2020年2月17日月曜日

早く芽を出させるために ~ オウレンの早期発芽 ~

早く芽を出せ柿のたね・・・ではありませんが、種子を播いてから出芽するまでは、とても待ち遠しいものです。そして、土の中からのぞかせた小さな芽を見ると誰もが嬉しくなるものです。思わず誰かに芽が出たことを伝えたくなってしまいますね。種子播きには、自分だけではどうにもならない時間(間)と、その後の喜びを体験させてくれます。

一方、農業の世界ではそんな悠長なことは言っておられず、スピードと効率化が求められています。いかに早く発芽させ、揃った苗に仕上げるのか。これがより早く、品質の揃った収穫物を得るための最低条件になります。

当研究室では、トウキやオタネニンジンなどの薬用植物や機能性植物の早期発芽や早期育苗の研究も行なっていますが、薬用植物のオウレン(生薬名:黄連)の早期発芽にも成功しています。
オウレンは、種子を播いてから収穫までに早くても5年、長ければ10年以上を要する非常に時間のかかる植物です。以前は、多くが国産品でしたが、現在はほとんどが中国からの輸入に頼っています。栽培時間の長さと買取り単価の安さ・・・、このストーリーは、他の薬用植物と全く同じです。

オウレンは、通常は24月頃に花を咲かせ、6月頃に種子が得られ、その後、夏 を経過し、翌年の春に芽を出させます。つまり、自然条件では、芽が出揃うまでに10か月近くを要します! ところが、下の画像のように採種してから、段階的な温度処理を加えると、早い処理区では播種したその年の9月には苗が得られるようになります。3枚目が無処理、自然条件と同じ処理区です。







この温度処理で、今までより6カ月以上も早く苗を得ることができるようになりました。次は、生薬原料の品質を保ちつつ、いかに早く生薬原料(黄連)を収穫できるかです。飽くなき挑戦が続きます。



(渡辺 均)
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