から小売店やホームセンター等で販売される予定です。


ペチュニア さくらさくらシリーズ 3色ミックス
4月のテレビショッピングで販売される予定です。


ペチュニア‘桃色吐息’の挿し芽用の親株
  花が着いていないと‘さくらさくら’や‘おゆきちゃん’と見分けがつかないので、1ポットずつ品種ごとに色の違うラベルが付けられています。しばらくは、大量の挿し芽が待っています。

2017年は始まったばかりですが、ハウス内は2017年の春以降に出荷される植物がたくさん栽培されています。先月播種したシクラメン祭用のシクラメンの小さな芽も出始めています。

本年も花卉・苗生産部を宜しくお願い致します。


(渡辺 均)

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