2021年1月11日月曜日

斑入りのブーゲンビレア

柏の葉キャンパスの花卉・苗生産部のハウス内には、鉢植えの斑入りのブーゲンビレアが長年育てられています。遡れば、私が園芸学部の学生の頃から松戸キャンパスの古びた木造温室の片隅で育てられていましたので、推定樹齢は40年ほどでしょうか(それ以上?)。園芸学部附属農場の柏の葉への移転に伴い、それから当キャンパスの花卉・苗生産グループのハウス内で管理されています。

このブーゲンビレアを花産業必修1000検定の実物試験に出題すると、必ず「クワ科、Ficus」と解答してしまうひっかけ問題にもなっていました。一見するとベンジャミンゴムノキと間違えてしまいます。滅多に花も着けず、咲いても数輪程度でしたので、植物を勉強したての学生さんにとっては、まさかブーゲンビレアに斑入り品種があるとは思わないのでしょう。

こちらが斑入りのベンジャミンゴムノキ

 

昨年、この斑入りのブーゲンビレアを挿し木で殖やしたところ・・・。

上の画像のように勢いよく枝を伸ばし、葉の緑色の部分が多くなり、斑がきれいに出るようになりました。また、株は小さいながらも花も着けました! 古い品種ですので、着色した苞もかなり小さく、細く尖っていて、葉の形も現在販売されている主要な品種とは全く異なります。

豪華な新しい品種も良いですが、昔の品種もなかなか味わい深いものがありますね。花のブームは数十年周期。一方で園芸カタログがどんどん薄くなり、売れない品目や古い品種がカタログ誌面から消えています。先人のブリーダーが開発し、維持されてきた品目や品種が無くなることは、生産者や消費者の品目の選択肢を減らし、さらに今後の育種の幅を狭めてしまうことにもなります。

 

どこかで誰かがそのような品目や品種を次の生産者や園芸家のために残してくれているのでしょうか? このようなことは、効率と生産性、研究とは無縁の世界ですが、今日も花卉・苗生産部の斑入りのブーゲンビレアが入れられているハウスの暖房機は動き続けています。

 

 

(渡辺 均)

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