年度末ですね。
出会いと別れ、研究課題の採択と不採択、書類の締切、春の学会シーズンなど、
いろんなことが一斉にあるいは突然にやって来ます。
おろおろしながらも何とか乗り切っていますが、多忙は何の自慢にもなりません。
仕事の質を上げていけるよう、怠慢な自分に言い聞かせる日々です。
さて、そんな人間の営みとは関係なく、薬用植物は順調に生育を続けています。
本日はオタネニンジンの出葉の話です。
催芽処理を終えた種子が気温の上昇とともに発芽し、出葉してきました。
こちらは以前に撮影した発芽当年の苗(1年生)で、
葉は一枚です(ちなみに子葉は種子の中に入ったままです)。
1年生の苗は、写真よりも根が長く伸びますがあまり太りません。
しかし問題は、オタネニンジンが単茎性で1年に1回しか出葉しないということです。
さらに一年の半分近く休眠をします。
次年に出葉する芽はいつ形成されるのか?
なぜ1年に1回しか出葉しないのか?
なぜ休眠するのか?どうしたら休眠から覚めるのか?
その答えやヒントとなるような研究報告が断片的にはあります。
しかし、効率的な生産技術の確立には、
解明しなければならないことがまだまだたくさんあります。
そんな中、今年、種子から出葉した1年生の苗において多芽体を確認しました。
2年生以上の株ではまれに見ますが、1年生の、しかも種子からでは初めて見ました。
出現頻度は低いですが、それでも結構な数です。
2芽(葉が2枚、土壌から引き抜いた際、根が切れてしまいました)
3芽(葉が3枚)
根は1本ですので、双子や三つ子のような状態ではありません。
いろいろ試行した催芽処理法が影響したのでしょうか?
多芽と休眠は一見別物ですが、何かヒントが隠されているような気がします。
花苗や鉢花の効率的な大量生産・出荷を実践し、
教育や研究にフィードバックしてきた花卉・苗生産部。
近い将来、薬用植物や機能性植物の革新的な生産も
可能になっているかもしれません。
(新藤)
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