桃源郷? ついに渡辺も頭がおかしくなったかと思われるでしょう・・・。真面目なお話です。このプロジェクトのキーワードは耕作放棄地対策、地域景観、観光資源、生薬原料、地域雇用です。中山間地の遊休農地にモモの苗木を植え、地域の景観の維持と観光資源としての活用を考えてのプロジェクトです。モモといっても栽培管理が難しい果実を食用とする生食用のモモではなく、仁(じん)を桃仁(とうにん)として利用する比較的管理の容易な薬用のモモです。生薬原料としても、多少の収入になれば良いのではという考えもあります。薬用のモモの花も綺麗ですが、果実は小さく果肉は食用には向きません。
花卉・苗生産部では色々な種子を蒔いてきましたが、モモの種子は初めてです。種子は全部で20㎏! 当然、播種ラインは使えず、従来どおり苗床を作ってのタネ蒔きを昨年の6月に行ないました。その前に吸水です。
種子を流水中に浸漬し、
浮いてくる種子はざるに入れて選別しておきます。
数日浸漬し、十分に吸水させた後、水を切っていよいよタネ蒔きです。
畝立てした後、鉄パイプを押し当ててくぼみをつけ、
そこに筋状にタネを蒔きました。
覆土をした後、灌水チューブを取り付けて作業完了!
その間は、土を乾かさないように灌水し、秋には防寒対策として、敷き藁や寒冷紗をかけて冬越しをさせました。霜柱の恐れがなくなる春先に寒冷紗を取り外し、3月下旬には発芽が始まりました。
3月の様子。左側の畝は寒冷紗で防寒、右側の畝は敷き藁で防寒。
敷き藁の方が発芽がやや遅いですね。
現在の様子。高さ30~40
㎝ほどに生長しました
追肥をしながら生育を促し、今秋もしくは、来春には掘り上げて出荷をする予定です。色々な分野の方々とお付き合いをさせて頂くと、植物に関する様々なニーズや疑問をお持ちであることに気が付かされます。その方々が何を求めていらっしゃるのか?
時には私たち作り手側では考えつかないような今回のような発想を投げかけられることがあります。それに対しても否定的に捉えず、どうしたら実現できるのか、作り手側も柔軟な発想でご支援・対応ができるようにしなければなりませんね。それにしても、これだけの苗木が成木になって開花したら、それこそ桃源郷のようになるでしょうね。今から楽しみです!
(渡辺 均)
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