2022年10月10日月曜日

ツクネイモのウイルスフリー化

挿し木や株分け、分球など、栄養繁殖される植物は、長年栽培しているとウイルスの感染リスクが非常に高くなってしまいます。ウイルスに感染すると、生育が衰えて枯れてしまったり、生存していても収量が少なくなったりしてしまいます。ジャガイモの種イモが毎年売られているのもそのためですね。

 

8年ほど前、江戸時代からツクネイモを栽培している産地を訪ねる機会がありました。たまたま別の用事でそこに行っていたのですが、そこでお昼に食べたとろろご飯があまりにも美味しかったので・・・・・。畑を案内して頂くことにしました。


一見すると下の画像のように収穫間近で順調に生育しているように見えましたが、良く見ると葉にウイルス症状が確認されました。それも、畑にあるほぼすべてのツクネイモが感染しているようにも見えました。また、高齢化が進み、後継者もほとんどいない状況のようでした。

 

そこで葉のサンプルを頂いて、ウイルス検査を行なったところ、やはりヤマノイモモザイクウイルス(JYMV)に感染していることが確認されました。ナガイモの産地では、ウイルスに感染していないウイルスフリーの種イモを配布し、それを使って生産しているところがほとんどですが、この産地では数百年にわたって生産者が自家増殖を続けてきたようです。

翌春に、このツクネイモからウイルスを取り除くウイルスフリー化を種苗メーカーに依頼しました。1年ほどかかりましたが、その苗が届き検査の結果、晴れてウイルスは取り除かれていました! 

 

今後、この苗を親株として大量に増やし、種イモの増産を行なう予定です。数年後にこの産地で、これまでよりも収量と品質の高いツクネイモが安定的に収穫できるようになり、若手後継者も育って欲しいと願っています。この地で美味しいとろろご飯が食べ続けられるように・・・。

 

 (渡辺 均)

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・
いつもご覧いただき、ありがとうございます。
花卉・苗生産ブログを応援してくださる方は、
こちらを1日1回クリックしていただけると、、、

人気ブログランキングへ

ブログランキングがあがります。
これからも応援よろしくおねがいします!

トレイ販売を始めました。
詳しくはホームページへ!
花卉・苗生産部トレイ販売ページ

花卉・苗生産ブログに関するお問い合せは、
こちらからどうぞ→fc-naeseisan@office.chiba-u.jp
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・

0 件のコメント:

コメントを投稿