2021年10月12日火曜日

不思議。イソキサゾールの話

 今日ご紹介するのは、タチガレンなどの殺菌剤に含まれるイソキサゾールという成分の話です。実は、関連する研究を池上先生もなさっていたそうです。今回は、池上先生に教えて頂いた内容も含めて、ご紹介します。

 タチガレンなどの一部の殺菌剤には、イソキサゾールという成分が含まれています。この成分自体にも殺菌作用があるため、土壌で悪さをする菌類を退治することが出来ます。しかし、この成分には、それ以外にも面白い特徴があります。
 
キンギョソウの立ち枯れの様子

 実はこの成分は、植物体内で代謝されると、O-β-グルコシドやN-β-グルコシドという配糖体に変化します。そして、これらの配糖体は、生長調整剤として働き、根の伸長を促進するのです!さらに、イソキサゾールにはオーキシンとの共力作用も報告されています。
 タチガレンをイネに与えると、根張りが良くなるというのは上記のような反応に基づいているわけです。そのほかにも、イネでは徒長の防止や、低温耐性の向上などの効果が知られています。
 種によっても反応性は違うと思いますが、矮性で根張りが良くなるなんて、苗生産にはもってこいの性質ですね。

 面白いなー。実験のアイデアにもなりそうですね。
 日頃使っている農薬の成分一つとっても、奥が深すぎます。

 なお、今回ご紹介した内容は、下記の論文の情報をもとにしています。
 太田保夫(1978)植物生長調節の最近のトピックス, 日本農薬学会誌 3, 327-332.



黒沼


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