先週に引き続き、堤防刈草に関する研究成果のご紹介です。ニュースリリースを見て頂いた方も、もしかしたら、いらっしゃるかもしれません。この成果、非常にざっくり言うと、「刈草を炭化や堆肥化すると、環境にいいよ」という話です。ただそれだけでは、当たり前じゃん!と言われそうですので、今回のブログでは背景の部分をメインに紹介していきます。
このプロジェクトの大きな背景の一つが、園芸生産用の資材の調達不安定化です。日本では食糧だけでなく、化成肥料やピートモスなどの生産資材も輸入に大きく依存しています。
安くて良い資材が手に入りにくい状況は加速するばかりで、国内のトップ生産者のなかには、自社で堆肥化等を行い、安定的に良い資材を確保する取り組みが進められています。その一つが徳島県等で野菜の接ぎ木苗を生産している(株)竹内園芸様です。この研究は(株)竹内園芸様の実践がなければ、形にならなかった研究ともいえます。
もう一つの背景が、地域のゴミ問題です。特に河川の堤防は、安全上の観点から、年に1,2回除草&集草が行われているのが一般的です。このゴミを焼却するのにも莫大なお金がかかってしまいますが、徳島県を含む一部の行政等では堆肥化が行われており、施設によっては農家を含む市民に無料配布がなされています。
この「資源不足」と「ゴミの有効活用」の橋渡しとなるのが、農業や園芸分野です。園芸分野では生産資材を調達できることに加え、自分たちの産業の環境負荷を低減させることにも繋がるわけです。では、どれだけ良い取り組みなのか?温室効果ガス収支を指標にして、定量してみよう!というのがこの研究のメインストーリーです。
こういうストーリーってよく耳にしますが、実際は、どれだけ環境に良いのか?を定量している事例は非常に少ないです。特に、「堆肥」は国際的にCO2の吸収に貢献しないと考えられています。その既存認識を打破するために、より新しくて堅牢な評価手法を考える必要がある…
次回のブログでは、少しマニアックですが、なぜ堆肥は国際的にCO2の吸収に貢献しないと考えられてきたのか?とそれをどのように打破・検証したのか?をご紹介できればと思います。
■ニュースリリース
植物性廃棄物を園芸資材に転換した際の脱炭素効果を実証
―カーボンニュートラルな廃棄物処理と園芸生産へ道筋―
■関連論文
From green waste to horticultural resources: A novel approach to quantifying greenhouse gas emission factors for decision-making
(造園廃棄物から園芸資源へ:意思決定のための温室効果ガス排出係数の定量化に向けた新たなアプローチ)
著者:Takanori Kuronuma, Hitoshi Watanabe, Azusa Gomi, Shohei Masuda, Takuya Mito
雑誌名:Journal of Environmental Management
DOI:10.1016/j.jenvman.2026.130335
黒沼
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