2020年10月5日月曜日

文化と技術を売る生産者

どこからともなくキンモクセイの花の香りが漂う季節になりました。穏やかな秋を感じます。

 

さて、先週は共同研究の仕事の関係で香川県へ行ってきました。その帰りに、農水省の方とご一緒に高松市内にある黒松の盆栽生産者を訪ねました。

 

平松春松園  http://syunsyouen.com/

 

平松春松園は千葉大時代の同級生が4代目として後を継ぎ、100年以上も続く盆栽生産者です。園を訪ねるのは15年ぶりです。5年前にも高松でお会いしたのですが、マツよりも赤ちょうちんに誘われて・・・。

 

園内には樹齢が100年を超す重厚な盆栽から小品まで多くの盆栽が所狭しと並べられています。

 

 

香川県高松市は日本一の松の盆栽生産地として有名です。その歴史は古く、気候や土壌が適していたことから、およそ200年前から栽培が始まったと言われています。現在では、世界的なBONSAIブームもあり、販路は欧州やアジアなど世界中に広がっているそうです。今月からは、EUで人気の高い黒松の盆栽の輸出が解禁されたそうで、今後、輸出量が増えることが期待されています。

 

バックヤードには地植えされ、鉢に入れられる前の黒松が管理されています。根回しをしながら、少しずつ鉢上げされ、各々の木の特性を見ながら時間をかけて一鉢一鉢、個性のある商品が作られていきます。とても息の長い仕事ですね。それにしても、この制限された鉢での植物の管理はとても大変です。夏場では、一日に23回は灌水をするそうで、一回でも水やりを忘れると、数十年、100年の植物がダメになってしまいますから・・・。先代から受け継いだ緊張感と責任の重さも感じます。

 



 

一方で、今後は日本国内での劇的な需要を期待することができないこともあり、生産者の高齢化と減少が進み、いまだに平松さんが地域では最年少であり部会長とのことです。また、海外での盆栽生産も急激に進んでいることから、今後の当地での盆栽生産はかなり厳しい状況に追い込まれるのではないかと危惧されています。

 

そこで、平松さんは栽培管理の負担が少ない冬場にヨーロッパに出かけ、各国で技術講習会を開き、日本の盆栽の普及に努められています。海外の盆栽界では超有名人なのだそうです。また、昨年、自宅の母屋を解体し、長期滞在型の研修施設を新築し、新型コロナウイルスが蔓延する前までは、海外から研修生を受け入れていたそうです。現在は、人の移動ができない状況ですが、1名の方が研修生を受けていました。

 

平松さんは、盆栽生産者の4代目として30年近く家業を続けられて来られましたが、その技術の向上には終わりが無いと仰っておりました。真の盆栽の素晴らしさやその技術の奥深さを世界中の方々に理解して頂き、広めていくことが日本の盆栽の唯一の生き残り策と考えていらっしゃいました。本当に頭が下がります。一方で、日本の花卉生産は? と考えると、文化や産業の面から考えると、まだまだできることが沢山ありそうですね。

 

 

(渡辺 均)

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