10月に入り大学の長い(短い?)夏休みが終わりました。今日から授業が始まりました。
さて、先月下旬のことですが、学生さんと一緒に福島県会津若松市内でオタネニンジンを栽培している生産者様を訪問し、その収穫作業を見学させて頂きました。当研究室で開発した早期育苗技術(一年間で2年生根を生産する技術)で作った苗を圃場に植えて頂いています。
収穫作業は早朝の数時間だけということで、まだ外は真っ暗な午前4時30分に宿を出て、圃場を訪ねました。あらかじめ、遮光ネットやパイプを撤去し、地上部を刈り取った状態の圃場の中に、まるで漁火のようにトラクターがライトを点けてゆっくりと動いていました。
収穫作業はジャガイモの掘り取り機を改良したものをトラクターの後ろに取り付け、ゆっくりと掘り進めると白色のオタネニンジンが地上に出てきます。今回は、種子を播いてから5年目の5年根の掘り上げでした。
掘り上げた根は、手作業で拾い集めカゴに入れ軽トラックへ。太陽が高く昇って来る前に根を乾かさないよう素早く収穫作業を終えなければなりません。
今年のオタネニンジンの出来は、春先の低温や猛暑や長雨が続いた割には、まずまずの出来だったようです。高温や多湿、ちょっとした環境の変化に弱いオタネニンジンですが、栽培技術でカバーできたようです。
オタネニンジンは、畑の準備を含めると収穫までに7年~8年を要します。栽培期間が長ければ長いほど、その間の環境の変化や病害虫などによって収量に影響が出てしまいます。最後の年に掘ってみなければ全体の収量がわからないという、ある意味賭けのよう作物でもあります。
また、収穫までに長い年月がかかるため、新規就農者もほとんどおらず、生産者も高齢化によって減少して続けています。その流れを変えるためには、いかにして早期に現金収入を得ることができるかが、今後の栽培者をふやすためのポイントになると考えています。そのため、当研究室では、早期育苗技術の開発(1年で2年生根を生産する)とその普及、2年生根の健康野菜(食材化)としての商品化と普及などに取り組んでいます。オタネニンジンを長く栽培して下さる方を求めています。
(渡辺 均)
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