2019年3月29日金曜日

花の香りに酔い痴れて 第8回 ジンチョウゲ

 こんにちは。学部3年の下重(しもじゅう)です。

 先日、東京都のサクラ(ソメイヨシノ)の満開宣言のニュースを耳にしました。千葉県内のサクラも開花し、もうすっかり春の陽気となっていますね。

 さて、第8回は、春に花を咲かせるジンチョウゲをご紹介いたします。

 先日、千葉大学 園芸学部 松戸キャンパスを訪れた際に、裏門の近くにある「おひさまガーデン」に、ジンチョウゲが植えられていることに気が付きました。



 ジンチョウゲ(Daphne odora Thunb.)は、ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属の常緑性の植物です。原産は中国であると考えられており、日本には室町時代以前に中国より伝わったとされています。

 漢字では「沈丁花」と書きますが、これは、ジンチョウゲ科の香木の樹液が長い時間をかけて固まった樹脂「沈香(じんこう)」と似た香りがすることと、フトモモ科の植物「丁字(ちょうじ、蕾とがくを乾燥させたものはクローブと呼ばれるスパイスになります)」に花姿が似ていることが理由であるとされています(諸説あります)


 花を観察してみると、松戸キャンパスのジンチョウゲは、白色の品種であることが分かります。また、複数の小花が集まって、1つの花を形成していることが分かります。
 花弁のように見える白色の部分は「がく」が花弁化したものであり、このがくの裏側が淡紅色の品種もあります(但し、松戸キャンパスでは見ることができません)



 花に続いて、葉にも注目してみると、互生(1つの節に対して、1枚の葉が互い違いに付くこと)であることが分かります。また、ジンチョウゲの葉は革質で、光沢があります。

 そして、ジンチョウゲは非常に強くて甘い香りが特徴的で(私個人の感想です)、その香りは、夏のクチナシ、秋のキンモクセイと共に「三大香木」と呼ばれています。
 ジンチョウゲの種名のodoraが「芳香の」という意味を持つラテン語であることからも、ジンチョウゲの最大の特徴は「香り」であると言えるでしょう。


 花も香りも美しいジンチョウゲですが、花や根に毒があることが明らかになっています。
 そのため、精油(エッセンシャルオイル、植物の芳香物質を抽出したもの)や切花として販売されることはほとんどありません。


 皆様も、街の中でジンチョウゲを見かけた際は、その上品な香りを嗅いで、サクラで感じる春とは一味違う春を感じてみてはいかがでしょうか。


(学部3年:下重)

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2019年3月28日木曜日

定期整備

東京では今週後半にサクラが満開になるようです。
お花見の御予定は立てましたか?

さて、私たちの作業は色々な機械の力にも頼っています。。
その中の1つ、ライガー(運搬車)も日々重たい荷物を運んでくれています。

昨日は常日ごろの感謝を込めてそんな機械達の整備を、機械整備担当の方から
ご指導を受けながら行いました。
 他部署からも色々な機械が参加してます。

 ライガーのエンジンは車体中央にあります。



 エンジンから人でいう血液たるエンジンオイルを排出、交換。(真っ黒ドロドロですね。)


可動部にグリースを注入。



バッテリーの減った水を補充。


で終わりです。簡単ですが、日々の整備が大切です。
内面から美しくなったライガーですが、そんな彼も10歳‼
今後とも長生きできるように、必要な整備をしていきたいですね。


(新澤)

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2019年3月27日水曜日

続々・リニューアル


 先週に心配していた大寒波、というほどでもありませんが、夜温が0℃付近まで下がる日はまだ何度か続くようです。
 植え替えた植物もややしんなりするものもありましたが、その後の晴れ間である程度回復してきました。

 薬草園の手前ブロック植え替え作業は落ち着いてきましたが、今週は西側通路奥の畑を増築するため、頼れるアイツがおよそ1年ぶりに登場しました。




 まずは、予め刈り払い機で表土付近までの雑草地上部を刈り取った残りの地下部分を除去するため、浅めに耕耘機をかけていきます。



 久々の稼働ということもあり、ターンやバック移動の感覚を掴むまで、やや緊張しつつ動かしていきます。


 もこもことした塊が雑草の根。



 これをかき集め、塊になった土をほぐしながら、かるく平らな状態に戻します。
 その後、土壌改良として腐葉土をばらまいたら、



 深めに耕耘をして、土づくりは完了です。

 少し土をなじませてから、畝を立てて、作業通路に防草シートを張ったら植付準備万端。


今回の下準備によって、ある程度の雑草予防効果があることを期待したいところです。

(安藤匡哉)

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2019年3月26日火曜日

平成最後の園芸学会

 3月23日、24日と明治大学生田キャンパスで園芸学会が開催されました。当研究グループでも、2件のポスター発表を行ってきました!

・オタネニンジン一年生苗の光合成産物の蓄積と動態(王さん)
・ファインバブル酸素水がシクラメンの生育に及ぼす影響(長嶋さん)

長嶋さんの発表の様子

平成最後だからといって特段の変化はありませんでしたが、近年は遺伝子研究に関する実験環境が整備されたり、技術が飛躍的に進化しているため、全体の3~4割程度は遺伝子に関連する研究(花の色に関連する遺伝子や病気の発現に関連する遺伝子などなど)だったのではないでしょうか?また、最近のテーマとして、遺伝子発現と収量の関係性の解析・モデル化など、今まで不可能だったことが、一歩ずつ明らかにされてきています。さらに、AIやICTなどの研究開発が進めば… 夢は広がりますね!

 次の年号は、何がスポットライトを浴び、飛躍的に技術革新が起こるのでしょうか?研究でも、「時代の流れをつくる」、「時代の流れにのる」ということは非常に大切です。しかし、その根底には、園芸生産や園芸植物をつかった豊かな暮らしがあることを忘れず、淡々と粛々と、自分たちのミッションを遂行していきたいものです。



(黒沼)


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2019年3月25日月曜日

斑入りのアガパンサスの花が咲かない!

柏の葉キャンパスの花卉のハウス内には、千葉大学園芸学部附属農場時代の植物も数多く残っています。附属農場が園芸学部(松戸)から柏の葉に移設された際に、一緒に運ばれてきたものです。私が学生時代の頃に園芸学部の温室内にありましたので、少なくても30年以上は育てられていることになりますね。

一条アマリリス、橙色の花をつけるブーゲンビレアの古木、一見するとベンジャミンと間違えそうな斑入りのブーゲンビレア、シダ類、アナナス類、そして斑入りのアガパンサス・・・。平成ではなく、昭和を感じさせる植物たちです。

この斑入りのアガパンサスですが、矮性でとても外斑がきれいなのですが、寒さに弱く、戸外で栽培すると葉だけではなく、株も冬には完全に枯死してしまう系統です。




さらに、学生時代に開花しているのを一度見ただけで、それから一度も花が咲いているのを見たことがありません。 つまり、約30年も開花していないことになります!

こちらにも意地がありますので、この30年間、何もしていないわけではありません。株分けや植え替えはもちろんのこと、土や肥料の組成を変えたり、肥料を多めに与えたり、与えなかったり、水を切らしたり、多めに水を与えたり、低温や高温処理をかけたり、側芽を摘み取って株を大きくしたりと、いろいろとやってはみたものの・・・。

そろそろひと花咲かそうよ! 

とアガパンサスに声をかけても、今年も咲かないんだろうな~



(渡辺 均)
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2019年3月22日金曜日

追いコン開催

 学部3年五月女です。

 3月中旬になり、花卉園芸学研究室でも、卒業し社会人となる先輩や、大学院に進む先輩との別れの季節となりました。


 今回は植物の話ではなく恐縮ですが、先日、先輩の卒業をお祝いする追いコンを開催しました。
 私は研究室のイベント係として、毎年の追いコンの様子を先輩に伺い、会場をセッティングしました。


 4月も間近ということもあり、都合がつかなかった方もいらっしゃいましたが、研究室や苗生産部の方が沢山来てくださいました。


 そして、卒業の記念に花束をお渡ししました。




 先輩方がキャンパスにいらっしゃらなくなってから2週間ほどたったのですが、広くなった学生部屋で、来年度から一気に最上級生になるということを感じる今日この頃です。


(学部3年:五月女)

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2019年3月21日木曜日

春分の日

今日、2019年3月21日は春分の日

太陽が春分点を通過した瞬間が属する日だそうで、
今年は日本時間で3月21日のAM6時58分だそうです。

そして、今日は満月。
この満月の瞬間も「月と太陽の黄経差が180度となること
という定義があるようで、
つまり、太陽・地球・月の中心が、だんご3兄弟のように
一直線上になるというとで、
3月21日の満月は日本時間でAM10時43分だそうです。

ちなみに春分の日と満月が重なった日は前回が2000年、次回は2095年だそうです。


 昨夜の月



そしてなんと、
さらに東京のソメイヨシノの標本木は
昨日3月20日時点で4輪の開花が認められ、開花宣言まであと1輪となったようですので、
もしかしたら、今日にも「開花」となるかもしれません。


つまり、
「花より団子」ではなく、
「花も見て、月も見て、だんごも食べなさい」
という平成最後の春分の日への、
粋な贈り物と私は感じました。


そんな想いで今日ご紹介する花は
横浜植木㈱様のペチュニア
‘ヨコハマムーンライト’
です。

ペチュニア‘ヨコハマムーンライト’


花弁の切込みが小さいため、通常のペチュニアよりは花冠が丸く見え、
淡いクリーム色の花弁と中心部の濃い紫色が
月の光と宇宙空間を連想させてくれます。



こちらは見本鉢用なので、5~6輪の開花では出荷できません。
写真の株は1株で45輪開花していました。

今日は灌水当番ですが、帰りにはだんごを買おうと思っています。
(長嶋)

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2019年3月20日水曜日

続・リニューアル

 今年度も残すところ10日あまり。
 年度末の調整に追われつつ、生き物相手の我々は、屋外での作業も並行して進めなければなりません。

 先週に続き、今週も継続して薬草園の植え替えを行っています。


 ヒキオコシ Rabdosia japonica を引き起こし?てみると、



 立派な根が張っていて、ブロック内ではやや狭そうな印象。



 小さな芽が動き始めていますね。



 こちらは露地へと移植しました。



 イブキジャコウソウ Thymus quinquecostatus はブロックの裾部分に垂れ下がるほどに伸び放題。



 ということで、緑を残した新芽の部分を他のブロックへ移植。



 びっしりと張り巡らされた根を取り除いて、次の移植に備えます。




 他に冬の間はハウス内で管理していた植物を鉢から出して植え付けます。
 この時期、いきなりの大寒波!からの大雪!にならないことを祈りつつ、今はまだ小さな苗たちを大事に手入れしていきます。

(安藤匡哉)

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2019年3月19日火曜日

終わりと始まり

 かなり遅くなってしましましたが、オタネニンジン苗の定植がやっと「終わり」ました。何株定植したかはもう数えないことにしました。私の知る限りでは、この温室で管理する苗数では、過去最高の数量ではないでしょうか。
 4月上旬には寒冷紗を張り、その後ミストチューブも設置予定です(その様子も今後ブログで紹介します)。定植は終わりましたが、まだまだこれからですね。

 そして、ついにあのシーズンが「始まり」ました。
 そうです。ジャパンフラワーセレクションです。今年は、春10品種、夏26品種の審査が予定されており、こちらも過去最高を更新し続けています。写真は、今年の春の8品種の定植後の様子です。5月下旬には、全ての花壇が埋まる予定です。



このシーズンは「備えあっても憂いあり」で、数ヶ月後の自分を想像するだけで…
 
想像しないことにしました。笑



(黒沼)




花卉苗生産部HPの販売物に「マーガレットコスモス」が追加されました。
ご興味のある方は、下記URLまで。
http://www.fc.chiba-u.jp/gaiyou/gyoumuhp/naeseisan/sales.html




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2019年3月18日月曜日

ヤドリギの発芽

サクラの開花予想日がニュースで流れる季節になってきました。花卉・苗生産部前に植栽されている早咲きのサクラ啓翁桜’も見頃になってきました。このサクラは根を暖めて開花を早める実験に使用したものです。実際に根を暖めると2週間ほど開花が早まりました。


ミツバチも忙しそうに飛び回っています。このサクラの花もセンターで販売されているハチミツに少しは貢献しているようです。


さて、今日の話題はヤドリギです。昨年の11月に生薬サンプルを作るためにヤドリギ(ビャクダン科 Viscum album subsp. coloratum Kom.)を集めてきました。ヤドリギは落葉樹に寄生する常緑の半寄生植物です。 枝や葉を乾燥させて煎じて服用すると強壮剤や利尿剤になり、腰痛や神経痛にも効果があるようです。枝には淡い黄色の果実をつけていました。


果実の赤いアカミヤドリギもありました。




この果実の果肉を取り除き(果肉はとても甘くて美味しいのですが、何せネバネバです・・・)、昨年の12月に薬草園の落葉樹に播種(?)しました。 下の画像の木はケンポナシですが、薬草園に植栽されているクワ、セイヨウナシ、コブシ、キジュにネバネバの糸を引く種子を木の幹に付けました。本来は、ヤドリギの果実を小鳥が食べ、消化された糞と共に糸を引くような種子が樹木に付着し、そこから発芽するような種子散布を行なっています。




今回、私が小鳥の役目(口に含んだだけです!)をして、木に付けてから3カ月ほどが経過したところで、いくつかの木に付けた種子から根(吸根)が伸び、幹の中に根を伸ばし始めていました。




ヤドリギの発芽と背景に写っている柏の葉キャンパス駅前のタワーマンション、ららぽーとの画像がミスマッチですね。


この小さなヤドリギの種子に冬の寒さをしのぎ、固い樹皮を破るだけの根を伸ばす生命力があることに驚かされます。当センターの薬草園でその様子を観察されてはいかがでしょうか。


(渡辺 均)
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