2015年3月30日月曜日

クチナシの挿し木のその後

例年より春の訪れが早いようです。センターではツバメの姿を見かけるようになりました。ウグイスの「ホケキョ」もかなり上手になってきました。

さて、2月のブログで寒い中でのクチナシの挿し木をご紹介しましたが、その後の生育はどうなったかお伝えします。2月のブログは以下をご参照下さい。http://naeseisan2.blogspot.jp/2015/02/blog-post_27.html

クチナシの挿し木の適期は、一般に梅雨の時期とされていますが、やや寒い時期に挿す休眠枝挿しも有効です。枝先を5㎝ほどに鋭利な刃物で切り、葉を2枚着け、大きな葉は半分に鋏で切り蒸散を抑えます。発根促進剤を枝の切り口に着けて挿します。室温をおよそ25℃に保ち、湿度を高めに保持すれば、ほぼすべての挿し穂が発根します。失敗の少ない挿し方と言えます。

挿し木の様子

上の画像のように、その中でも葉が黄色くなっている挿し穂が見られますが、これは花芽がついた枝です。

蕾の着いた挿し穂

穂は挿し木後、発根・生長するために葉で光合成を行ないながら、光合成産物を芽や根の生長にまわします。しかし、花芽があるとさらに多くの養分が必要となってしまうため、最後は自らの葉の養分をその生長にまわし、新葉が展開してくると自身の古い葉も黄変して脱落させてしまいます。つぼみの着いた枝は、その分葉や根の生長は遅くなってしまいます。

挿し木後の生育の違い

上の画像の左の挿し穂は蕾が着いているため、新葉の生長も遅れています。それに比べると右の挿し穂はすでに大きな葉が2枚も展開しています。

ほぼ100%発根したクチナシ

 梅雨時期に中途半端に生長した未熟な枝を挿すよりは、春先に充実した休眠枝を挿した方が発根率が高くなることがあります。この挿し木の方法は、他の木本植物でも同様に有効です。

ここで増やしたクチナシは、いずれ生薬の山梔子(さんしし)を生産するため、愛媛県内の休耕地に植えられる予定です。3,000株が目標ですので、あと2,000本! まだまだ挿さないと・・・。


  (渡辺均)

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2015年3月27日金曜日

母の日出荷用カリブラコアの最終切り戻し

徐々に暖かい日が増えてきましたが、まだ夜間の気温は低いため、もう少し暖房機の出番が続きそうです。

今週の共同作業は、母の日に向けて生産中のカリブラコア‘ミリオンベル’三色ミックス鉢の切り戻しです。
今月の上旬にも切り戻しの様子をお伝えしましたが、今回は出荷前最後の切り戻しです。
枝数を増やすとともに、株全体の形を整えることを目的として行います。

前回の切り戻しから、3週間でここまで成長しました。
開花している株もちらほら見られます。

ウイルス対策のため、作業前には手を洗い、ハサミをこまめに熱消毒しながら行いました。
切り戻した後の状態がこちら。


切る位置は、鉢の縁から1cm程度外側を鉢の形に添うように、高さは10cmを目安として切ります。
この際にこんもりとしたドーム状になるように、外側は低く、真ん中を高めに切ります。
横から見た写真がこちら。

 ドーム状になっているのがわかるでしょうか。
このような形に切ることによって、出荷時期には鉢を覆うように株が広がります。

この後どのように成長していくのか、楽しみです。


学部3年 渡辺 史

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2015年3月26日木曜日

ウサギ追いしキャンパス~

おはようございます。

先日、外のかまぼこハウスのあたりで不審な音が。
何だろう?とベンチ下を覗いてみると・・・























バタバタバタっと、茶色い丸っこい何かが走り抜けていきました。

・・・逃げられると追いたくなりませんか?

というわけで、昼間から追いかけっこ。

警戒心が強く、なかなか近付けませんでしたが、なんとか一枚。






















ウサギは夜行性と聞きますが、
最近の春の陽気に誘われて出てきてしまったのでしょうか?


キャンパスには、ウサギだけでなく様々な動物がいます。
ハクビシンやカラス、フクロウ、ムクドリ、キジ、ヘビ、etc、、、

かわいいだけなら良いのですが・・・

外の植物がいつの間にか食糧や遊び場と化していることもあります。

冬場は、パンジーの花が花茎から無くなっていたり、





















硬いラベルもなんのその


さらには、シャリンバイの茎までスッパリ
















他の部門でも、天窓からハクビシンが侵入しトマトを食べられていたり
播いたばかりのラッカセイがカラスにつままれていたり、
ブドウやリンゴがいつの間にか減っていたりするそうです。

どんなに愛らしい姿をしていても
大事な植物が、被害を受けてしまってはいけません。

心を鬼にして、
防虫ネットや防鳥ネット、電柵など、害獣の対策もします。

最近の苗生産部のウサギ対策は、こちら↓





















乾燥ヒトデ!!

かなりくさ、、、いえ、磯のカオリが広がります。
撒くと匂いを嫌ってか、動物が近寄らなくなるようです。

効果を期待する半面、
実際に動物を見かけられなくなるのは少し寂しいところです。
でも、生産物に害を与えられる以上、
仕方がないことですね。

今後も様々な対策を試してみたいものです。



(池田)





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2015年3月23日月曜日

ペトレアの青い花

 こちらでは4月上旬の陽気が続いていますが、花卉園芸必修1000属検定用の温室内ではペトレア(クマツヅラ科・Petrea volubilis L.)の青い花が咲いています。本種はメキシコ原産のつる性植物です。比較的低温(最低5程度)にも耐え、鉢植えの花木としてもっと利用されても良い植物ではないかと思います。しかし、つるが結構伸びるため、樹形を整えるのが難しいのと開花期間がやや短いことからあまり店頭には並ばないようですが、切り花としての利用もあるようです。

ペトレアの鉢植え

総状の鮮やかな青い花色はとても魅力的なのですが・・・。
もう一つの特徴はがく片も青く着色することです。上の画像のように外側のやや薄い青色の5枚ががく片です。その中にあるやや濃い青色の部分が花です。

こちらはつぼみの状態です。まだ、花が開いていませんね。



花序の下から上に向かって順に開花してきます。左側が枝に近い方です。どれも開花しているように見えますが、一番左側の花は咲き終わり(花が落ちています)、中央が開花中、右側がつぼみの状態です。

1000属検定用の温室内には白花品種Petrea volubilis ‘albiflora’ L.)もありますが、こちらは青花種に比べて開花が遅くまだつぼみも見られません。この植物の和名はヤモメカズラといいますが、花が咲き終わった後もがく片がしばらく残っていることから、その名前が付けられました。その植物の特徴を表わしているとはいえ、もう少し良い名前でも良かったのに・・・。



  (渡辺均)

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2015年3月20日金曜日

薬木の移植

今週の火曜日、薬草園の改修・整備作業の一環で樹木(薬木)の移植と定植、薬用の水生植物用の池の整備(穴掘り)を行いました。

今回のメインイベントはギンバイカ(薬木)の移植です。
ギンバイカ(Myrtus communis)は、フトモモ科、地中海沿岸地方原産の常緑低木です。開花期は5月から7月程で、白い梅の花に似ていることから「銀梅花」と呼ばれるようになりました。花や葉に芳香があり、古くから香辛料としての利用がなされています。また近年では、香水の原料や入浴料等にも利用されているようです。

まずは移植しやすいように剪定です。

次に移植先を確保します。

場所を決めて、
せっせと穴を掘ります。

ギンバイカは根域をある程度確保しつつ、周りをスコップで掘り、不必要な根を断ちます。

 
剪定してありますが結構重く、4人がかりで移動します。

一度近くに置き、移植先の穴の調整を行います。

穴に入れ、


掘った土を戻し、

完成です!

他にも池をつくるためたくさん掘りました。

案の定筋肉痛になりました。笑

色々な方に見てもらえるような薬草園にするためにも、これからの改修・整備作業も頑張っていきたいです!


修士1年 小林

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2015年3月17日火曜日

リマの街角

晩夏のペルー、リマにいます。

雨期もほぼ終わり。過ごしやすい気候になってきています。

街中には、わりときれいに花壇苗や花木が植栽されています。

こんなのとか↓



こんなのとか↓

どちらも皆さんよくご存じの、マリーゴールド(Tagetes)の園芸品種ですね。
メキシコ原産の植物です。

こんなのも、宿の前に鉢植えされています↓


ソテツ(Cycas)など。
日本の庭でもよく見かけますよね。
沖縄など南西諸島では海岸近くに自生しているのをよく見かけます。
日本人には当たり前の植物も、ペルーの人々にとってはエキゾチックに見えるのだと思います。

でも、ペルーに自生する植物の植栽はあまり見かけません。
ノウゼンカズラ科のラパーチョ(Tabebuia)はよく見かけますが。

ペルーの植物で、街中が彩られるようになるといいのですが。


金谷


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2015年3月16日月曜日

薬草園の改修と整備

今日から薬草園の改修・整備作業が始まりました。平成15年にセンターがスターとした際に薬草園が整備されましたが、最近は雑草が生い茂り、除草が追い付かない状態でした。そこで、より管理のしやすい薬草園に整備するため、今月から来月にかけて改修を行なうことになりました。
今日の作業は、植えられていた薬草の掘り上げと仮植えでした。ラベルのあるところから目的の薬草を掘り上げ、プランターに植え付けました。植物自体が移動していたり、まだ休眠中であることもあり、ラベルに書かれている目的の植物を探すのは結構大変でした。

作業前の薬草園

サフランの掘り上げと仮植え

敷石とウッドデッキの撤去

通路脇や見切りの部分は完全に土を除けて雑草の根を取り除きました

本日の作業はここまで

3時間ほどで今日の作業を終えました。明日は、樹木(薬木)の移植と定植、薬用の水生植物用の池の整備(穴掘り)を予定しています。

4月末には改修された薬草園をお披露目することができると思います。それまで、しばらく作業が続きます。明日は筋肉痛かな・・・。

  (渡辺均)



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2015年3月13日金曜日

芝の出荷準備

本日の共同作業は、芝の出荷準備を行いました。

昨年の8月には芝のポット上げの実習風景を紹介しましたね。


この芝は「みじょか」という矮性の品種で、千葉大学と民間企業とで共同開発されたものです。

芝はポット上げ後順調に生育し、出荷が近づいてきたので、今日はポット内に生えた雑草やゼニゴケを除去して綺麗に仕上げました。


密に生えた芝の除草は、芝ごと抜きとってしまわないように、ピンセットを使っての細かい作業となりました。



また今年の1月にはジャパンフラワーセレクション(JFS)の花壇へのたい肥のすきこみ作業を紹介しましたが、本日は引き続き、灌水チューブの取り替えを行いました。


写真のような長いチューブを使い自動灌水しています。

これで植物の受け入れ準備も整いました。


気温もだんだんと暖かくなり、これからどんな新作がやってくるのか今から楽しみです。


(学生:修士1年 土田)

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2015年3月9日月曜日

精油の抽出

先日、ある植物(バジルの仲間)の精油(エッセンシャルオイル)の抽出を試みました。精油は植物種や栽培条件、生育ステージによっても含まれている量や成分が異なります。そのため、まずその植物の大まかな精油の収量を調べるため、水蒸気蒸留法で抽出を試みました。
蒸留方法には、水蒸気蒸留の他にも有機溶媒などを使用する溶媒抽出法や圧搾法などがありますが、今回は装置さえあれば比較的簡単に抽出できる水蒸気蒸留法を試みました。
蒸留装置

装置の原理は簡単です。中仕切りのあるガラス容器に水と植物を入れ、下から加熱して蒸していきます。じきに植物が蒸され、その成分を含む蒸気が発生してきます。その蒸気が水を流して外側から冷却した管内を通ることによって、蒸気が冷却されガラス管内に精油成分を含む水滴がつき、それを回収すると芳香蒸留水(ハーバルウォーター)と精油が得られます。

蒸されることによって、葉がすぐに変色してきます。

回収された芳香蒸留水の水面上に油膜(精油)が僅かに見られます。

芳香蒸留水はコックを開いてビーカーへ受け流し、表層に残った精油をキャピラリーで吸い取り回収します。下層の透明な部分が芳香蒸留水、黄色の部分が精油です。

今回は約500gの生葉から、約500mlの芳香蒸留水と約1mlの精油を抽出することができました。

ということは・・・? 精油を1リットル抽出して得るためには、○キログラムの生葉が必要で、1アール当たり△キログラムの生葉が収穫できるので、□アールの畑が必要になる。それに対する種子の量が○○グラム必要で、発芽率が△△%なので、苗の数は予備を含めて□□本必要になり、その生産にかかるコストは××円。精油の生産原価は▽円。穴埋め問題が解決しました。さて、この結果から春から精油の大量抽出に向けて、圃場生産を開始するのかは、成分確認試験、精油の市価や市場性等を考慮して今後決められていきます。

  (渡辺均)


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