花卉・苗生産部では、毎年恒例となりましたが、2月~3月にかけてのこの時期に行われる挿し木法があります。「休眠枝挿し」という方法です。おもに、冬季の休眠中の落葉樹の枝を切り取って挿し木を行なうものです。
挿し木というと、梅雨時期に行われるその年に伸びた枝を挿す「緑枝挿し」をイメージされる方が多いかと思います。「休眠枝挿し」は、一般のご家庭ではあまり行われていないようですが、発根が難しい植物でも苗を大量に得ることができる方法です。まだ植物が寝ている間に枝を切って挿し木をし、温度と湿度を適度に加えることで、挿し穂中の栄養分を使って芽と根を伸ばす方法とでも言いましょうか・・・。
「休眠枝挿し」の方法は、挿し木をしたい樹木の枝を切り、芽の付いている節を数節つけて切り分け、上下を間違わないように下側の切り口を鋭利な刃物で削り、発根促進剤を軽く粉衣(ふんい)して、鹿沼土の細粒などに挿します。上部の枝の切り口には、融合剤やロウを塗り、雑菌の侵入と切り口の乾きを防ぎます。
管理する室温は20℃程度、湿度を保ち、乾かさないように灌水をしっかり行うのがポイントです。鉢数が少なければ、鉢ごとビニールで包んでも良いでしょう。そうすると、最初に芽が伸びてきます。
でも、芽が伸びてきたからといって、挿し木が成功したと喜ぶのはまだ早すぎです。ここで、挿し穂を抜いて、発根を確認したくなるのですが我慢! これは、茎の栄養分と水分で芽が動いただけなので、発根はまだしていません。芽が伸びてきても、萎れてきたら挿し木は失敗です。
挿し木が成功する場合は、芽が伸長して葉が展開すると、しばらくそのままの状態が続きます。植物によっても違いますが、1ヶ月~2か月ほどです。さらに根気強く管理を続けると、再度、芽が伸びてきます。この再度芽が伸びてきたら、発根のサインです。少しずつ湿度を下げて、外気に慣らしていきます(馴化)。それと同時に薄い液肥を与えます。最終的には、戸外や温室内で管理し、丈夫な枝を伸ばすようにします。生長しているときにすぐに移植すると根を傷めてしまいますので、同じ鉢で1年間は管理し、1本ずつに植替えるのは次の年の冬に行います。
上の画像のように「休眠枝挿し」された鉢が、花卉・苗生産部の発芽室内に大量に並べられています。右上端の尺鉢に入れられた幹(朴?)は、おそらく発根しないと思いますが、どのくらいの太さまで発根するのか観察中です。毎日、発芽室に行く楽しみが増えました。
「休眠枝挿し」に時期的にも似た方法として、根を使った繁殖(根挿し・根伏せ)があります。冬場に行う「根挿し・根伏せ」も原理や方法は、「休眠枝挿し」とほぼ同じですので、こちらも試してみてはいかがでしょうか。
(渡辺 均)
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