2022年2月8日火曜日

Mgの効果

 今日は、園芸学研究科の修士論文発表会です。10日には、卒論発表会が控えています。1年間や2年間の成果をおよそ10分に纏め、みなさん発表を行います。

 話は変わりますが、今日は久しぶりに研究成果のご紹介です。先日、「Effects of Magnesium Application on Tipburn Incidence and Calcium Acquisition in Lisianthus (Eustoma grandiflorum) Cultivars」(和訳:マグネシウム施与がトルコギキョウのチップバーン発生とカルシウム獲得に及ぼす影響)という論文が掲載されました。概要は、一部のトルコギキョウ品種はMgを与えると、Caの獲得量が増加し、チップバーンが減少することが明らかになったというものです。
ご興味のある方は、下記をご参照下さい。
https://www.mdpi.com/2311-7524/8/2/132

 この研究は、昨年当研究室を卒業した石川さんが取り組んでいた研究テーマです。チップバーンは、カルシウム(Ca)不足というのが定説ですが、一部の研究によるとホウ素(B)や培養液中のカリウム(K)やマグネシウム(Mg)の存在量によって、影響を受けることが報告されています。
「そもそもトルコギキョウでは、Ca不足ではなく、その他の主要元素の影響が大きいのでは?」という未解明な点を、地道な実験により、検証しました。
 特にMgは、一部の教科書では、Caと拮抗作用を引き起こし、Caの吸収を阻害すると書かれています。当時、石川さんが不安に思ったのか、「教科書にそう書かれていた(自分の結果とは真逆であった)」と、相談にいらっしゃったのが思い出深いです。しかし、よく調べてみると、Mgを施与することで、クロロフィルや光合成速度が増加する事例や、Ca濃度が上昇するという報告も存在していました。

 多くの場合、卒論や修論は「世界で初めて」という要素を、どこかに含んでいます。そのため教科書に答えは載っていませんし、教科書通りに進まないこともしばしばです。それでも自問自答しながら、自分の成果を纏める必要があります。学生さんには、先生や教科書をリスペクトし過ぎずに、世界で自分しかしたことのない経験を、自信をもって発表してもらいたいですね。



黒沼


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