今年も残りわずか。
続けてきましたロシア編も最後の投稿になります。
最終日前日、そろそろ日本が恋しくなってきたところ、ロシアの山奥へと車で行くこと2時間以上。
最後の訪問では、市内から170km離れた農業アカデミー所属教授の実家である養蜂場をご案内頂きました。
いくつも立ち並ぶ箱の中には、たっぷりと蜜の詰まった板状の装置が重なっています。
日本でハチミツというとホットケーキにかける程度のイメージしかありませんでしたが、ロシアでは風邪予防として舐めたり、パンやケーキに入れたり塗ったりと様々な用途で普段から利用されています。
1日あたりの収量は10~15kg、春などの花が多い季節では30kg以上を得ることが出来る日もあるそうです。
せっせと働くハチですが、巣箱に蜜が溜まった状態だと蜜集めをサボったり、どこかへ行ってしまうため、定期的に蜜を回収する必要があります。
蜂たちがターゲットにする花蜜は季節により様々ですが、ボダイジュTilia miquelianaの花が咲いているときは最優先で蜜を採るために、その期間はボダイジュの花蜜によるハチミツに限定されるとか。
また、黄柏(おうばく)という生薬に用いられるキハダPhellodendron amurenseの花なども利用されるため、収穫の季節によっては薬用成分のたっぷり入った蜂蜜が採れるかもしれませんね。
それら元となる植物種がある程度絞れている場合、商品のパッケージに植物名を記載するということで、ハチミツ専門店なるところでは様々な色や香りのハチミツが並んでいるというから驚きです。
沿岸地方におけるハチミツ摂取量は1人あたり年間2 kgと日本に比べれば多く感じますが、作り手側がさらに多いために供給過多かつ需要も先細り気味になっており、ハチミツ単体の販売ではなく、加工品としての菓子類の原料などにも利用されているようです。
ただ、それでも需要を超えてしまっていることから、蜂蜜酒などを作製する際には、100%蜂蜜を使用すると原料費がかさんでしまうために、コスト面の問題から水を混ぜることも…。
そうした水増しやニセモノのようなハチミツ製品も数多く店頭に並んでいるらしく、国内では信頼のおける知り合いから直接買うことが多いようです。
お土産屋で綺麗な瓶に入って密閉されているものは、ロシアではなく中国産のこともあるとか…皆さん、ロシア産を買いたいのであれば、原始的(?)な簡易容器に入ったものを選びましょう。
たっぷりと蜜のついた巣箱から「巣蜜」と呼ばれるかたまりごと食卓へ。
液体のハチミツをさらに濃くしたような、これだけでもずっと食べてしまいそうな味わいでした。
ここを最後に、ロシアでの訪問予定は完了し、次の日に日本へ帰国となりました。
お世話になった寮の料理長さんとパシャリ、本当に美味しい料理の数々をありがとうございました。
今回のロシア訪問では、日本とロシアの大学間での学生交流および研究協力に向けての派遣団として、様々な訪問先の視察や交流をおこなってきましたが、自身の初海外としても非常に貴重な経験をさせていただきました。
特にロシアの方々と触れ合って印象的だったのは、自分の国のことをとても良く勉強して知っている、愛国心に溢れた国民性を誰もが持っているということでした。
自身を振り返ってみて、今回のように海外の方とお話をする際に、日本のことを説明できないことも多かったため、様々な視点から日本のことを学び直そうと感じました。
沿岸地方アカデミーの視察を通じて、園芸の研究はまだまだ始まったばかりで、これからの協力次第と思うところもありますが、研究への熱意はかなり強く感じられましたので、お互いに有意義となる更なる交流を広げていきたいですね。
長々とご紹介いたしましたが、近くにありながらよくわからないロシアのことを少しでも興味持っていただけたのであれば幸いです。
安藤匡哉
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