風が吹くとまだまだ寒さを感じますが、陽の光がようやく暖かく感じる季節へと移ってきました。
…まぁ、例年この時期になると、ティッシュとマスクが手放せなくもなってきますが。
マスクの入手手段もなかなか厳しい状況なので、花粉の皆様には少し勢いを弱めていただきたいところです。
さて、皆様のなかにも行かれた方がいらっしゃると思いますが、先日世界らん展に行ってまいりました。
学生時に行った記憶があるくらいで、最近どんなランが人気なのか分からなくなっていましたが、大小さまざまな形の花や香りの強い花など、バリエーション豊かな品種が所狭しと並んでいました。
ランをメインに使ったガーデンやハンギングバスケットの展示も多く、和洋折衷問わず、多様な用途で利用されている様子から、やはりポテンシャルが高く、世界中から愛される品目であることを再認識します。
個人的にはリカステという属のランが、可愛らしくも力強さを感じさせてくれて好みでした。
以前に大賞をとっていた記憶もありますが、それこそ十年ほど前になってしまうかもしれませんね…。
今回の日本大賞はパフィオペディラムという袋状の器官が特徴的な属のランでしたが(写真がなくすみません…)、同じ属内であっても花の模様や各器官の大きさも全く異なり、個人の趣味嗜好で楽しみ方は千差万別。
美しさや出来映えといった、人によって評価の分かれるであろう基準を、審査員の方はどうやって決めているのか不思議に思いますが、やはり賞を取るようなランは、最大公約数的に皆さんから愛されるかたちを持っているように思います(個人の趣味に合わないことも勿論ありますが)。
贈答用に利用されるランは栽培性も重要になりますが、コンテストの大賞に選ばれることを目的に、様々なかたちが作り出され、選別されて残ってきた歴史をみると、他の品目とは違った独特な立ち位置なのかもしれません。
そうしてヒトに愛される為に連綿と続けられてきた育種の果てに、今の姿を獲得したと考えると、「作品」という呼ばれ方にも感じ入ることがあるように思います。
年々変わり続けるヒトの好みに合わせ、自然とは異なる進化を続け、かたちを変えてきたラン。
果たしてヒトに愛されるかたちに完成形というものは存在するのでしょうか。
(安藤匡哉)
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