2014年3月19日水曜日
トウキの調製
本日、京都のある薬用植物園にて、
トウキの湯もみとはさ掛けについて研修してきました。
全国から集まった薬学部の学生達に交じっての研修です。
ほとんどダブルスコアの差ですね(笑)。
生薬としてのトウキ(当帰)は、日本薬局方において、
トウキ又はホッカイトウキの根を、通例、湯通ししたもの、とされています。
この湯通しが湯もみに当たるのですが、これはトウキ独特の調製方法です。
まずは、堀上げ(収穫)から。
根が切れてしまないよう、スコップを垂直に差し込み、両側からすくいあげます。
本来の収穫期は11月から12月にかけてで、土砂を落としてからはさ掛けして、
冬の低温にあてながら乾燥させていきます。
乾燥させた根は、2月頃に湯もみをかけます。
まず、60℃のお湯に1時間浸漬して、1時間ほどおきます。
熱いですからすぐには手で触れることはできません。
そうすると40℃くらいに湯温が落ち、やわらかくなります。
麻布を巻いた板に根を乗せ、両方の手でもみこんでいきます。
土砂が多く付着している根頭部には力を入れて、
側根部は切れてしまわないよう少し力を抜いて転がすようにもみ洗いします。
湯もみが終わったら、2株ずつしばって、再びはさ掛けし、乾燥させます。
そもそもなぜトウキにおいて湯もみやはさ掛けが行われているのでしょうか?
これにはいくつか理由があります。
土砂を取り除くこと、根の形を整えることはもちろんのこと、
生育を完全に停止させること、根のデンプンを糊化させることなんだそうです。
また、カビや虫食いを防ぐ効果もあるようです。
調製したトウキ(当帰)は甘さが増し、香りもまろやかになります。
湯もみによって、トウキの主要な薬効成分である精油が揮発することが
味や香りに関係しているかもしれないとのことです。
研修の最後にトウキ粥をいただきました。
生の葉と根を入れて炊いたものです。
ちなみに根は「もっぱら薬品」の区分であり、
お店等で提供すると薬事法に抵触するおそれがあるようです。
葉は非薬ですので、効果効能は謳えませんが、食品化することは可能です。
味は・・・、トウキの研究をしているのにやはり苦手です。
たぶんほとんどの人は美味しいと思ったはずです。
残念な人ですね。
今回の研修を通じて、
園芸学と薬学のはざまで研究をさせていただいている私は大変恵まれていると実感しました。
薬学の学生達にとっても、薬用植物の生産や調製を直に体験することは重要なことだと思います。
固定観念をもたず、いろいろな目線から薬用植物を捉えていこう、
改めてそう感じた一日でした。
(新藤)
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