先日、土壌資材のリン酸(可給態)の分析を行いました。リンは環境や生体内において、リン酸イオンの形態で存在することがほとんどのため、「リン酸」という言葉が使われることが多いです。一般的な消費のシーンでは、リンとリン酸を区別せず、同じ意味と考えて頂いて、差し支えないと思います。
リンは、植物の三大栄養素の一つであり、開花や結実を促進することがよく知られています。土壌中には、リン酸として含まれていますが、アルミニウムや鉄などと難溶性の塩を形成するため、植物が利用できる形態でのリン酸は、非常に限られます。今回分析を行ったのも、植物体が利用できる形態(可給態)のリン酸です。
比色法で色付け(リン酸が多いほど青色に)
プレートリーダーで定量
このリンですが、人間の体にとっても重要な元素であり、骨やDNAやRNAなどなどに利用されているそうです。お肉好きの方も、家畜は元々植物を食べて育ちますので、回りまわってということでしょうか。
しかし、リン鉱石は日本では採れず、完全に輸入に依存しています。このリン鉱石も2040年に採掘量が頭打ちとなり、その後減少することが予想されています。世界の食糧問題等の観点からも、リン資源の調達や循環利用は非常に重要な問題です。
この問題に対して、家畜糞尿や下水汚泥といったリンを多く含むものからの回収や、土壌中に含まれている難溶性のリン酸を可溶性にする微生物活用など、様々な取り組みが行われているようです。私たちは工業的なプロセスを得意とはしていませんが、植物や生産の観点からは、考えることが出来ます。大きく考えたり小さく考えたり、様々なスケールや角度から、こうした資源問題の解決に寄与できるように、頭と体を動かしていきたいところです。
参考文献
橋本光史, 2012, リンの農業利用, 生物工学会誌, 90(8), 481-484.
大竹久夫, 2010, 新しいグリーン産業としてのリン資源リサイクル, 環境バイオテクノロジー誌, 10(2), 71-78.
黒沼
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