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今日の話題は挿し木です。発根がしにくい。挿し木ができない。難しいと言われるとチャレンジしたくなるもの。これまで、クロマツ、サクラ、キハダ、ニガキ、アボカドなどの挿し木を成功させました。しかし、どれも歩留まりはそれほど高くはありません。高くても50%ほど。
挿し木では、植物ホルモン、微量要素、発芽室内での環境条件(温度・湿度)などの検討を行なってきましたが、光条件については未着手でした。特に発根のしにくい植物では、葉は展開するものの、切り口のカルス形成が遅れ、発根するまでに時間がかかり、その間に枯死してしまうことが多いようです。より早くカルスを形成させ発根させるためには、挿し木中にもより強い光を当て、光合成を促進させる必要があるのでは?
発芽室内での挿し木中の植物への補光
ということで、技術職員の長嶋さんに発芽室内にLED灯を追加して貰いました。より強い光条件下での新梢の伸長を促し、挿し木の難しい植物の歩留まり率の向上を目指します。
(渡辺 均)
大島
春休み期間中に希望する学生さんと接ぎ木の実習を行ないました。
通常の園芸学科2年生の実習では、タネ播き(播種)をはじめ、株分け・分球、挿し芽などさまざまな繁殖方法を学んで貰いましたが、接ぎ木は刃物を使用するため、さすがに大人数では危な過ぎてできません。また、最近の学生さんは鉛筆をナイフで削るような経験も少ないため、刃物の使い方そのものが実習になってしまい、それで終わってしまうこともありました。そのため、15年ほど前から希望する学生さんを募って実習を行なっています。
3年生の花卉の専門実習では、取り木を行なっていますが、学生さんの刃物の使い方を見ているとヒヤヒヤします。もちろん、安全には十分な配慮をしていますので、怪我はありませんが・・・・・。
毎年、接ぎ木に使う植物材料はほぼ同じなのですが、今年は柑橘(レモン)を加えて実習を行ないました。いくつかの植物で実習を行なうのは、樹種によって木の硬さが異なるため、それによって難易度が違うためです。今回の材料で接ぎ木が簡単な順に、
・ ムクゲの異なる品種を台木と穂木にして接ぎ挿し
・ カラタチを台木にレモンを穂木にして接ぎ木
・ オオシマザクラを台木に八重桜を穂木にして接ぎ木
さてその結果は、
・ムクゲ; 接ぎ木したものを鹿沼土に挿しましたが、すべて活着したようです。この株の台木と穂木から1本ずつ枝を伸ばし、鉢植えにしてから剪定を繰り返すと、1株で2色の花を楽しむことができます。
ムクゲの接ぎ挿し
・レモン; 1株だけ失敗しましたが、あとの59株は穂木の部分から新芽が伸びてきました。
成功!
レモンの接ぎ木(1株失敗)
レモンの接ぎ木(新芽が伸長、成功率98.3%!)
・サクラ; すべて失敗!
やはり、樹種によって成功率が異なりました。枝の硬い樹種ほど穂木の調整と接着面の合わせ方が難しかったようです。レモンもリスボンレモンとユーレカレモンを穂木として使用しましたが、リスボンレモンを穂木にした方は、芽の伸長が遅いようです。
果樹のほとんどの品目では、今でも接ぎ木によって増殖されています。また、野菜でも多くの果菜類は接ぎ木が行われています。接ぎ木は古い技術のようですが、今でも重要な園芸技術の一つです。
「特技は接ぎ木です!」と言えるような学生さんも数多く育ってくれればと思っていますが・・・・・。
(渡辺 均)
昨日が母の日でしたね。今年も花卉・苗生産部では母の日向けの鉢花の出荷が行われました。学生さん、旧パートさんにもお手伝い頂いて無事完了しました。残念ながら私はあまり貢献できませんでしたが・・・。また、恒例になりましたが土曜日(10日)には、柏の葉キャンパス駅構内で鉢花の即売会も行ないました。
さて、今日の話題はオタネニンジンです。4月14日のブログにオタネニンジンのタネ播きのことを書きましたが、それから約1ヶ月が経過しました。
4月14日のブログ「春はタネ播き!~
オタネニンジンの播種 ~」は下記からご覧下さい。
https://naeseisan2.blogspot.com/2025/04/blog-post_14.html
1粒ずつ向きも揃えて等間隔に播種!(3月29日撮影)
それからおよそ1カ月が経過
約1ヶ月が経過し、上の画像のように葉の展開が揃いました! 緑色の葉が隙間なくプランターを覆いました。 美しいですね!
オタネニンジンの1年目は葉(複葉)が1枚(小葉3枚)しか展開しませんので、3ヶ月で休眠させ、早期に2年目に移行させます。2年目になると複葉を2枚(小葉3~5枚)展開させますので、1年目に比べて少なくても葉面積は倍以上になります。その分、根の肥大も一気に進みます。
来年の春には2年生苗の品質を評価し、一部をオタネニンジンの産地である福島県の畑に定植する予定です。これで、オタネニンジンの苗生産の量産化に目途がつくはずなのですが・・・・・。
という目論見なのですが、オタネニンジンの早期育苗の実験を開始した頃、喜び勇んで得られた2年生苗を福島県の生産者のところに持って行き、春に植えて頂いたことがありました。ところが、その苗からは翌春まで、1年間芽を出すことはありませんでした。
この現象を「芽休め」と言い、その原因は低温が足りず休眠打破が不十分だったことでした。その当時、生産者の方にはただ謝るばかりでした。1年間、芽の出ない畑(畝)を観察に行くのも気が重く、それ以上に生産者の方に申し訳なく・・・・・。
翌年からは十分な低温に遭遇させることにより、「芽休め」する苗は無くなったのですが、苦い思い出です。
この話には続きがあり、1年間芽を出さずに土の中でじっとしていた株ですが、本来、「留年」しているのであれば、3年目として葉を展開させるとばかり思っていたのですが、出芽した葉を見ると、しっかり4年目の株の姿になっていました!
葉を展開させなくても土中で一年間休ませると芽の分化、株の生長が進むのか・・・・・? その原因は未だによく分かりませんが、今後の研究課題です。本来想定していた結果にならないこと、失敗からも大きな学びが得られました。アタマで分かっていることは、ほんの僅かであり、植物からいつも教えられることばかりです。
「植物に謙虚に向き合い、その小さな変化を感じ取り深く考えること」
「お~い、ちょっと違うぞ~!」 オタネニンジンからそんな声が聞こえてこないよう、これからも植物と向き合っていきたいです。
(渡辺 均)
今日は5月5日、端午の節句です。端午の節句は、古くから香りの強いショウブやヨモギを使って邪気を払い、無病息災や長寿を願う行事として行われてきました。ヨモギは今でもショウブと一緒に玄関先に吊り下げたり、お風呂に入れたりする習慣があります。しかし、最近ではこのようなことが行われなくなり、柏餅(カシワの葉)の消費も以前と比べるとかなり落ち込んでいるようです。
そのヨモギ、当研究室では各地から収集した180株ほどを栽培管理していますが、3月に植え替え(株の更新)を行ないました。狭い鉢の中で長く管理していると、2年目以降は急速に生長が悪くなってしまうため、毎年、株の更新を行なっています。
1年間栽培されたヨモギ(ポットの中は地下茎でいっぱい)
地下茎を含む株を切り取って定植
植え替え完了!
植え付け後、2週間ほど寒冷紗で直射日光を避け活着を促します。
それから、さらに1ヶ月ほど経過すると、それぞれの株の‘個性’がよりはっきりとしてきます。株が生長するにつれて分枝が進み葉も小さくなりますが、この時期は茎も太く、葉も大きいため、それぞれの系統の特徴を良く表してくれます。
定植後勢いよく生長を開始!
異なる9株のヨモギの葉
上の画像のように、同じ条件で定植し、ほぼ同じ茎の高さから採集した葉でも、大小や形、切れ込みの深さなど、どれ一つとして同じものがありません。左から2番目の葉身は私の手のひらほどです。
江戸期の植物画を見る機会があり、そこにヨモギらしい植物を確認することができました。古くから邪気を払うと言われ、人々に知られ利用されてきたヨモギですが、ではヨモギは昔からこれだけ変異に富んでいたのでしょうか?
もし昔から変異があったのであれば、私たち日本人は古くから‘典型的なヨモギ’の形を認識しつつ、多様なヨモギを利用してきたのかも知れません。もしくは、地方や地域によって、自生しているヨモギの形状が異なることから、‘典型的なヨモギ’として認識されている形がそもそも地方や地域によって違っているかも知れません。興味は尽きません。
(渡辺 均)
柏市みどりの基金が毎年実施しているカシニワ・フェスタが今年も開催されます。柏の葉キャンパス内の薬用植物園も、毎年、このイベントに参加しています。
カシニワ制度については、下記をご参照下さい。
https://www.city.kashiwa.lg.jp/kashiniwa/festa2023.html
以下の画像は、現在の薬用植物園の様子です。
普段は公開しておりませんので、この機会にご興味のある方はぜひ、お越し下さい。場所は北門を入ってすぐ左手。当日は薬用植物園の入り口に目印ののぼりを立てておきます。池上名誉教授、もしくは私が園内におりますので、お気軽にお声がけ下さい。
公開日と公開時間は下記のとおりです。
5月8日(木)10時~12時
5月9日(金)10時~12時、13時~16時
5月10日(土)10時~12時、13時~15時
5月12日(月)10時~12時
(渡辺 均)