今回で、関連する研究成果のご紹介は最後となります。第3回は、堤防の刈草で製造した堆肥やバイオ炭の品質と栽培性についてです。
刈草を循環利用することで、温室効果ガスの放出を減らすことが出来るだけでなく、固定化技術として定義できることは、前回のブログでご紹介しました。しかし、環境に良くても園芸生産に利用できなければ、本末転倒です。 そこで、実際に製造した堆肥やバイオ炭について、土壌分析を実施し、市販品と品質を比較しました。この結果、ほぼ全ての分析項目で、市販品と同等の品質であることが明らかとなりました。
次に行ったのが、サルビアを用いた実際の栽培試験です。栽培試験では、堆肥をピートモスの代替として、バイオ炭をパーライトの代替として、資材を添加し、評価を行いました。その結果、堆肥とバイオ炭を使用した処理区のサルビアの栽培性・生産性は、慣行法と比較し、遜色ないどころか、生育促進効果が確認されました。さらに、環境によい堆肥やバイオ炭を使用することで、1pot当りの生産時の温室効果ガスの排出量(カーボンフットプリント)が劇的に減少し、ほぼカーボンニュートラルな状態でポット苗生産が可能であることが実証されました。
実は園芸生産自体も、肥料や農薬、プラスチック製品を使用するため、今後、カーボンニュートラルの達成に向けて、様々な工夫が必要です。そうしたなかで、これらの堆肥やバイオ炭の使用は、有効な手段の一つとなり得ます。このように、園芸生産において、実践的な情報を展開できた点も本研究の良い点の一つと思います。
今後は、堤防刈草以外の原料を使用した場合や、地域等のマクロな範囲での分析、各種分析の精度向上、経済性などの新規指標での比較評価など、やるべきこと・やりたいことはまだまだあります。少しでも産業・学術の発展に貢献できるよう、これからも挑戦は続きます。
■ニュースリリース
植物性廃棄物を園芸資材に転換した際の脱炭素効果を実証
―カーボンニュートラルな廃棄物処理と園芸生産へ道筋―
―カーボンニュートラルな廃棄物処理と園芸生産へ道筋―
■関連論文
From green waste to horticultural resources: A novel approach to quantifying greenhouse gas emission factors for decision-making
(造園廃棄物から園芸資源へ:意思決定のための温室効果ガス排出係数の定量化に向けた新たなアプローチ)
著者:Takanori Kuronuma, Hitoshi Watanabe, Azusa Gomi, Shohei Masuda, Takuya Mito
雑誌名:Journal of Environmental Management
DOI:10.1016/j.jenvman.2026.130335
著者:Takanori Kuronuma, Hitoshi Watanabe, Azusa Gomi, Shohei Masuda, Takuya Mito
雑誌名:Journal of Environmental Management
DOI:10.1016/j.jenvman.2026.130335
黒沼
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