2017年9月13日水曜日

なぜ発芽しない?


植物を育てていると、「ちょっと大変だけど種子から播いて育ててみたい」と思われる方も少なくないはずです。


園芸店などで売られてる花や野菜の種子は、好適条件下に置けば、ある程度の発芽率が見込めます。しかし、自ら採取した種子ではどうでしょうか?その種子について発芽条件に関する情報が無かったらどうでしょうか?うまく発芽させるのは難しそうですね。


「花卉・苗生産部」の名を冠する我がグループに失敗の文字は無い、と言いたいところですが、今回は発芽の失敗例についてご覧いただきます(私個人の失敗ですのであしからず)。


今回紹介する植物はムラサキ(Lithospermum erythrorhizon)です。古くから紫色の染料として知られ、生薬としても使われます。



種子は7月上旬に完熟状態で取り、すぐに播きました。種子の表面は白く硬い殻で覆われています。どうやら乾燥すると白くなるようです。種子は水に漬けるとやや大きくなるので、正常に吸水しているようです。




発芽条件について下調べすることなく、4つの条件を設定して播いた結果が下の写真です。




惨憺たる状況ですね(笑)


ちなみに左のセルトレイから、低温処理、ジベレリン処理、流水処理、無処理(コントロール)です。低温処理とジベレリン処理でやや発芽数が多いようですが、それにしてもほとんど発芽していません。


発芽には、水分、適切な温度、酸素が必須です。明所あるいは暗所で発芽が促進されるものもあります。種子は最適な条件に置いても発芽しないものがあり、そのような状態を休眠と言います。


なぜ今回うまく発芽しなかったのでしょうか?
発芽適温でなかったのでしょうか?低温処理の温度や期間が間違っていたのでしょうか?ジベレリンの濃度でしょうか?それとも休眠していたのでしょうか?


いずれにせよ、発芽しないのには理由があります。


ムラサキは再び開花し、いま種子を着け始めています。
次回の発芽試験の結果や如何に・・・


(新藤 聡)





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2017年9月12日火曜日

ストックの八重鑑別

 本日ご紹介する内容は、ストックの八重鑑別です!ストックは冬の花壇苗として広く利用されていますが、生産段階においては、八重鑑別という作業が必要です。
 八重鑑別とは、出芽した個体のうち、八重咲きであろう個体を選別することを指します (播種した個体のうち、約50%が八重咲き個体です)。八重咲きの個体は、一重咲きの個体に比べ、見た目が華やかであることに加え、雌ずい・雄ずいが花弁化しているため、種子をつくらず、花持ちが良いのが特徴です。流通段階においても、八重咲き個体の方が高値で取引されるため、子葉などをよく観察して、鑑別を行っていきます。

皆さんは、この中のどの個体が八重咲き個体かわかりますか?

 一般的に、八重咲きの個体は、一重咲きの個体と比較し、発芽が早く、子葉が淡い緑色で、楕円形をしており、面積が大きいのが特徴とされています。

 それを踏まえて、もう一度セルをみてみると
 「楕円と言われれば、楕円?汗」
 「子葉が淡い緑色だけど、発芽直後だから?汗」
  など、考えれば考えるほど、疑心暗鬼に陥ります。

注意深く観察している様子 

 今回は、植物体のステージが小さいため、子葉の色や形で判断するのは、難しいようです。一方、発芽の早晩を指標にすると、個体の大小を比べる事で、判断が可能です。
 これぞまさしく「教科書通りにはいかない」ということですね。今回の実習では、一人一品種を担当してもらいました。さて、結果はどうでしょうか?自分で実際にやってみて、その判断が正しかったのか検証することによって、情報ではなく、知識や技術として身につけてもららうことが、実習の醍醐味かと思います。
黒沼

 


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2017年9月11日月曜日

巨大な球根から花 ~カイソウの花が見ごろ~

当センターの薬草園には園芸店ではあまり見かけない珍しい植物も数多く植えられています。

今回ご紹介する植物は、その中でも珍しい部類ではないかと思います。その名前も海藻ではなく、漢字で書くと「海葱(カイソウ)」。英語で「sea onion」といわれている植物です。
キジカクシ科 Urginea maritima (L.) Bak.  
地中海沿岸原生の球根植物で、鱗茎には強心配糖体などが含まれ、ヨーロッパでは強心利尿薬や殺鼠剤などとして用いられているようです。現在、日本では薬用としては利用されていませんが、観賞用として細々と栽培されているようです。

この植物の特徴は、何といっても直径20㎝を超える超巨大な球根! 幕末期の大砲の砲弾のような巨大なまん丸な形状です。それと1m近くまで伸びる花茎と多数の小花!


夏前に葉を落として休眠していた球根から、9月に入りニョキニョキと真っ直ぐに花茎が伸びてきました。一日に10㎝以上は花茎が伸長しているようです。昨年はこの段階でカラスの餌食となってしまいました。


花茎が伸び出してから5日ほど経過した様子です。


それからさらに3日ほどで花茎が1m近くまで伸長し、花序の下側から白い小さな花が次々と咲いてきました。遠くから見るとボリュームのあるエレムルスの花のようにも見えますね。


数えれば良いのでしょうが、一つの花茎に小花をいくつぐらい着けるのでしょうね。200?いや300?・・・

当センターの薬草園は、平日の9時から17時と土曜日の9時から12時まで一般の方も入園可能です。なかなか目にすることができる花でもありませんので、ご興味がございましたらお立ち寄りください。


 (渡辺 均)

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2017年9月7日木曜日

雑草という草はないのです

梅雨を感じない内に夏になったと思ったら、
今度はいつの間にか秋になっていますね。
日本の四季はどこへ出張中なのでしょうか・・・?



さて、タイトルにあるのは、
かつて昭和天皇が仰られたというお言葉。

「雑草」と呼ばれるのは、人にとって都合の悪い植物、
景観や他の栽培品目を脅かすものとして邪険に扱われていますが、
どの植物にも固有の名前があり、
使い方によっては「利用価値の高い植物」や
「オシャレなグリーン」ともなり得ます。

例えば、イネ科やカヤツリグサ科は
「雑草」を代表する植物が多い印象ですが、
食用となるタケやグラス(飼料用)はもちろん、
グランドカバーに利用されるシバ、
ヨーロッパでガーデン用に高い人気を誇るススキなど幅広く活用されています。











フェスツカやカレックスなどは、林道の土留に使われたり、
イングリッシュガーデン、グランドカバーとしても需要があります。
     
 
キク科タンポポだって、外で咲いているのを見るのと、
苗として生産している状態だと感じが違います。














畦道によく生えているアカネ科フタバムグラは、
薬用植物としても利用されているそうです。


マメ科クローバーは、かつては梱包の詰め物として使われており
牧草や緑肥植物としても機能的ですが、
最近は園芸品種の取り揃えも豊富!











見方によって・人によっては、どれも「雑草」ですが、
名を知り、利用方法を考えると、まったく違ったものに見えてきます。



1000属検定は園芸業界に身を置く上で、重要な指標になるのはもちろん、
自分の中でその植物の価値を高めることに繋がるのだなと
しみじみ考えながら、、、、

ハウス内の除草をしました・・・!




(池田)




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2017年9月6日水曜日

お天道様を待ちながら


 雨模様が続き、露地にある植物の灌水の手間は省けるのですが、植物の生長もやや停滞気味な日が続きます。

 そんななか、以前のブログにて度々紹介していましたウコンCurcuma longaの花がようやく姿を見せ始めました。


 去年初冬の堀り上げから今年春の植え込みを経て、毎年この時期に花を咲かせています。


 前回紹介した6月末からさらに多くの葉をつけて、その下に隠れるように美しい白い花が。
 この白い花…のように見える部分、実は葉が変化して色を付けた苞葉で、サトイモ科のカラーや、トウダイグサ科のポインセチアなどでも見られるものです。
 実際の花は白い部分の下部に、小さな黄色の花を咲かせます。


 南国チックな姿ながら、生憎の雨の中での撮影ということで、暗めの画になってしまいました…。
 いや、これはこれでトロピカルな雰囲気から、スコールを浴びた後のような画に…見えませんか?


 今のところまだ咲いているのは一種類だけですが、隣に植えてある別種のウコンの花ももうすぐ見られそうです。

 晴れ間を待ち望みつつ、雨で旺盛に生育中の雑草たちを抜く日々が続きます。


安藤匡哉


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2017年9月5日火曜日

ミラーシートを敷く

 9月に入り、秋を感じる日々が続いております。本日は、そんな涼しくなってきたこの季節にピッタリの「ミラーシート敷き」についてご紹介します。

 シクラメンは、本ブログでもご紹介しているように、暑さに弱いため、花卉苗生産部では、日よけ(寒冷紗)、送風、ミスト灌水、葉水などを行うことにより、生育適温に近づける努力をしています。
 7月の下旬から葉分け作業が開始され、現在では、すでに1回目の葉組み作業が終了しました。しかし、これらの作業で位置決めされた葉は、すぐに光を求めて、向きや位置を変えてしまいます。そこで、葉組みの効果を持続させるのに役立つのが、ミラーシートです。
 ミラーシートは、その名の通り、光を反射するシートであり、表面に特殊な加工が施されています。そのため、太陽光を乱反射させ、葉組みによって下や横を向いた葉にも光が当たるという訳です。

実際の作業の様子


 夏の暑い時期には、シートを敷くことは出来ませんが、葉組みの終了と併せて、シートを敷くことによって、葉組みの効果(塊茎へ光を当て、葉の分化を促すこと、美しい草姿の形成)を持続させることに役立っています。

黒沼 


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2017年9月4日月曜日

学会発表 ~園芸学会秋季大会編~



92日(土)~93日(日)まで北海道の酪農学園大学(江別市)で園芸学会秋季大会が開催され、花卉・苗生産部スタッフ、学生さんが参加しました。




園芸学会での発表は以下の6課題です(要旨集ページ順)。

①植物ホルモン処理がオタネニンジン種子の芽切りに及ぼす影響 (新藤特任研究員)                             ②屋上緑化シバ地における窒素動態 (黒沼特任研究員)
③低温および氷温による鱗茎長期貯蔵がダイヤモンドリリーの開花に及ぼす 影響 (池田技術職員)
④トルコギキョウ4品種におけるチップバーン発生率の品種間差 (学部4年渡辺さん)     
Calibrachoa園芸品種における花色と花冠表皮細胞内の色素分布 (修士2年井上さん)                            ⑥カロテノイド代謝関連遺伝子の発現に伴うCalibrachoa pygaea の花色変化 (安藤特任助教)     


日頃の研究成果を発表することで、他の大学の先生や多くの研究者の方々との貴重な情報交換の場となりました。




今週末は、日本生薬学会で3課題の発表を行なう予定です。



 (渡辺 均)

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