2021年2月22日月曜日

美味しい春の山菜を増やす ~ヒメウコギの休眠枝挿し~

柏の葉キャンパス内の薬用植物園では、サンシュユの花が咲き始めました。フクジュソウの花はそろそろ終わりです。

サンシュユ

フクジュソウ

 

ある方からのご依頼で、ヒメウコギ(ウコギ科、Acanthopanax sieboldianus Makino.)の挿し木を行ないました。太陽光発電を行ないながら、その下で農業を行なうソーラーシェアリングの一環で、栽培をされるそうです。

 ヒメウコギはやや湿った土地の半日陰などでも旺盛に生育しますので、ちょうど良いのではないかと思い、ご提案をさせて頂きました。日向よりやや日陰の方が、新芽も大きくて柔らかく、香りもマイルドになります。

 

 このヒメウコギですが、薬用にも使われますが、なんと言っても山菜です! 山形県では、良く食べられているようですが、この新芽を天ぷら、おひたし、炒め物、うこぎ飯・・・どれも美味しいです。口に入れるとウコギの香りが広がります。食欲のスイッチがオンになる瞬間です。山菜のシーズンはもう少し先ですが、待ち遠しいですね~。

 

ヒメウコギ(自生)

柔らかい新芽を食べる

 

さて、挿し木ですが、今年の枝が伸び切った6月ごろに挿しても発根しますが、その頃は虫がついていたり、葉の調整が面倒だったりと、休眠枝を使う方が簡単です。休眠枝を使うと発根の揃いも良く、なんといっても春に定植できますので、その分、あとの生長が早くなります。

 

薬用植物園に植えられている株から剪定を兼ねて枝を切り取り、穂の長さを約45㎝に切り揃え、23芽ほどを付けて切り分けます。太さと枝の充実度から、おもに2年枝(一昨年に伸長した枝)を使います。


薬用植物園内に植えられているヒメウコギ

 

鋭利な刃物(接ぎ木ナイフ)で切り口を斜めに切り、1時間ほど吸水させた後、切り口に発根促進剤(商品名:ルートン)を塗布してから、128穴のセルトレイに挿しました。

 

挿し木完了

 

 灌水後、上部の切り口に融合剤を塗布し、20℃に保たれた発芽室内に入れました。

  

挿し木後は発芽室内で管理(20℃

 

一週間ほどでまず新芽が動き始め、その後、しばらくすると根が伸長してきます。4月の中頃には納品される予定です。ヒメウコギは、山菜として、てんぷらやおひたしとして利用するのはもちろん、新たな健康食品としても利用価値のある植物です。

 

 

(渡辺 均)

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