昨日の記事でも取り上げていましたが、4月から学部最高学年となり、研究室の中心かつ自身の研究活動も本格化し始める現3年生が、卒業する先輩、あるいは先生から研究室内で引き継がれてきた実験スキルを学び習得しています。
調査目的によって利用する実験スキルは様々ありますが、例えば花色変化という現象に対して、目で見分けられる「色味」を数値化して統計処理を行うことにより、明確に異なることを立証したり、花弁に含まれる「色素」を分析によって定性や定量することにより、色素の種類や量の違いが色味に関わることを確認することができます。
さらに、合成あるいは分解される色素の代謝に関わる「酵素」の働きや、その働きを調節する「遺伝子」の動きを追うことにより、その花がどうやってその色を生み出しているのかが明らかになるとともに、同じような花色や、その変化を示す個体を育種により生み出すための情報を得ることができます。
自身が行っている研究では、前述のような生命現象の解明というよりは、その植物がどのように現存する場所に至ったのかというような、ある生物種の分布の変遷史を追う系統地理学という研究分野でしたので、大きなカテゴライズとしては「遺伝子」を取り扱っていましたが、その中でも「DNA」という個体ごとを識別するヒトの指紋のようなものを指標にしていました。
それに対して、リアルタイムに動き回る遺伝子である「RNA」を指標にすることで、前述のような花色変化などの生命現象について調査することができます。
しかしながらこのRNA、目的としていた生命活動が終わればお役御免とばかりに体内で消えてしまう性質から、なかなか取り扱いの難しい指標です(DNAが個体(親)から個体(子)へと情報を伝達する物質だとすると、RNAは個体内において器官から器官などへ情報を伝達する物質ともいえるでしょうか)。
物自体がDNAなどに比べて不安定、かつRNAを分解する酵素が至るところに存在することから、実験を行う際にはDNAを取り扱う実験の倍以上に気を払わなければなりません。
ということで、使用する容器や機器は念入りに殺菌した上で、ゴム手袋をはめてエタノール消毒をこまめに行い、ドアノブや蛇口などの共有で使用する箇所に触れる際にはいちいち手袋を外して、また付け直して…と、神経質なくらいに気をつけて実験を進めなければなりません。
また、ひとつの遺伝子の働きを調査するためにも何日かに分けてじっくり調査する必要があり、どこかでミスしてしまうと、それまでの工程が無駄になってしまうこともあります。
そのようなことを防ぐためにも、実験手順を理解してケアレスミスの生じる隙をなくし、素早い動きを心掛けながらも清潔さを疎かにすることなく実験を行うことが必要となります。
加えて、それらを徹底することにより、上手く結果が出なかったときでも、どの手順のどの条件を変更することで成功につながる可能性があるのか気づくことに繋がります。
そうした気づきを得るためにも、実験に関することだけでなく、生活の様々な場面において行動の意味を理解し、ミスを生じないように心がけたいところですが…実験が繰り返されるように、全てを最初から上手く進めることは難しいものですね。
(安藤匡哉)
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